魔法武士・種子島時堯

克全

第138話太政官の捜査・逮捕・裁判権

1540年10月15日『台湾国』種子島権中納言時堯・12歳

「それと禅定太閤殿下、弾正台の役職も頂きたいのですが」

「朝廷の監察や風俗の取り締まりをするつもりなのでおじゃるか?」

「これから朝廷の権限も強くなり公家衆も豊かになりますが、それに応じて不正を行うものが出てくると思われます。京識や検非違使にも権限はありますが、どうしても官位が低く高位高官を逮捕・裁判するのは限界がございます」

「だが元々弾正台に直接逮捕・裁判する権限はないでおじゃる。裁判権・警察権も刑部省・各官司が握っているでおじゃる。だからこそ嵯峨天皇の御世に令外官として検非違使が創設されたのでおじゃる」

「はい、ですから新たに権限を与えて欲しいのでございます。検非違使の長官は従四位下でございますが、それを三位が行い強い権限で太政官すら直接逮捕・裁判する権限をお与え頂きたいのです」

「今権中納言殿が従三位で検非違使と左衛門督を兼務しておじゃるように、従三位で検非違使を務めれば強い権限で当たる事が出来るでおじゃる。過去にもそのような例は多いでおじゃるよ」

「では検非違使別当と弾正尹を兼務して、太政官を逮捕・裁判しても御上は許してくださいますか?」

「そうでおじゃるな、弾正尹なら従三位の官位でおじゃるから、権中納言殿に丁度いい官職でおじゃるな。それに御上は清廉潔白な御方でおじゃるから、賄賂や不正は絶対御許しにならないでおじゃる。鷹司卿とも話し合って、2人で御上に奏上するでおじゃるよ」

今話し合っている事はとても大切な事だった、これから官位を笠に着て賄賂を要求したり、商売の許認可を私して金にしようとする公家が出てくる。いや公家から働きかけなくても、利益を得ようとする商人が絶対に公家に接触するだろう。

武力で商人や民に無理無体を強要する比叡山延暦寺の僧兵や、超高利で銭を貸して田畑を奪い取る日吉大社は、京山城に一歩もは入れないようにした。だが両方の末寺末社が、すでに京山城内に勢力を持ってしまっている。いや彼らを排斥しても、手先になる公家や商人が必ず紛れ込んで来るだろう。そのような者を排除して公正に裁くためには、太政官の介入を防がないといけない。

山城国は、足利将軍家の奉行衆の領地が多い。いや、領地と言っても、朝廷の費用を捻出するための御用地や関所設置権を、国衆・地侍が押領したものだ!

これを種子島家で奪い返す。いや種子島家の領地として管理し、朝廷の費用は種子島家から支給することにする。その権限を事前に確定するために、投資として朝廷の費用は全て種子島家で負担している。

今直ぐ山城国の守護職などもらえるはずがない、いや京山城の領地・権限を種子島家が支配すれば、足利将軍家は暴発して攻め込んでくる可能性がある。攻め込まれても負ける事などない、だが種子島家が歴史に悪名を残す可能性があるし、準備を整えてからでないと、民や将兵が巻き込まれて死傷する可能性が高くなる。だからもう少し時間を掛けて京山城の支配を進めていくつもりだ。

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