魔法武士・種子島時堯

克全

第137話物価統制

1540年10月15日『台湾国』種子島権中納言時堯・12歳

「禅定太閤殿下、左右の京識のことなのですが」

「官職が必要でおじゃるか?」

「御所や上京・下京を護るだけでしたら。六衛府を指揮下に置けば大丈夫なのですが、洛外に住む民の生活も守ろうとおもうと、必要になると思われます」

「検非違使だけではだめでおじゃるか?」

「京識に支配下にある東西市正の権限で、物価を統制しないといけません。武力を持って僧や土倉が民を害しております」

「そのためには必要なのでおじゃるな?」

「はい、度量の軽重、商品の真偽の検品と言ったものが正しく行われなければ、物の流れが悪くなり民の生活を脅かします。それに民の声を正しく集めるにも、坊長・保刀禰と言った民に近い役職を種子島家で抑えておきたいのです」

「分かったでおじゃる、名目の大夫職は公家に与えるとしても、京識の実権は権中納言殿に任せるでおじゃる」

「ありがとうございます、実権と権大夫か亮を家臣に頂ければ、京の町をもっと住みよい町にさせて頂きます」

「たのむでおじゃるよ! その上で聞きたいのでおじゃるが、洛内だけでなく洛外までも京識や市正の権限を広げるつもりでおじゃるか?」

「はい、これから京の町を発展させどんどん広げていきます。市も東西を半月交代で開催させるのではなく、両方とも常設の市にします」

「なんと! それでやっていけるでおじゃるか?」

「種子島家の家臣団がどんどん増えております、彼らが自分たちの物を買うだけでも今までの何倍何十倍の物が動きます」

「確かにそうでおじゃるな、今まで全ての奴隷が種子島領まで運ばれそこで暮らしていたでおじゃるが、今は畿内以東の奴隷は権中納言殿が京で買い占めて住まわしておじゃる」

「はい、全ての奴隷をそのまま京で朝廷の兵として働かせるつもりです。直ぐに10万20万を超える兵が朝廷にために働くようになります。その上で京を守る七口にも常設軍を置くことになります、当然将兵に物を売るための市が立つことになります」

「それも市正に管轄させるのでおじゃるな?」

「はい、京識も朱雀大路から東と西の山城国すべてを司らせる予定です」

「そこまで考えておじゃったか!」

「それに今でも、鯨から創り出す品物を求めて畿内以東から商人や民が殺到しております」

「そうでおじゃるな! 今までは権中納言殿の本拠地九州までいかねばならなかったでおじゃるが、今なら京にまで来れば手に入るでおじゃる。船を持たない弱小商人でも、今までより安い値で少数の品を買って商い出来るでおじゃる」

「はい、特に近江の五箇商人・四本商人たちが競って参っております」

「よいのでおじゃるか? そうなると公方や六角に軍資金が入るのではないでおじゃるか?」

「いざとなれば荷止めをいたします、そうなれば商人や商人に頼る国衆・地侍は足利将軍家や六角から離反するでしょう」

「そういうことでおじゃるか」

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