魔法武士・種子島時堯

克全

第133話台湾開発交易・海軍交易の再編

1540年10月10日『台湾国』種子島権中納言時堯・12歳

「どうだい? 病人はいないかい?」

「大丈夫でございます神様」

「困った事はあるかい?」

「教えて頂いた稲作を始めましたが、隣の部族と領地争いが起こってしまいました」

「じゃあ俺が付き添うから、互いの言い分を話し合おう」

「お願い致します」

「もしどうしても話し合いがつかなかったら、境界の土地を俺が買い取り直接争う事のないようにしよう」

「お願い致します」

種子島家の台湾開発は順調に進んでいた。特に俺が神として崇められたことを生かして、近隣部族との争いを調停し、争いの元になった土地を神域として種子島家の直轄領としたことが大きかった。もちろん両部族には、食料や道具などの彼らが欲しがるものを与えて損をさせないようにしたし、仕事や土地がない余剰人員は種子島家で家臣として召し抱え、土地が増えなくても生活できるようにした。

諸部族から買い取った土地に種子島家陸軍・開墾耕作方や生産工作方を入植させたが、何よりも湊と造船ドックを台湾各地に急いで創り上げた。その工事にも台湾諸部族を雇うことで、台湾の経済をよくすると同時に種子島家の印象をよくしていった。

造船所で建造する戦列艦・フリーゲートの使用する木材は、種子島家陸軍が直接切り出した物もあるが、台湾諸部族との友好関係を築くために、多くは彼らから購入するようにした。もちろん種子島家陸軍は台湾内で自給自足体制を確立すべく塩田開発も行ったが、そこに従事する労働者として台湾諸部族の若者を雇った。

だが長い目で見ると、諸部族全てに輸出可能な特産品を与えなければならない。サオ族とコトコ族には金属文化があったから鍛冶の技術を教えたが、他の部族には木工技術と陶芸技術を部族の文化に合せて教えた。同時に俺が品種改良した稲で三期作が可能になったので、余剰田畑で高価に売る事が出来る砂糖黍作りを教えた。

俺が特に期待したのは兵糧となる食料生産量の増大だったから、タオ族のように漁業を主に行っている部族には、漁業を指導すると共に干物などの保存食料の作り方も教え、完成した商品を購入する事にした。もちろ船を使った漁をしている部族は、種子島家海軍の水夫・海兵候補なので、希望する者は全て召し抱える事にした。

俺は直轄領の九州・対馬国・四国伊予国・琉球国・台湾国を中心として、中国大内・四国一条・明国・李氏朝鮮・沿海韃靼・蝦夷樺太アイヌ・欧州南蛮人・東南アジア諸国との交易を優先すべく、種子島家海軍の艦隊編成を一新した。

同時に敵対及び中立国との交易は、根来寺水軍・御用商人・出入商人に任せることにした。

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