魔法武士・種子島時堯

克全

第132話妊娠

1540年9月30日『筑前国・大宰府』種子島権中納言時堯・12歳

「兼子殿、何か食べたい物は有りますか?」

「余り食欲がなのですが、お菓子なら食べれると思います」

「そうですか、ならば滋養によい物を使って菓子を作らせましょう」

「あ! モンブランと言う菓子が食べたいです」

「分かりました、モンブランも作らせましょう」

「於富殿と初子殿は食べたい物がありますか?」

「私も菓子が食べたいです、大学芋が食べたいです!」

於富殿が言いよどんでいる間に初子殿が積極的に食べたい物を言いだした。やはり甘い菓子、中でも女性が大好きと言われる芋蛸南瓜の内、芋に糖蜜をからめたものが食べたいようだ。

「権大納言さま、この季節ですし、はらこ飯が食べたいです」

「鮭いくら丼では無く、はらこ飯の方が食べたいのだね?」

「出来れば両方食べたいのですが」

「はらこ飯は白い御飯の方? それとも味付けした御飯の方?」

「う!」

「兼子さま! ごめんなさい!」

「いいのです、白いご飯の臭いを思い出して少し気分が悪くなっただけです」

実は兼子が妊娠したのだ!

だが結構悪阻が酷くて、料理役が毎日の食事に気を使う事になった。妊娠糖尿病などの病気は怖いが、毎日キスして体調を確かめて適時に魔法で予防しているから大丈夫だ。だがまあなんだ、この世界この国この時代では初めての子供だし、結構嬉しくもあり心配でもある。

妊娠中に不足しがちな栄養は葉酸・カルシウム・鉄分・食物繊維、だから希望を採り入れつつモンブランの下のスポンジ部分には、基本の何も加えていない奴とドライフルーツを加えたものとナッツを加えた3種を作らせた。

もちろん別皿には、ドライフルーツやナッツを幾らで食べれるように山盛りにしておく。他にもEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富で、心筋梗塞・虚血性心疾患・動脈硬化・脳梗塞・脳卒中・血栓症高脂血症の予防にもなる小魚を干したおやつを常時置いてある。

初子殿が望んだ大学芋はもちろん作るのだが、どうせ薩摩芋で菓子を作るのなら侍女たちが大好きな焼き芋も大量に作らせる。

於富殿が望んだはらこ飯だが、今俺が食べたいのは生の鮭とイクラを使った鮭イクラ丼だからこれを作らせる。同時に白御飯に、醤油・酒・みりん・砂糖を使った出汁で生の鮭を皮ごと切ったものを煮込んだ身と、湯通して白くなり歯ごたえを増したイクラを乗せるものと、鮭を煮た出汁で作った味付け御飯に乗せたものを作る。まあイクラも鮭の切り身も生と煮た物を同時に乗せてもいい。

本当なら鮭尽くしで、チャンチャン焼きや鮭鍋、鮭のバター焼きやムニエルなども作りたいが、悪阻の酷い兼子を苦しませる訳にはいかない。だから今回は、兼子が望んだ物だけを作らせて、俺も一緒に2人だけ別の部屋で食べようと思う。

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