魔法武士・種子島時堯

克全

第110話台湾侵攻開始

1540年1月『台湾・基隆』種子島大弐時堯・12歳

「いいかてめぇ~ら、台湾の民を指一本でも傷つけてみやがれ、どこに逃げようとも大弐さまが地の果てまで追って捕まえ、地獄の拷問を繰り返し繰り返し行って責め殺されるぞ!」

「「「「「はい!」」」」」

「繰り返す、絶対に民を害するなよ!」

「「「「「「はい!」」」」」

俺は遂に台湾侵攻を種子島軍に命じたのだ!

空を翔けながら、眼下で展開される種子島家艦隊の上陸準備を見守る。何度も何度も訓練した上陸作戦だから失敗するとは思はないが、何か想定外の事態が勃発した時には直ぐ救助や援護が出来なけらばならない。

何よりも種子島軍が台湾の民を害することが無いように、監視しなければならないのだ!

俺は今まで九州や四国伊予国の内政や、京で料理だけをしていた訳ではない。ちゃんと台湾各地を飛び廻り、各部族を威圧したり病人を助けて恩を売ったりしていたのだ。

俺が空を飛ぶ姿は、台湾各部族にとっては神としか見えなかったようで、最初はただただ畏れ敬うだけだった。だが猖獗を極める台湾内の疫病を俺が治して廻った事で、現実のご利益や恩寵を与えてくれる掛け替えのない神と信心してくれた。

各部族の伝統・風習・宗教は尊重しつつ、しかしその上位には俺と言う神が存在することを認めさせることに成功した時点での侵攻開始だった。

特にツォウ族は、その伝承で人類の祖先が、玉山の山頂に降り立った。そのうち、西の山麓へ降り立ったものがツォウ族となり、東の山麓へ下ったものがマーヤというものになったとされていたので、空を飛んできた俺は伝承の祖先と同じとみなされた。更に俺が種子島軍を北東の方角から上陸侵攻させたので、種子島家は「マーヤ」と言う同族と信じ、進んで降伏臣従してくれた。

サオ族・コトコ族は、失蠟法で青銅製品を鋳造し鉄製品も作っていたので、少し教えて生産部族として育成することにした。

それぞれの部族や個々人の適正と望みを出来る限り考慮した上で、種子島家で家臣として取り立てて、台湾の人材を有効活用すべく試行錯誤をする事にした。だが何よりも最優先に行うべき事は、台湾全土で開墾を行い種子島領内の食料生産力を高め、天災が起ころうと食糧自給率が100%以上になるように、いや食料輸出が可能となるようにする。

そして日本の何所で飢饉が起ころうと、種子島艦隊を動員して食糧支援を行い領民の心を掴んで、大名・国衆・地侍が種子島家に降伏臣従するしか生き延びる道がない所まで追い込むのだ。それが1番人命を損なう事無く日本を統一する方法だと思う。

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