魔法武士・種子島時堯

克全

第94話6度目の栄達

1539年3月『筑前国・大宰府』種子島大弐時堯・11歳

「禅定太閤殿下、今回の国司就任に色々手を回して頂きありがとうございます」

「気にする事などないでおじゃる、大弐殿に支援してもらっている銭や品物に比べたら大したことないでおじゃる」

「そんなことはございません! 僅か11歳の私が従四位下の官位と大宰大弐・右近衛権少将に加え、多禰・大隅・隠岐・対馬・壱岐の5か国も国司に就任出来たのは、ひとえに禅定太閤殿下の御陰で御座います」

「麿もそこまで感謝してもらえれば、手を尽した甲斐があるのでおじゃる。まあこの件に関しては、大弐殿に世話になっている公家衆全てが賛成してくれたでおじゃる。それに一条卿も親戚故手を貸してくれたでおじゃる」

「本当にありがとうございました。しかし父上様で無く、私にも国司を就任させてくださったのは、参議の地位を考えての事でございますか?」

「その通りでおじゃる、大宰帥殿は既に三位の官位を得ておられるから、参議になる資格はあるでおじゃるが、麿としたら大弐殿に朝政に参加してもらいたいのでおじゃる」

「私が朝政に参加する必要がるでしょうか?」

「大弐殿は神の申し子と言う噂が広まっているでおじゃる。しかも実際に空を飛ぶことが出来るでおじゃる。出来るだけ早く御上(天皇陛下)に忠誠を誓う姿を直にお見せしたいのでおじゃる」

「すでに官職を頂き、臣下の礼を示しておりますが?」

「力弱き者ほど心配するものでおじゃるよ、変な噂をたてて大弐殿に傷をつける訳にはいかないでおじゃる」

「そんな心配は無用でございます、私の御上への忠誠は決して揺らぐ事はありません」

「そうでおじゃるか、それは安心でおじゃるな、だがまあそんな大弐殿だからこそ、常に京にいてもらいたいものでおじゃる」

「常にというわけにはいきませんが、定期的に空を飛んで参じる事は可能でございます」

「なに? そうしてくれるでおじゃるか?」

「大宰府から京まで半刻(1時間)もかかりません、九州も安定してきましたから、月に何度か通う事は可能でございます」

「そうして貰えれば、朝政に参加してもらえるでおじゃる、こんど京に上った時に日を決めて来て欲しいでおじゃる!」

「いつでも御伺いさせていただきます」

「御上に目通りさせるでおじゃる」

「公卿の資格がございませんが?」

「殿上に登らずとも、空を駆けている姿を御上に見て頂くでおじゃる、直ぐに参議に任じられるでおじゃる」

「私としては、大琉球や少琉球を攻め取ってからが都合がいいのでございますが」

「両琉球を攻め取るつもりなのでおじゃるか?!」

「種子島左近衛権少将恵時」
正三位・大宰帥・左近衛権少将
薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前・豊前・豊後の国司
薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前・豊前・豊後の守護

「種子島右近衛権少将時堯」
従四位下・大宰大弐・右近衛権少将
多禰・大隅・隠岐・対馬・壱岐の国司
多禰・大隅・隠岐・対馬・壱岐の守護

大宰帥・従三位相当
大宰権帥・従三位相当
中納言・従三位
右近衛権中将・従四位下相当
大宰大弐・従四位下相当
大宰少弐・正五位上相当
左近衛権少将・正五位下相当
少納言・従五位下相当

「中納言への昇進条件」
参議を15年以上務めた者は、中納言に昇進できる
摂政・関白や治天の君の意向次第では、15年未満で昇進することも少なくない
参議であって左大弁・右大弁を兼ねる者、参議であって近衛中将を兼ねる者、参議であって検非違使別当を兼ねる者は、単に年功序列で中納言となる者よりも優先的にあるいは短期間で中納言に昇進できる。また、その後大納言になれる可能性も大きい
摂関の子息で二位または三位の位階を帯び近衛中将の官職にあるものは、参議を経ずしていきなり中納言に任じられる慣例

「参議」
四位以上の位階を持つ廷臣の中から、才能のある者を選び、大臣と参会して朝政を参議させたもの
「参議任官の条件」
以下のいずれかの官職を務めた経験がある者 蔵人頭・左右大弁・近衛中将(長年務めた場合のみ)・左中弁・式部大輔(侍読を務めた場合のみ)
五ヶ国の国司を無事に務め上げた者
三位の位階を持つ者

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