魔法武士・種子島時堯

克全

第62話造船所と大砲の種類

1537年4月『多禰国・種子島城』種子島右近衛権少将時堯・9歳

「棟梁、建造の進捗具合はどうだい?」

「順調でございます、若殿」

「戦列艦やフリーゲートなどの南蛮帆船はここが主力造船所だ、棟梁に頑張ってもらわなければ、種子島海軍の戦力は整わぬ」

「お任せください若殿、戦列艦なら1つの船渠で1年に1隻、フリーゲートなら8カ月に1隻を建造して見せます!」

「となると、以前棟梁が献策してくれたように、船渠が多ければ多いほど建造速度が早くなるのだな?」

「はい! 建造速度を上げる為に、船渠の増設と種子島以外での戦列艦の建造を若殿に献策させていただきました」

「そうだったな、来年には種子島以外からも続々と戦列艦やフリーゲート艦が進水するのだな!」

「はい! 大砲の生産が間に合えば、無敵の大艦隊が出来上がります!」

「船大工の数は間に合っているのか?」

「若殿が大金を投じて全国から船大工を集めて下さいましたから、何とか頭になる者は揃いましたが、南蛮船の建造技術に関しては、若殿が引き抜いて下さいました南蛮人の船大工を巡回させて対応しております。ですが今少し多くの南蛮人船大工を引き抜いて頂きたいです」

「分かった、金に糸目をつけずに今後も南蛮人の技術者を引き抜く」

「お願い致します」

「和船に南蛮式の帆柱を組み合わせる、合の子船への改装はどうだ?」

「新造の関船を一部だけ行っていますが、人員資材共に南蛮船の新造に優先的に回していますので、今後は和船のままで防衛戦・訓練・漁業に使われる事を献策させていただきます」

「そうだな、南蛮船の量産が軌道に乗るのなら、合の子船への改装に人材や資材を回すのは無駄だな、分かったそうしてくれ」

「承りました」

「ジャンク船の方はどうなっている?」

「攻守のバランスが取れたよい船ですが、南蛮船が量産出来るなら、今のまま交易に専念させてはどうでしょうか?」

「大砲を装備させればそれなりに戦闘は可能なのだな?」

「はい、十分戦闘力があります」

「問題は搭載する大砲が揃うかどうかだな?」

「はい、大砲を搭載出来れば交易時に海賊を恐れる必要も少なくなります」

「大砲工場を増設させよう」

「鉄製の大砲で無くても構いません、青銅製の大砲でも数が揃えば十分戦力になります」

技術進歩がまるで逆だな!

反射炉工場を大量に設立した事で、均一で高品質な鉄を創り出すことが出来るようになった。だから青銅製大砲を飛び越えて、強火薬が使用できる前装施条鉄製のカノン砲を生産するようになっている。だが大砲の数をそろえるのであれば、比較的弱火薬を使用する青銅製のカロネード砲も量産すればいい。

長射程の小口径前装施条鉄製砲と短射程前装滑空青銅製砲を量産し陸海軍に配備する。日本の統一は当然行うが、何より南蛮諸国が行うであろう奴隷制と植民地政策を打破する!

そのためには戦力整備は不可欠、何より艦船を長期間使用するためには、船体の材木の腐食を防ぐ為、銅で覆わなければならないが、その銅を確保するための資金を獲得しなければならない。国を攻め取るよりも工場を設立し職人や技術者を育てて金儲けをするのだ!

ファルコネット砲・5-7cmという比較的小さい口径で、300-1kg程度の砲弾
セーカー砲・弾丸重量5ポンドクラスの小口径前装式大砲
半カルバリン砲・弾丸重量9ポンドクラスの小口径前装式大砲
カルバリン砲・弾丸重量18ポンドクラスの中口径前装式大砲
カロネード砲・砲身が短く肉薄自重0・8トン・砲身長1・2m・射程は短い
デミ・カノン砲・同じ32ポンド砲2・5トン・砲身長3m
ウルバンの巨砲・砲丸に使う石は約8メートルの長さで500キログラム以上

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