魔法武士・種子島時堯
第57話接待
1537年4月『大隅国・国分清水城』種子島右近衛権少将時堯・9歳
「少将よ、今日はどこの連れて行ってくれるのでおじゃる?」
「そうでございますね、五島列島の江川城ではどうでしょうか?」
「そこでも美味しいものは食べられるのでおじゃるか?」
「美味しいものとなりますと、この国分清水城か筑後の鷲尾城でないと難しいです」
「そうでおじゃるか、ならばここで昼食を食べた後で五島に参り、ここに戻ってから夕食にするでおじゃる」
「承りました」
今俺はとっても困っている!
九条禅定太閤殿下が、こともあろうに俺に抱えられて空を駆けるのがとてもお気に入りとなられたのだ。そのせいで、毎日領内各地を巡検するときに殿下を抱えて行かねばならないのだ!
まあ種子島家としては悪い話だけではない。朝廷から父上様が頂いた正三位という地位だけでは、名門意識が強い北九州国衆を従えるのには少々弱かった。だが関白まで勤められた九条家の当主が、俺に抱かれて嬉々として訪れれば、どれほど名門の国衆でも種子島家に一目置くのだ!
まあ公卿の中でも九条殿下は物好きの変わり者らしく、「飯綱の法」と言われる魔術に凝っており、山の民から飯綱の法を伝授してもらったと言い切ってくる。まあ管狐と言う妖怪を使役出来るという妄想だが、実際にイイズナと呼ばれる動物を飼いならして見世物にする方法もあるにはある。
そんな殿下を抱えて領内各地を視察していると言う噂は、瞬く間に九州全土は及ばず中国・四国地方にまで鳴り響いた。
「禅定太閤殿下、このような田舎城にわざわざ訪れてくださるなど、これほどの名誉はございません!」
「気にすることなどないでおじゃる、余は種子島家を肥前の国司にふさわしいか各地を見て回っているだけでおじゃる。まあ場合によっては大宰帥に任ずるかもしれんが」
「そうなれば真にお目出度いことでございます! 左近衛少将様は肥前の国司にふさわしい方でございます、いえ、大宰帥となられ九州全土を支配下に置かれれば、朝廷の威光を九州の隅々にまで届けてくださいます!」
五島の領主・宇久盛定が必死に父上様を褒め称えている。俺が討伐して以来、領主としての五島支配権は著しく低下したものの、元から持っていた船を商人として活用することで、急激に豊かになってきていた。しかも直轄地に限っては、俺の行った農業改革で収穫量が増える見込みも立っている。まあ何より、空を駆け城門や土塁を破壊する俺を前にして、種子島家に不利になる言葉を吐ける者がいるはずもない。
「少将よ、この島の塩田や堤防も素晴らしいでおじゃる!」
「はい、種子島家が抱える黒鍬衆が1月で成し遂げた成果でございます、わが種子島家の領地となった国は、みなこのような作事を行い繁栄させてご覧に入れます」
「そうでおじゃるか! これはますます種子島家を大宰帥に推挙した方がよいでおじゃるかな?」
「何分よしなにお願い申し上げます!」
「少将よ、今日はどこの連れて行ってくれるのでおじゃる?」
「そうでございますね、五島列島の江川城ではどうでしょうか?」
「そこでも美味しいものは食べられるのでおじゃるか?」
「美味しいものとなりますと、この国分清水城か筑後の鷲尾城でないと難しいです」
「そうでおじゃるか、ならばここで昼食を食べた後で五島に参り、ここに戻ってから夕食にするでおじゃる」
「承りました」
今俺はとっても困っている!
九条禅定太閤殿下が、こともあろうに俺に抱えられて空を駆けるのがとてもお気に入りとなられたのだ。そのせいで、毎日領内各地を巡検するときに殿下を抱えて行かねばならないのだ!
まあ種子島家としては悪い話だけではない。朝廷から父上様が頂いた正三位という地位だけでは、名門意識が強い北九州国衆を従えるのには少々弱かった。だが関白まで勤められた九条家の当主が、俺に抱かれて嬉々として訪れれば、どれほど名門の国衆でも種子島家に一目置くのだ!
まあ公卿の中でも九条殿下は物好きの変わり者らしく、「飯綱の法」と言われる魔術に凝っており、山の民から飯綱の法を伝授してもらったと言い切ってくる。まあ管狐と言う妖怪を使役出来るという妄想だが、実際にイイズナと呼ばれる動物を飼いならして見世物にする方法もあるにはある。
そんな殿下を抱えて領内各地を視察していると言う噂は、瞬く間に九州全土は及ばず中国・四国地方にまで鳴り響いた。
「禅定太閤殿下、このような田舎城にわざわざ訪れてくださるなど、これほどの名誉はございません!」
「気にすることなどないでおじゃる、余は種子島家を肥前の国司にふさわしいか各地を見て回っているだけでおじゃる。まあ場合によっては大宰帥に任ずるかもしれんが」
「そうなれば真にお目出度いことでございます! 左近衛少将様は肥前の国司にふさわしい方でございます、いえ、大宰帥となられ九州全土を支配下に置かれれば、朝廷の威光を九州の隅々にまで届けてくださいます!」
五島の領主・宇久盛定が必死に父上様を褒め称えている。俺が討伐して以来、領主としての五島支配権は著しく低下したものの、元から持っていた船を商人として活用することで、急激に豊かになってきていた。しかも直轄地に限っては、俺の行った農業改革で収穫量が増える見込みも立っている。まあ何より、空を駆け城門や土塁を破壊する俺を前にして、種子島家に不利になる言葉を吐ける者がいるはずもない。
「少将よ、この島の塩田や堤防も素晴らしいでおじゃる!」
「はい、種子島家が抱える黒鍬衆が1月で成し遂げた成果でございます、わが種子島家の領地となった国は、みなこのような作事を行い繁栄させてご覧に入れます」
「そうでおじゃるか! これはますます種子島家を大宰帥に推挙した方がよいでおじゃるかな?」
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