魔法武士・種子島時堯

克全

第54話壱岐国侵攻と海賊衆の行く末

1537年3月『壱岐国・菊城』種子島左近衛将監時堯・9歳

壱岐国は上松浦党の波多が支配していたが、すでに肥前国に本拠を持つ波多下野守興は俺に降伏臣従しており、問題は壱岐国を直接統治している壱岐6人衆以下の、国衆地侍が俺に心から臣従するかだった。

「壱岐国に実際住んでいる国衆」
牧山善右衛門・壱岐六人衆
牧山舎人・壱岐六人衆
下条将監・壱岐六人衆
立石三河・壱岐六人衆
下条掃部・壱岐六人衆
松本左近・壱岐六人衆

五島列島の慰撫政策が上手くいったので、壱岐国にも5万の兵力を投入して1カ月を掛けて島内の開墾開発を行った。

壱岐国の開墾開発が終わった後で問題になったのは、領内の国衆・地侍の行く末だったが、特に大きな問題は海賊衆の今後の事だった。

陸軍に所属する元国衆・地侍の多くは、能力に応じて給料をもらって働く終身雇用制の軍人になったのだが、海軍に所属させて同じように軍人にするには、海賊衆の操船・航海などは特殊能力すぎた。彼らは本当に海賊として海に出て生きることが出来るのだ。いや商人となって湊を行き交うだけでも莫大な利益を得る事が出来るのだ。

そこで自前の艦船を所有する海賊衆・国衆には、所有する艦船を持ち込んで海軍で働く場合は、戦目付を乗員させる事を条件に、給料以外に種子島家の交易品を委託売買することを許可した。委託販売で得た利益の1割を、報奨金として受け取れることにした。

この条件を加える事で、上松浦党・下松浦党に分かれた水軍で有名な松浦四十八党を降伏臣従させる事が出来た。他にも西彼杵半島の突端部とその周辺に移住し、多比良に城を築き江島等諸島飛石伝いに五島と海路をつなぎ、そこを通過する船の水先案内につとめ、関税をとり、豊富な財力をたくわえた小佐々海賊衆などを種子島海軍に加える事が出来た。

だが中には種子島家に降伏臣従した事を契機に、潔く武士を止めて商人として働く海賊衆も現れた。武士として鍛え上げた武芸と、海賊衆として鍛え上げた航海術・操船術で大海原に乗り出すのだ。交易品を購入する元手さえあれば、北は蝦夷地から南は東南アジア諸国までを船団を組んで往復することで、1年で元手を10倍20倍にする事も可能なのだ!

先に種子島家海軍の艦艇に乗り込み、種子島領から蝦夷地まで往復した事のある者をスカウトして、利益の1割を歩合として与えることで種子島家から引き抜き、その男を水先案内人や交渉頭に抜擢して商売を始める国衆や海賊衆が現れた。

種子島家としても、武士・足軽・平民階級の海軍兵が辞めることを止める訳にはいかなかった。そこで海軍に新規で乗り込ませ、航海術や操船術を学ばせるのは奴隷を中心にする事になった。

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