魔法武士・種子島時堯

克全

第27話反射炉・砲撃兵器

1535年6月『多禰国・屋久島城』種子島左兵衛尉時堯・7歳

「どうだい、進んでいるかい?」

「これはこれは若殿、またこのような場所にまで飛んで来てくださったのですか?」

「ここは種子島家の未来を左右する大切な場所だからな、出来るだけ時間を作って来るさ」

「有り難いお言葉でございます」

「それでどうだい? 進んでいるかい?」

「はい! どうぞ見てやって下さい」

種子島家の元々の領地、種子島・屋久島には秘密の技術が山ほどあるが、中でも大切なものの1つに反射炉がある。これは大砲用の鉄を均一に精錬する為に必要な物なのだが、俺が産まれた時にはまだ日本には存在しなかったのだ。反射炉を作りだすのに必要な、耐火煉瓦がそもそもなかったんだから作れるはずがなかったが、俺には作りだす知識も技術もあるのだ。

俺の持つ膨大な知識や技術は、この世界この時代に広める事をためらう物がほとんどだが、反射炉や耐火煉瓦なら導入しても大丈夫と判断した。それでも他国に知識と技術が盗まれ無いような、防諜が出来る忍者軍団と正式軍団が編成出来るまで待ったのだ。

反射炉だけではない、硝石を作るための小屋も林立しているし、火縄銃を量産するための工場もたくさん立ち並んでいる。いや新兵器となる鉄砲工場も建築させた、反射炉で大量に良質な鉄・銅・鉛・亜鉛・アルミなどが生産出来るようになったので、今までの士筒級火縄銃だけでなく、銃身にライフリングを施したボルトアクション式・銅製薬莢使用の銃の試作もさせていたのだ。

いや何よりも艦船に搭載するための大砲を鋳造させているのだ。日本式の重量計算法だから、1貫文(3・736キログラム)・2貫文・4貫文・8貫文の砲弾を撃ち出す事が出来る大砲が次々と完成して行っている。

次に見学に入ったのは曲射砲(山砲・迫撃砲)を製造する工場だ。これが完成すれば、放物線軌道によって飛距離が増大し、着弾時の弾速≒初速となり威力も増大する。なにより障害物の向こうにいる敵を攻撃する事が可能になるのだ。

その後見学したのは手榴弾・焙烙玉の製造工場だ。手榴弾・焙烙玉とは、素焼きの壺に火薬を詰めて導火線に火を点けて敵方に投げ込む兵器だ。さらにそれを進化させて、ロケット型の素焼きや竹筒・紙筒に火薬を詰め込み、底部にも火薬を詰め込み推進力として利用した原始的なロケット弾も試作開発生産させている。

もちろん大砲を搭載するための艦船、スクナー、ブリック、フリゲート、戦列艦も建造している。ただ薩摩国・大隅国・日向国の一部を支配下に置けたので、将来日本の大切な資源となる屋久杉の伐採は止めさせた。

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