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克全

第6話:謀略

情けない事ですが、王太子は私の味方もしなければオスカーの味方もせず、困ったような表情をするだけでした。
やはり私は王太子を好きになれません。
王太子として、特定の家臣の肩を持つわけにはいかないと考えているのかもしれませんが、それならば最初からオスカーにだけ重要な役目を与えてはいけません。
私はこのようなバカが許せない性格なので、絶対に結婚できません。
その為には策を前倒しで行わなければいけません。

「プランケ城伯、貴君の悪事は明らかになった。
奪爵の上、国外追放を命じる」

私が独自の密偵を使って調べ集めた証拠を、有耶無耶の処分ですまそうとしていた王家と貴族院に提出しました。
その上で、ダンセル公爵家の権力と影響力と、光の聖女を暗殺しようとしていたと憤った民の圧力を使って、厳しい処分を下させました。

「レイラ、また君の屋敷で色々と教えて欲しいのだが、いいだろうか?」
「殿下の側近方と、私の側近、それにミアが同席するのなら構いませんわ」

「そうか、そうだな、君の名誉を損なうわけにはいかないから、そうしよう」

王太子がチラリとミアに視線を向けて、ミアも頬を赤く染めています。
思惑通り、とてもいい傾向ですね。
ミハル姉上が諦め顔をですが、他の者達は困惑顔です。
もう十分、王太子がミアに御執心だという噂が広まっています。
私が平気で間を取り持っているの、訝しく思っている王侯貴族がいるようですが、私もダンセル公爵家も別に損をするわけではありません。

「殿下、そろそろミアを私の養妹、パリル伯爵家令嬢というだけではなく、ダンセル公爵家の養女、公爵令嬢にしたいのですが、よろしいですか?」

殿下はハッとした後で、マジマジと私の顔を見つめます。
私が何を言いたいのか分かったのでしょう。
元々設定で相思相愛となり、私を断罪してまで元平民男爵令嬢と結ばれたのです。
私が機会を設けてあげたら、抜き差しならない関係になるのは分かっていた事。
もしかしたら、殿下はロリコン設定だったのかもしれませんね。

「それは、フレッド卿、いや、ダンセル公爵家が認めてくれているという事か?
その、私の想いに気がついているという事か?」

殿下にしては思い切った度胸のある態度をとりましたね。
これが恋心というものかもしれません。

「ええ、国王陛下が養女を認めてくだされば、ダンセル公爵家から正室が出る事に違いはありませんから、私への賠償は面目を保つ程度でいいのですよ。
丁度プランケ城伯領が王家の者になったところですし」

プランケ城伯領は前から目をつけていたのですよね。

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