転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
第1話:生贄
「うわっ、やべえ、ドラゴンだ、ドラゴンが出やがった」
パーティーリーダーのアーサーが驚き騒いでいる。
大当たりと言えばいいのか大外れと言えばいいのか、階層ボス部屋にレッドドラゴンが出てしまった。
回復魔法の使い手が高位神官の娘で、神殿の情実で勇者パーティーを自称しているが、能力的にも人格的にとても勇者を名乗れる連中じゃない。
こいつらにレッドドラゴンを斃す能力などない。
嫌な噂が本当なら、こいつらのやる事は想像がつく。
ドン!
俺の後ろにいた偽聖女のジュリアと女魔術士のダーシィが、慣れた手際で俺をレッドドラゴンの方に押しやった。
「ブルーノ、お前は生贄だ、勇者様の役に立てるんだ、喜んで死ねや」
偽勇者のアーサーが、卑怯な真似をした上に下劣な事を口にしやがった。
「ワッハハハハ」
獣人のジャガーは荷役の俺を生贄にするのが面白いようだ。
「……」
盾役のローガンが殿を務めながら、非情な視線を送って俺の横を素通りする。
エルフ族の女弓兵ネヴィアまで、何も言わずに逃げ出した。
もう何度も荷役を犠牲にして生き延びてきたから、エルフ族の誇りを失ってしまったのだろう、悲しい事だ。
前世で読んだ小説の影響で、エルフ族には憧れがあったのだが……
「うっわあああああ、助けてくれぇえええ」
俺は怯えたフリ、絶望したフリをして悲鳴をあげた。
これで連中は安心してボス部屋から逃げ出すだろう。
そして俺がここから逃げ出せないように、部屋を厳重に閉める事だろう。
問題はまたあいつらがボス部屋に攻略を挑戦しないかだが、たぶん大丈夫だ。
いざという時に荷役を生贄にして生き延びる事を覚えたゲスどもは、次の荷役を調達するまではボス部屋の挑戦はしないはずだ。
「うっわあああああ、助けてくれぇえええ」
念のためにもう一度悲鳴をあげておこう。
ボス部屋の外にまで聞こえるとは思えないが、念のためだ。
ただの荷役が、レッドドラゴン相手に長時間逃げられるはずもない。
普通の荷役ならもうとっくにレッドドラゴンに喰われている。
前世の記憶があって、特別な鍛錬法で非常識な魔力量になった俺だからこそ、レッドドラゴンが相手でも遊んでいられるのだ。
さて、そろそろ素材になってもらおうか。
できれば美味しい肉と牙がドロップして欲しいな。
備蓄しているドラゴン肉が少なくなっている。
色々な肉を食べてきたが、ドラゴン肉の美味しさは別格だからな。
俺はレッドドラゴンすら反応できないスピードで動き、魔力の塊を放ってレッドドラゴンの心臓と頭を粉砕した。
野生のレッドドラゴンが相手なら、できるだけ素材を傷つけないように、脳の一部を破壊して殺すか、血管を切断して全ての血を絞り出して殺すのだが、斃せば消滅してお宝をドロップするダンジョンのモンスターなら、気兼ねなく破壊できる。
結局今回は肉と牙と肝臓と鱗をドロップしてくれた。
パーティーリーダーのアーサーが驚き騒いでいる。
大当たりと言えばいいのか大外れと言えばいいのか、階層ボス部屋にレッドドラゴンが出てしまった。
回復魔法の使い手が高位神官の娘で、神殿の情実で勇者パーティーを自称しているが、能力的にも人格的にとても勇者を名乗れる連中じゃない。
こいつらにレッドドラゴンを斃す能力などない。
嫌な噂が本当なら、こいつらのやる事は想像がつく。
ドン!
俺の後ろにいた偽聖女のジュリアと女魔術士のダーシィが、慣れた手際で俺をレッドドラゴンの方に押しやった。
「ブルーノ、お前は生贄だ、勇者様の役に立てるんだ、喜んで死ねや」
偽勇者のアーサーが、卑怯な真似をした上に下劣な事を口にしやがった。
「ワッハハハハ」
獣人のジャガーは荷役の俺を生贄にするのが面白いようだ。
「……」
盾役のローガンが殿を務めながら、非情な視線を送って俺の横を素通りする。
エルフ族の女弓兵ネヴィアまで、何も言わずに逃げ出した。
もう何度も荷役を犠牲にして生き延びてきたから、エルフ族の誇りを失ってしまったのだろう、悲しい事だ。
前世で読んだ小説の影響で、エルフ族には憧れがあったのだが……
「うっわあああああ、助けてくれぇえええ」
俺は怯えたフリ、絶望したフリをして悲鳴をあげた。
これで連中は安心してボス部屋から逃げ出すだろう。
そして俺がここから逃げ出せないように、部屋を厳重に閉める事だろう。
問題はまたあいつらがボス部屋に攻略を挑戦しないかだが、たぶん大丈夫だ。
いざという時に荷役を生贄にして生き延びる事を覚えたゲスどもは、次の荷役を調達するまではボス部屋の挑戦はしないはずだ。
「うっわあああああ、助けてくれぇえええ」
念のためにもう一度悲鳴をあげておこう。
ボス部屋の外にまで聞こえるとは思えないが、念のためだ。
ただの荷役が、レッドドラゴン相手に長時間逃げられるはずもない。
普通の荷役ならもうとっくにレッドドラゴンに喰われている。
前世の記憶があって、特別な鍛錬法で非常識な魔力量になった俺だからこそ、レッドドラゴンが相手でも遊んでいられるのだ。
さて、そろそろ素材になってもらおうか。
できれば美味しい肉と牙がドロップして欲しいな。
備蓄しているドラゴン肉が少なくなっている。
色々な肉を食べてきたが、ドラゴン肉の美味しさは別格だからな。
俺はレッドドラゴンすら反応できないスピードで動き、魔力の塊を放ってレッドドラゴンの心臓と頭を粉砕した。
野生のレッドドラゴンが相手なら、できるだけ素材を傷つけないように、脳の一部を破壊して殺すか、血管を切断して全ての血を絞り出して殺すのだが、斃せば消滅してお宝をドロップするダンジョンのモンスターなら、気兼ねなく破壊できる。
結局今回は肉と牙と肝臓と鱗をドロップしてくれた。
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