公爵の長男に転生したけど、職業スキルがスライム従魔師だったので、王太女との婚約を破棄され追放されてしまった。
第54話:恐妻家
移動中も狩りや採取を忘れているわけではない。
サクラの体内では、分裂したベビースライムやリトルスライムが食事を待っているから、害獣と考えられる獣や魔獣は問答無用で狩っている。
途中にある街や村が必要としている素材や回復薬、解毒薬は望まれれば売る。
回復薬や解毒薬を買う事のできないような貧民には、クラリス王太女殿下の下賜品として無料で与え、殿下の名声を高めた。
まあそんな事をしなくても、莫大な量の食糧をサクラの体内に備蓄している。
ダンジョンから魔蝙蝠、魔鼠、魔飯綱、魔鼬、魔狸、ゴブリンを輸送役のロードスライムに大量に運ばせてきて、旅行中にサクラ達が飢えないようにしている。
そんな食糧を、クラリス王太女殿下や側近達の目に触れないようにしているから、それでなくても巨大なサクラの身体が、更に体積を増してしまっている。
「何を考えていらっしゃるのですか、アレックス様。
私と一緒にいる時は私の事だけを考えてくださらないと嫌です」
「ああ、ごめんなさい、クラリス王太女殿下」
「嫌でございます、アレックス様、クラリスと呼び捨てにしてください」
流石に呼び捨ては問題があるからできないが、親しい関係を見せる必要がある。
「そうだね、クラリス殿下、あまりかしこまってもいけないね。
今は伯爵の招きでプライベートな食事に呼ばれているのだし、王太女は省かせてもらいますが、殿下だけはつけさせてください。
不敬だと思う者がいたら、余計な諍いを生んでしまいます」
「もう、アレックス様は真面目過ぎます、その代わり、あああんしてください」
クラリス王太女殿下はそんな事を言いながら、切り分けた肉を俺に食べさせようとするのだが、伯爵と伯爵夫人が唖然とした表情をしている。
こんな態度を見てしまったら、俺達が深い関係だと思い込むだろう。
俺はクラリス王太女殿下が後ろ指をさされないように、我慢に我慢を重ねているのに、殿下は何も考えておられない。
まあ、ティン国王陛下が婚前旅行を勧めるくらいだから、気を使う必要など全くないのかもしれないが、臆病なくらい慎重な性格が邪魔をしてしまう。
「また他の事を考えていますねアレックス様、罰としてあああんしてください。
あああんして私の切った肉を食べてください、アレックス様」
こんなラブラブの行動、自由恋愛が広まっている前世でもやった事がないぞ。
それを王太女と公爵が他の貴族の前でやるのか。
前代未聞の醜聞じゃないのか、本当に大丈夫か。
「アレックス様、私が切った肉は食べられないと申されるのですか」
「いいえ、そんな事はありません、断じてありません。
喜んで食べさせていただきます、あああん」
俺が大きく口を開けると、途端にクラリス王太女殿下の機嫌がよくなった。
満面の笑みを浮かべて俺の口に肉を入れて食べさせようとする。
伯爵と伯爵夫人は、この事を晩餐会や舞踏会で広めるのだろうな。
伝説のファイターキングゴブリンを捕獲したリークン公爵は、信じられないくらい恐妻家で、クラリス王太女殿下の尻に敷かれていると。
サクラの体内では、分裂したベビースライムやリトルスライムが食事を待っているから、害獣と考えられる獣や魔獣は問答無用で狩っている。
途中にある街や村が必要としている素材や回復薬、解毒薬は望まれれば売る。
回復薬や解毒薬を買う事のできないような貧民には、クラリス王太女殿下の下賜品として無料で与え、殿下の名声を高めた。
まあそんな事をしなくても、莫大な量の食糧をサクラの体内に備蓄している。
ダンジョンから魔蝙蝠、魔鼠、魔飯綱、魔鼬、魔狸、ゴブリンを輸送役のロードスライムに大量に運ばせてきて、旅行中にサクラ達が飢えないようにしている。
そんな食糧を、クラリス王太女殿下や側近達の目に触れないようにしているから、それでなくても巨大なサクラの身体が、更に体積を増してしまっている。
「何を考えていらっしゃるのですか、アレックス様。
私と一緒にいる時は私の事だけを考えてくださらないと嫌です」
「ああ、ごめんなさい、クラリス王太女殿下」
「嫌でございます、アレックス様、クラリスと呼び捨てにしてください」
流石に呼び捨ては問題があるからできないが、親しい関係を見せる必要がある。
「そうだね、クラリス殿下、あまりかしこまってもいけないね。
今は伯爵の招きでプライベートな食事に呼ばれているのだし、王太女は省かせてもらいますが、殿下だけはつけさせてください。
不敬だと思う者がいたら、余計な諍いを生んでしまいます」
「もう、アレックス様は真面目過ぎます、その代わり、あああんしてください」
クラリス王太女殿下はそんな事を言いながら、切り分けた肉を俺に食べさせようとするのだが、伯爵と伯爵夫人が唖然とした表情をしている。
こんな態度を見てしまったら、俺達が深い関係だと思い込むだろう。
俺はクラリス王太女殿下が後ろ指をさされないように、我慢に我慢を重ねているのに、殿下は何も考えておられない。
まあ、ティン国王陛下が婚前旅行を勧めるくらいだから、気を使う必要など全くないのかもしれないが、臆病なくらい慎重な性格が邪魔をしてしまう。
「また他の事を考えていますねアレックス様、罰としてあああんしてください。
あああんして私の切った肉を食べてください、アレックス様」
こんなラブラブの行動、自由恋愛が広まっている前世でもやった事がないぞ。
それを王太女と公爵が他の貴族の前でやるのか。
前代未聞の醜聞じゃないのか、本当に大丈夫か。
「アレックス様、私が切った肉は食べられないと申されるのですか」
「いいえ、そんな事はありません、断じてありません。
喜んで食べさせていただきます、あああん」
俺が大きく口を開けると、途端にクラリス王太女殿下の機嫌がよくなった。
満面の笑みを浮かべて俺の口に肉を入れて食べさせようとする。
伯爵と伯爵夫人は、この事を晩餐会や舞踏会で広めるのだろうな。
伝説のファイターキングゴブリンを捕獲したリークン公爵は、信じられないくらい恐妻家で、クラリス王太女殿下の尻に敷かれていると。
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