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結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。

克全

第127話:将来に向けて

「なあ、リカルド、本当に信用信頼できるのは戦友だけだ。
ともに愛情を注がれて育った兄弟姉妹だって信じられるとは限らねえ。
ここは家族で実戦を経験した方がいいんじゃないか」

リカルドが三人の妻に敗れた一カ月後、ローザが決意の籠った眼で話しかけた。
妻三人で実戦訓練を始めたからこそ気がついた事だった。
ローザであっても軽い調子で話せる事ではなかった。
事は子供達の命にすら係わる事だった。
しかも子供達はまだ一番上でも七歳でしかない。
命の重みを感じるには幼過ぎる年齢だった。

「確かにいつかは初陣を経験させることになるだろう。
だがいくら何でも七歳は早すぎる」

リカルドは早くから魔術の訓練をさせた方がいいとは思っていた。
だからゼロ歳児の子供にも魔術を見学させていた。
だが実戦は全然別だった。
まだ幼い子供達に実戦を経験させる気は全くなかった。
だがローザの考えは違っていた。

「それは分かっている、将来の話だ。
それに実際に戦いに参加しなくても、今のように見学するだけでもいい。
私達四人が本気の実戦訓練をやって見せるんだ。
兄弟姉妹で親が戦う姿を見れば、戦争が身近になる。
いつ魔族が襲い掛かって来ても狼狽えなくなる。
その上で将来自分がどうしたいのかを今から考えさせた方がいい」

ローザは子供達が望むのなら魔族の国への侵攻軍を任せたいと思っていた。
兄弟姉妹で聖帝位を争って欲しいなどとは毛頭思っていない。
だが自分が傭兵になるくらい冒険心に富んでいた事は自覚している。
一攫千金を狙うだけなら他に仕事もあった。
立身出世を目指すだけでも他の方法があった。
なのに一番危険な傭兵を選んだのは自分の性格なのだと思っていた。
そんな自分から生まれた子供が与えられた王位に満足するとは思えなかった。

「なあリカルド、千人に一人しか魔力の才能を持った者は生まれない。
その中でも下級魔族を楽々殺せるほどの魔力があるのは十万人に一人くらいだ。
この大陸全体でも精々千人いるかいないかだ。
リカルドのような上級魔族を一撃で殺せるような才能のある人間など他にいない。
凄いと思われる魔術士でも精々中級魔族を殺せる程度だ。
それなのに私達三人はもう上級魔族が殺せるほどの魔術が使える。
持って生まれてそんな才能が与えられた子供達が、自分を抑えられるだろうか。
聖帝位を望んで争ってしまうんじゃないか。
兄弟姉妹が争わないようにするには外に敵を作った方がいいんじゃないか。
子供達には今から魔族の国を攻める役目を与えると言っておいた方が、家族で争う事を防げるんじゃないのか」

リカルドは家族で真剣に話し合った。
戦いの嫌いな子を無理矢理侵攻軍に加えたりはしないが、若気の至りで暴れたくなるような子は、魔国侵攻軍に加えて発散させることになった。
侵攻軍の尖兵となっても死傷しないように、今から鍛えることになった。
結局聖帝国は将来子供達が主力となって魔国に侵攻する政策をとることになった。
その時が来るまでは、子供達が魔国に侵攻したいと言いだすまでは、家族で平和に暮らすことになった。




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