結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。
第89話:崖っぷち
リカルド王太子は皇国との国境線付近から、人が生き残っている都市周辺の農地を回復させていった。
住民三年分の食糧を促成栽培して、本土と呼ばれる元来の領地に戻って行った。
探査索敵魔術を使いながら、隠れ潜む魔王軍遊撃隊を皆殺しにした。
占領併合地の民が安心して暮らせるように努力していた。
リカルド王太子は半年もの時間をかけてウェルズリー領に着いた。
だが毎晩転移魔術を使って家族の元に戻っていた。
カウリー城とダドリー城に交互に訪れていた。
家族団欒の癒しがあるからこそ、リカルド王太子も頑張れるのだ。
それは占領併合地の駐屯部隊に選ばれた将兵も同じだった。
駐屯部隊将兵のほとんどは義勇兵なのだが、占領併合都市に籠城用兵糧が確保できた時点で、輸送部隊に守られた家族がやって来る。
多くの者が戦時体制から平時体制に戻り、家族団欒を愉しめるようになった。
大半が貧民出身の難民だった義勇兵が、今では士族となっていた。
実戦で鍛えられた彼らは、魔王軍遊撃隊程度なら十分戦える実力をつけていた。
都市に籠城して民を守るくらいなら十分任せられる者達だった。
「リカルド王太子、一日千秋の思いでお待ちしておりました。
よくご無事でお戻りくださいました。
先触れから連絡を受けて、くつろげるように準備させていただいております。
どうぞ奥でお休みください」
ウェルズリー領に到着したリカルド王太子は、礼儀として一番にレイラ第三皇女に会って挨拶をした。
正直はところ、リカルド王太子は憂鬱だった。
レイドーン皇帝には早く正式に結婚するように圧力をかけられている。
ウェルズリー城代のフランシス子爵からは、レイラ第三皇女がリカルド王太子のために、砂漠緑化灌漑の地形調査をしていると報告を受けている。
これ以上レイラ第三皇女との関係をうやむやにはできない状態だった。
「ありがとうございますレイラ皇女。
ただまだ正式に結婚式を挙げていませんので、奥で休むとレイラ皇女に不名誉な噂を立ててしまう事になりかねません。
今日は表で晩餐会を開いて今後の事を話し合いませんか」
「それで大丈夫です、リカルド王太子。
ただ父のレイドーン皇帝からは、リカルド王太子が結婚を承諾してくださったと手紙を受け取っておりましたから、その心算で準備しておりました。
また延期となりますと、新たに作り直さなければいけないモノもございます。
そろそろ結婚式の正式な日取りを決めていただけませんか」
リカルド王太子は自分が崖っぷちに立たされている事を自覚した。
住民三年分の食糧を促成栽培して、本土と呼ばれる元来の領地に戻って行った。
探査索敵魔術を使いながら、隠れ潜む魔王軍遊撃隊を皆殺しにした。
占領併合地の民が安心して暮らせるように努力していた。
リカルド王太子は半年もの時間をかけてウェルズリー領に着いた。
だが毎晩転移魔術を使って家族の元に戻っていた。
カウリー城とダドリー城に交互に訪れていた。
家族団欒の癒しがあるからこそ、リカルド王太子も頑張れるのだ。
それは占領併合地の駐屯部隊に選ばれた将兵も同じだった。
駐屯部隊将兵のほとんどは義勇兵なのだが、占領併合都市に籠城用兵糧が確保できた時点で、輸送部隊に守られた家族がやって来る。
多くの者が戦時体制から平時体制に戻り、家族団欒を愉しめるようになった。
大半が貧民出身の難民だった義勇兵が、今では士族となっていた。
実戦で鍛えられた彼らは、魔王軍遊撃隊程度なら十分戦える実力をつけていた。
都市に籠城して民を守るくらいなら十分任せられる者達だった。
「リカルド王太子、一日千秋の思いでお待ちしておりました。
よくご無事でお戻りくださいました。
先触れから連絡を受けて、くつろげるように準備させていただいております。
どうぞ奥でお休みください」
ウェルズリー領に到着したリカルド王太子は、礼儀として一番にレイラ第三皇女に会って挨拶をした。
正直はところ、リカルド王太子は憂鬱だった。
レイドーン皇帝には早く正式に結婚するように圧力をかけられている。
ウェルズリー城代のフランシス子爵からは、レイラ第三皇女がリカルド王太子のために、砂漠緑化灌漑の地形調査をしていると報告を受けている。
これ以上レイラ第三皇女との関係をうやむやにはできない状態だった。
「ありがとうございますレイラ皇女。
ただまだ正式に結婚式を挙げていませんので、奥で休むとレイラ皇女に不名誉な噂を立ててしまう事になりかねません。
今日は表で晩餐会を開いて今後の事を話し合いませんか」
「それで大丈夫です、リカルド王太子。
ただ父のレイドーン皇帝からは、リカルド王太子が結婚を承諾してくださったと手紙を受け取っておりましたから、その心算で準備しておりました。
また延期となりますと、新たに作り直さなければいけないモノもございます。
そろそろ結婚式の正式な日取りを決めていただけませんか」
リカルド王太子は自分が崖っぷちに立たされている事を自覚した。
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