結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。
第87話:国境と政略結婚
リカルド王太子はセント・ジオン皇国を訪問した。
リカルド王太子がついに決断したことで、フィフス王国は多くの国を併合した。
その結果として、セント・ジオン皇国と国境を接することになったからだ。
大陸でも皇国を名乗るくらい強大だったセント・ジオン皇国だが、今では領土だけで言えばフィフス王国の方が十倍近く大きくなるだろう。
大国主義の王侯貴族には面白くない事だろう。
セント・ジオン皇国に下劣な王侯貴族が残っていたら、フィフス王国が占領国の統治に成功して力をつける前に攻めることを考えるだろう。
それを防ぐには皇帝と話をつけるしかなかった。
フィフス王国が占領した国々の利権に皇国が喰い込めると思わせるしかなかった。
「ではリカルド王太子、国境はこれまで通りという事でな」
「はい、レイドーン皇帝陛下
皇帝陛下の英断に心から敬意を表させていただきます」
セント・ジオン皇国のレイドーン皇帝は領土的野心を捨てた。
そんな事をすれば魔王軍の思惑に嵌ってしまうと悟ったからだ。
魔王軍の遣り口は恐ろしく狡猾だった。
魔王軍の策は、大陸の人族同士を争わす事だと気がついたのだ。
現にその一部は成功していて、南部では反リカルドで同盟が組まれている。
レイドーン皇帝から見ればあまりにも愚かな行為だが、それは今の皇国だから言えることで、下劣な貴族を粛清する前なら南部と同じ状況になっていたかもしれない。
魔王軍が浸透作戦ではなくリカルド王太子殺害作戦を選んだのも、リカルド王太子を殺せればそれでよし、殺せなくても反リカルド同盟が組まれると読んだからだ。
もし魔王軍が浸透作戦を選んでいたら、南部が反リカルド同盟を組まず、元勇者を自分達の手で処分していたかもしれない。
「魔王軍討伐の英雄に敬意を表してもらうと、何もしていない朕と皇国臣民は恥じ入るばかりだ。
そもそもここで軍を動かせないのは、朕が今までの統治が失敗していたからだ。
もっと早く内政改革ができていたら、婿殿の手助けができたのにな」
全てが後手に回っているように見えたレイドーン皇帝だったが、ここでリカルド王太子に攻めの一手を使ってきた。
婿殿と強調することで、レイラ第三皇女との婚約が解消されないように圧力と情をかけてきたのだ。
これにはリカルド王太子も配慮しなければならなかった。
「有難いことでございます、皇帝陛下。
今はまだ正式な結婚までには至っておりませんが、魔王軍との戦いが落ち着きましたら、真剣に考えさせていただきます」
「ふむ、だがリカルド王太子、魔王軍との戦いが無くなる事はない。
大陸は遥か昔から魔王軍と戦い続けてきた。
魔王軍との戦いを続けながら日常生活を営むのが人族の生き方だ。
そうは思わないか、リカルド王太子」
「そうかもしれません、皇帝陛下。
魔境の最前線に戻るまでに、新たに組み込んだ領地の統治を行います。
途中でレイラ皇女のおられるウェルズリー城にも立ち寄ります。
その時によく話し合いたいと思います」
「うむ、両家の絆が深くなることを望んでおるぞ」
リカルド王太子がついに決断したことで、フィフス王国は多くの国を併合した。
その結果として、セント・ジオン皇国と国境を接することになったからだ。
大陸でも皇国を名乗るくらい強大だったセント・ジオン皇国だが、今では領土だけで言えばフィフス王国の方が十倍近く大きくなるだろう。
大国主義の王侯貴族には面白くない事だろう。
セント・ジオン皇国に下劣な王侯貴族が残っていたら、フィフス王国が占領国の統治に成功して力をつける前に攻めることを考えるだろう。
それを防ぐには皇帝と話をつけるしかなかった。
フィフス王国が占領した国々の利権に皇国が喰い込めると思わせるしかなかった。
「ではリカルド王太子、国境はこれまで通りという事でな」
「はい、レイドーン皇帝陛下
皇帝陛下の英断に心から敬意を表させていただきます」
セント・ジオン皇国のレイドーン皇帝は領土的野心を捨てた。
そんな事をすれば魔王軍の思惑に嵌ってしまうと悟ったからだ。
魔王軍の遣り口は恐ろしく狡猾だった。
魔王軍の策は、大陸の人族同士を争わす事だと気がついたのだ。
現にその一部は成功していて、南部では反リカルドで同盟が組まれている。
レイドーン皇帝から見ればあまりにも愚かな行為だが、それは今の皇国だから言えることで、下劣な貴族を粛清する前なら南部と同じ状況になっていたかもしれない。
魔王軍が浸透作戦ではなくリカルド王太子殺害作戦を選んだのも、リカルド王太子を殺せればそれでよし、殺せなくても反リカルド同盟が組まれると読んだからだ。
もし魔王軍が浸透作戦を選んでいたら、南部が反リカルド同盟を組まず、元勇者を自分達の手で処分していたかもしれない。
「魔王軍討伐の英雄に敬意を表してもらうと、何もしていない朕と皇国臣民は恥じ入るばかりだ。
そもそもここで軍を動かせないのは、朕が今までの統治が失敗していたからだ。
もっと早く内政改革ができていたら、婿殿の手助けができたのにな」
全てが後手に回っているように見えたレイドーン皇帝だったが、ここでリカルド王太子に攻めの一手を使ってきた。
婿殿と強調することで、レイラ第三皇女との婚約が解消されないように圧力と情をかけてきたのだ。
これにはリカルド王太子も配慮しなければならなかった。
「有難いことでございます、皇帝陛下。
今はまだ正式な結婚までには至っておりませんが、魔王軍との戦いが落ち着きましたら、真剣に考えさせていただきます」
「ふむ、だがリカルド王太子、魔王軍との戦いが無くなる事はない。
大陸は遥か昔から魔王軍と戦い続けてきた。
魔王軍との戦いを続けながら日常生活を営むのが人族の生き方だ。
そうは思わないか、リカルド王太子」
「そうかもしれません、皇帝陛下。
魔境の最前線に戻るまでに、新たに組み込んだ領地の統治を行います。
途中でレイラ皇女のおられるウェルズリー城にも立ち寄ります。
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