結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。
第55話:慰撫
リカルド王太子は情を抑えて政略を行えるようになったものの、好きでやっているわけでもなければ、心を痛めていない訳でもない。
民のため国のため断じて行ってはいたが、元々の心優しさから、相手に悪いという気持ちは持ち続けているのだ。
その気持ちがレイラ第三皇女の住む場所を選ぶ際に現れていた。
「遠路はるばるお疲れだったでしょう、直ぐに休んでいただきます」
婚約者となったレイラ第三皇女をウェルズリー城に迎えたリカルド王太子は、心から労わりの言葉をかけていた。
政略のために好きでもない相手と婚約させられたレイラ第三皇女を、心から可哀想だと思っていた。
だから、まだ心の卑しい身勝手な家臣が残っているフィフス城ではなく、自らの手で奪ったウェルズリー城をレイラ第三皇女の住処と定めたのだ。
「お気遣いありがとうございます、リカルド王太子殿下。
でも、本当にペンドラ国王陛下とモーラ王妃殿下にご挨拶しなくていいのですか」
「お気になされなくても大丈夫ですよ、レイラ第三皇女殿下。
今はまだ政略のために婚約しただけで、正式な結婚をしたわけではありません。
魔王軍を完全に撃退することができたら、円満に解消することもあり得ます。
状況を見ながら私達の距離を決めて行きましょう」
リカルド王太子は、自分だけ好きな相手を公妾に迎え、子供まで生まれて幸せな家庭を築けたことに負い目を感じていた。
だが流石にレイラ第三皇女に愛人を持ってもいいとは言えない。
愛人を持ってもいいというには、正式な結婚をして男子を産んでもらってからでなければいけないが、それでは後戻りできなくなってしまう。
どうすればいいのか、リカルド王太子自身に迷いがあった。
「そうですか、リカルド王太子殿下がそう言ってくださるのなら、私もしばらくはその言葉に甘えさせていただきますが、私はもう覚悟を決めています。
王侯貴族に生まれた以上、政略のない結婚などありえません。
人類のため大陸のため、皇国と王国の絆を結ぶため、リカルド王太子殿下と結婚させていただく覚悟はできています」
レイラ第三皇女の真摯な言葉と視線に、リカルド王太子は気圧される思いだった。
今日ここに来る直前まで家族を幸せな時間を過ごしている事が、レイラ第三皇女に対する負い目を更に大きくさせた。
時間稼ぎをして決断を遅らせようとしていたリカルド王太子だが、レイラ第三皇女の言葉に追い詰められる思いだった。
「分かりました、レイラ第三皇女殿下の覚悟を無にしたりはしません。
レイド―ン皇帝陛下と直接話すようにします」
民のため国のため断じて行ってはいたが、元々の心優しさから、相手に悪いという気持ちは持ち続けているのだ。
その気持ちがレイラ第三皇女の住む場所を選ぶ際に現れていた。
「遠路はるばるお疲れだったでしょう、直ぐに休んでいただきます」
婚約者となったレイラ第三皇女をウェルズリー城に迎えたリカルド王太子は、心から労わりの言葉をかけていた。
政略のために好きでもない相手と婚約させられたレイラ第三皇女を、心から可哀想だと思っていた。
だから、まだ心の卑しい身勝手な家臣が残っているフィフス城ではなく、自らの手で奪ったウェルズリー城をレイラ第三皇女の住処と定めたのだ。
「お気遣いありがとうございます、リカルド王太子殿下。
でも、本当にペンドラ国王陛下とモーラ王妃殿下にご挨拶しなくていいのですか」
「お気になされなくても大丈夫ですよ、レイラ第三皇女殿下。
今はまだ政略のために婚約しただけで、正式な結婚をしたわけではありません。
魔王軍を完全に撃退することができたら、円満に解消することもあり得ます。
状況を見ながら私達の距離を決めて行きましょう」
リカルド王太子は、自分だけ好きな相手を公妾に迎え、子供まで生まれて幸せな家庭を築けたことに負い目を感じていた。
だが流石にレイラ第三皇女に愛人を持ってもいいとは言えない。
愛人を持ってもいいというには、正式な結婚をして男子を産んでもらってからでなければいけないが、それでは後戻りできなくなってしまう。
どうすればいいのか、リカルド王太子自身に迷いがあった。
「そうですか、リカルド王太子殿下がそう言ってくださるのなら、私もしばらくはその言葉に甘えさせていただきますが、私はもう覚悟を決めています。
王侯貴族に生まれた以上、政略のない結婚などありえません。
人類のため大陸のため、皇国と王国の絆を結ぶため、リカルド王太子殿下と結婚させていただく覚悟はできています」
レイラ第三皇女の真摯な言葉と視線に、リカルド王太子は気圧される思いだった。
今日ここに来る直前まで家族を幸せな時間を過ごしている事が、レイラ第三皇女に対する負い目を更に大きくさせた。
時間稼ぎをして決断を遅らせようとしていたリカルド王太子だが、レイラ第三皇女の言葉に追い詰められる思いだった。
「分かりました、レイラ第三皇女殿下の覚悟を無にしたりはしません。
レイド―ン皇帝陛下と直接話すようにします」
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