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結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。

克全

第30話:遊撃対応

リカルド王太子は大きな危機感を持っていた。
魔王軍の遊撃に対する各国の対応がとても心配だった。
セント・ジオン皇国とリストン大公国ならば、自国の軍隊と自警団を総動員して、食糧生産地である農村を全力で護るだろう。
農民を無意味に死なさないように、警備の手薄な間は、農作業に弊害が出て食糧生産量が減少してでも、農民を防塁の外に出さないだろう。
だが、愚かな王侯貴族に統治されている国や貴族領ではそうはいかない。

「申し上げます、各国の農村で甚大な被害が出ているとの事でございます」

リカルド王太子の不安が的中してしまっていた。
各国の権力者は魔王軍の遊撃に対して愚かな判断を下していた。
ある国では、魔王軍との戦いで手柄を立てたい権力者が、民を無理矢理徴兵して討伐軍を組織したが、脚の速い遊撃部隊に全く対応できず、自警団員を徴兵された農村が遊撃部隊に襲われ皆殺しになっていた。

ある貴族領では、襲われるのは防衛力の乏しい農村だというのに、憶病な領主が領都の守りに不安を感じ、農村から自警団員を領都に強制移動させてしまった。
当然の事だが、護り手を失った農村では、残された女子供が皆殺しにされた。
そのような愚かな事が、大陸各地で頻発していたのだ。
ここでさらに農村に例年通りの税を要求するようなら、その国や貴族領では農民による一揆が起こることになる。

「交易部隊には、積極的に義勇兵を募るように伝えるのだ。
役に立たないように見える女子供や老人であろうと、できるだけ多くの民を助けるのだ、食糧や塩は私が何とかする」

リカルド王太子の一日発生魔力量は、魔王の一日発生魔力量を知らないリカルド王太子は不安を感じていたが、魔王の数百倍を誇る常識外れの量だった。
全ては経絡経穴に魔力を流して身体改造し続けている成果だった。
しかも魔力器官を魔法袋化した事で、発生する魔力を全て対魔王戦に備えて備蓄できるようになっていた。
その魔力を使う事で、食糧と塩を確保しようとしていた。

「領民を使って陸稲と大麦を耕作地に植えさせてくれ、私が魔術で急速成長させる。
刈り取りは領民にやらせて、刈り取った後に魔境の土を混ぜて地力を回復させたら、再び陸稲と大麦を耕作地に植えさせてくれたら、再び私が魔術で成長させる」

リカルド王太子は長く備蓄が可能な陸稲と大麦を魔術で量産する気だった。
同時に稲藁や麦藁を使って灰塩も作って備蓄する気だった。
人族が魔王軍遊撃隊の撃退に失敗すれば、これを好機と考える愚かな国は弱体化した国を襲うと考えていた。
飢えた民が生きるために他の村を襲い、人族同士の争いが起こるとも考えていた。
その時に少しでも民を助けようと思えば、どうしても必要になるのが食糧と塩になるのは明白で、大切な魔力を使ってでも難民分の備蓄をする必要があった。

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