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克全

第227話:一八四六年、ベトナム・マレーシア・インドネシア

 俺は以前から匿っていた西山阮氏、広南阮氏、黎氏、チャンパ遺臣を傀儡にして、阮朝ベトナムに攻め込んだ。
 ベトナムの旧皇族王族と自称しているが、別に本物でなくても構わないのだ。
 現地の言葉を学んだ徳川一門であろうと松平諸氏であろうと構わない。
 ベトナムに攻め込む大義名分と、占領後に民を豊かに幸せにできればいい。
 それにベトナム内陸部まで欲しいわけではなく、港を確保できればいいのだ。
 俺もすっかり腐れ外道になってしまったな。

 マレーシアとスマトラ島に関してはイギリスとオランダに占領されている地域が多く、良心を痛めることなく奪い取ることができる。
 イギリスが植民地としていたペナン、マラッカ、シンガポールを攻撃して奪った。
 オランダがイギリスとマラッカと交換して手に入れていた、スマトラ島のベンクーレン(ブンクル)も攻撃して奪った。

 イギリス東インド会社がケダ・スルタン国を騙して奪いとっていた、ペナン島も対岸のセベラン・ペライも徳川家が奪った。
 イギリスの探検家ジェームズ・ブルックが国主となっていた、ボルネオ島北部のサラワク王国も当然攻撃占領した。
 ボルネオ島北西部にあるラブアン直轄植民地などは遠慮する事無く攻め落とした。
 
 だが現地人が建国している国には最大限配慮した。
 フィリピン諸島とボルネオ島の間に連なるスールー諸島のあるスールー王国。
 マレー半島南部を本拠とする港市国家のジョホール王国。
 フィリピンのミンダナオ島西部にあるマギンダナオ王国。
 スマトラ島北端にあるアチェ王国。
 ジャワ島西部バンテン地方にあるバンテン王国等とは友好関係を結んだ。

 ベトナムとの差が激しいが、それは西欧列強の支配下にある港や領地があって、俺が攻め取って占領しても文句が出るか出ないかの差だった。
 マレー半島、スマトラ島、ジャワ島は現地の国や住民に非難されることなく港を含めた領地を奪い取れるが、ベトナムはそうはいかなかった。
 だから偽者を立ててでも侵攻の口実が必要だった。

 ただ俺も腐れ外道に落ちているから、スマトラ島、ジャワ島、それにボルネオ島の国や民を騙して領地を購入した。
 彼らから見れば高額の、いや、愚かなほど莫大な金額で購入したと思うだろう。
 だが俺から見れば二束三文で買い叩いている。
 俺の記憶にある油田地帯を全部買い取ったのだ。
 俺は本当にどうしようもない悪党になってしまっているな。

 ああそうだ、フィリピンもスペインが支配下に置いている領地や都市は、当然攻め取って徳川家の直轄領にしているよ。

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