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克全

第221話:一八四五年、ペルシア帝国占領統治

 ペルシア帝国は崩壊した。
 賄賂好きの腐敗貴族を通してモハンマド・シャーをインドに逃亡させた。
 腐った王侯貴族や士族兵士は皆殺しにしたかったのだが、降伏した者をあまりひどい扱いにするわけにはいかなかった。

 徳川家が占領を宣言して新たな法を発布するまでは、旧ペルシア帝国領内で徳川家の法に違反していたいたからといって処罰する事はできない。
 宣戦布告なしで攻め込んできた連中と同じにはできないのだ。
 だから徳川軍に強制徴兵して軍律を護らせることにした。
 信教を理由に従わない者は強制労働刑にさせた。
 無慈悲で横暴だとは思ったが、叛乱分子を野放しにする事はできなかった。

 だがここで、ペルシア帝国戦線に多くのイスラム教の部族が参戦している事が、徳川軍の戦後統治に有利に働いた。
 コサック、トルキスタン、蒙古などの人達の中にはイスラム教を信じる人達も数多くいて、初期から部族軍や傭兵団として参戦している者の中には、もう十分藩として領地を得られるモノ達がいた。
 彼らがイスラム教徒の捕虜を兵士や領民として引き受けてくれたことで、無用な叛乱を未然に防ぐことができた。

 ペルシア帝国内には降伏しない地方や城砦も残ってはいるが、降伏させるのは時間の問題だった。
 着々とペルシア帝国内の抵抗勢力を駆逐しながら、ペルシア帝国がイギリスに奪われたアフガニスタンに侵攻して占領しようと考えていたが、よく調べると第一次アフガン戦争でイギリスに勝利したアフガニスタン首長国が統治していた。

 必要もないのに欧米列強に勝てる中東の国を攻撃したくない。
 だがエジプト方面に進みたくても俺の知っているイラクはオスマン帝国の支配下に入っていて手出しできない。
 オスマン帝国が欲しがる国や領地と交換するという条件でなければ、シリアやイラク、サウジアラビアやアラブを手放してはくれないだろう。

 ただ俺としても譲歩できるところはある。
 別にシリアが必ずほしいわけではない。
 エジプト、アフリカ大陸まで陸路で鉄道が敷設できればそれでいいのだ。
 オスマン帝国だって徳川家が裏切る可能性を全く考えていない訳ではないだろう。
 オスマン帝国から徳川領に攻め込む可能性も考慮しているはずだ。
 むしろ考慮していなければ国家を預かる者としては失格だからな。

 そうなると、首都のアンカラと徳川領はできるだけ離したいはずだ。
 こちらがカフカス地方とペルシア帝国の北部を割譲するから、代わりにイスラエルとヨルダンとイラン南部を含むアラビア半島を割譲してくれと言ったら、オスマン帝国は認めるだろうか。
 それとも、今はまで占領できていないが、チェコ、スロバキア、ドイツを割譲すると言えば、認めてくれるだろうか。

 まあ、最悪の場合は途中に鉄道を運ぶ連絡船が入るのも仕方がない。
 だができる事なら、船に頼る事のない鉄道網を敷設したい。
 まあ今は占領したペルシア帝国の海岸線の港を整備して、大造船所を創り上げなければいけないな。

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