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克全

第206話:一八四三年、欧州分裂

欧州各国に仕掛けた謀略が予想以上に成功した。
歴史的な敵対と郷土愛が下地にあったのだろう。
こちらが少し突いてやったら直ぐに争いだした。
もちろん統一を目指す者もいるが、よそ者を嫌う人間の方が多い。
一番最初に内戦を起こしてくれたのはイタリアだった。
都市国家時代からの敵対心や競争心もあるのだろう。
大商人にも日本と清の産物を優先的に販売する条件で対立を煽ってもらった。
戦争を引き起こしてぼろ儲けしたい欲もあったのだろう。

イタリアの次はフランスが割れた。
まあ、俺が資金提供して戦わせたのだがな。
パリは共和党に資金提供して占拠させた。
パリを中心にフランドル、ルーアン、ランスにを支配下に置いている
ボナパルト家のナポレオン三世はブルターニュ地方を支配下に置いた。
王党派はオルレアンを中心に活動していた。
ハプスブルク家のナポレオン三世派はミュルーズを中心に活動していた。
まあ、全部そうなるように資金提供して誘導したのだ。
支援してくれる外国や国内貴族をに近い地方を確保しろとね。
南フランスは将来占領する可能性があるから、ツーロンやアヴィニョンを中心にポーランド・リトアニア貴族に金を貸して領地を買収させている。

スペインの内乱は想像以上に激烈な状況になっている。
地方対立が根深かったのと、バルドメロ・エスパルテロ将軍の独裁が嫌われていた事が大きかった。
スペインでも領地を抵当に資金と武器を提供している。
間にポーランド・リトアニア貴族を挟んでいるから踏み倒すのも難しい。
ロシアで失った領地をスペインで取り戻したい元ロシア貴族も頑張っている。
まあこれはフランスでもイタリアでも同じなのだが。
ロシアにはドイツ系を中心に外国系貴族がいたから、上手く使わせてもらった。
場合によればスペインの一部を徳川領にするかもしれない。
特にジブラルタルを攻められる場所は確保しておきたい。

ドイツとオーストリアの対立が激化している。
大ドイツ主義と小ドイツ主義の対立が、ハプスブルク連邦構想により激しくなっている上に、俺が亡命ドイツ系ロシア貴族を使って工作した結果だ。
まだ直接の戦争にはなっていないが、国境線に大戦力を張り付けている。
その影響でイタリア、フランス、スペインに大きな戦力を送れない状態だ。
そのお陰で好き勝手やれた。
いや、好き勝手やれるように謀略をしかけたのだ。
今度はゾフィー・フォン・バイエルンを出し抜けたと思う。

問題はイギリスの出方だ。
二度の内乱と二度の清国遠征敗戦で国力が激減している。
アヘンによる影響も酷いようだ。
だがその分警戒が厳しくこちらの謀略が届きにく。
ジプシーやポーランド・リトアニア貴族もイギリスには送れない。
イギリスがどうでようと欧州に攻め込める場所に領地を増やしたい。
ロシア帝国を滅ぼしポーランド・リトアニア王国と国境を接した。
オーストリアもこちらに戦力を向けられる状況ではない。
ここは大戦力を投入して一気呵成に拠点を獲る。

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