転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第201話:一八四二年、墓穴

今回に関しては俺の大失敗だった。
俺よりもゾフィー・フォン・バイエルンの方が上手だった。
彼女は自分の名誉よりもハプスブルク家の栄光を優先したのだ。
彼女の英断をオーストラリア帝室と夫のフランツ・カール大公が後押しした。
その結果が前世では考えもしなかったハプスブルク連邦構想となってしまった。

元々の大ドイツ主義はオーストリアを含めたドイツの統一だった。
一方の小ドイツ主義はオーストリアに住むドイツ人を除外したドイツ統一だ。
俺の前世ではプロイセンが中心になった小ドイツ主義でドイツは統一された。
だが今生では、オーストリア帝国のハプスブルク家が中核となった、オーストリア、フランス、スペイン、ドイツなどが参加するハプスブルク連邦になってしまい、俺の手には負えない問題となった。

女傑ゾフィー・フォン・バイエルンは長男のフランツ・ヨーゼフ・カールを小国が争うドイツを含めたオーストリア帝国の皇帝にすると宣言した。

次男のフェルディナント・マクシミリアン・ヨーゼフ・マリアはナポレオン二世との不義の子だと宣言して、フランスのボナパルティストを味方につけた。
フェルディナントこそ本当のナポレオン三世だと宣言して、ハプスブルク連邦としてナポレオン一世を毒殺したイギリスに復讐しよう、元の再来である徳川家に備えようと呼びかけたのだ。
早い話が俺を欧州が団結するための共通の敵にしたのだ。
してやられたとしか言えない。

三男のカール・ルートヴィヒ・ヨーゼフ・マリアをスペインのイサベル二世の王配に送り込むと宣言している。
摂政の座を追われたイサベル二世の母親マリア・クリスティーナと彼女の取り巻きはそれを受け入れるようだ。
バルドメロ・エスパルテロ将軍の独裁を嫌っている者達も、自分がバルドメロ・エスパルテロ将軍に取って代わろうとしている連中もだ。

このままハプスブルク連邦が力を持っては困る。
まあ緩やかなつながりの連邦制だから付け込む隙はいくらでもある。
前世でオーストリア帝国を破っているプロイセンとは友好的な関係だ。
プロイセン王の野望を刺激すれば史実のような戦争が始まるかもしれない。
独立を望むハンガリー人を支援して内乱を引き起こさせてもいい。

フランスに関しては危機感を持っている史実のナポレオン三世を支援する。
王党派と共和党派を支援してフランスでも内乱を引き起こさせる。
正直これ以上戦線を広げられる状態ではない。
本当はもっと丁寧に時間をかけて占領地の内政をしたかったのだが、もうそんな事を言っていられる状態ではない。
ここは少々無理をしてでもロシアを滅ぼして足場を固める。

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