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克全

第190話:一八四〇年、アヘン戦争1

一八四〇年八月までに集結した英国東洋艦隊は、戦列艦とフリゲート艦が合わせて十六艦、輸送船が二十七隻、三十二ポンド砲などで武装した汽船が四隻だった。
しかもマスケット銃装備の陸軍兵四〇〇〇を運んでいる。
史実通りなら清国軍が壊滅的損害を受けて負ける。
実際その通りの展開となった。

林則徐率いる広州軍が強敵だと判断したイギリス東洋艦隊は、広州を無視して北上し、最初に厦門を攻撃して占領した。
現地の密偵が、伝書鳩と騎馬伝令を駆使して俺に伝える同時に、北京にいる密偵にも伝え、道光帝との交渉材料とした。
外国に対する攻守同盟の代償として領地割譲を迫ったのだ。

次にイギリス東洋艦隊は舟山列島と定海を攻撃占領した。
ここでも現地密偵が即座に伝書鳩と騎馬伝令で情報を伝えてくれた。
北京にいる密偵が、俺の賄賂で動く高官を使って道光帝に伝えた。
次にイギリス東洋艦隊が攻撃するのは北京の紫禁城だと。

そして実際にイギリス東洋艦隊は一八四〇年九月に天津を攻撃占領した。
道光帝は恐れおののいたようだった。
史実では、道光帝は林則徐を裏切り開戦の責任を一身に負わせて、新疆イリへ左遷して和平派のキシャンを後任としてイギリスと交渉している。
だが今は俺がいて一大海軍を擁しているのだ。

ここで腐敗した清国高官が金に眼が眩んでよく働いてくれた。
イギリス東洋艦隊を撃退したらという条件付きだが、援軍の報酬として金と領地割譲を正式な書面で道光帝が御名御璽したのだ。

その報告を受けた徳川海軍は動いた。
スクリュープロペラで帆走に頼らずに自走できる、一五七六トン五十二門フリゲート艦七十艦と三五〇トン三十六門フリゲート艦百十艦が、餓狼のようにイギリス東洋艦隊に襲い掛かった。

俺の前線の知識と現地密偵の知らせのお陰で、イギリス東洋艦隊が何時何処を襲うかは大体分かっていたから、待ち伏せするような形で攻撃できた。
帆走だったら風や潮の影響を大きく受けていただろう。
だが全艦スクリュープロペラでの自走が可能だったので、常に有利な位置を保ってイギリス東洋艦隊を攻撃できた。

イギリス東洋艦隊は勇ましく戦った。
これぞロイヤルネイビーと言える不屈の精神で向かってきた。
だが個艦性能も艦船数も徳川海軍の方が上回っていた。
それに多くの輸送船と陸軍兵を同行させていた。
大規模な住民虐殺と婦女暴行を行う腐れ外道共。

ロイヤルネイビーには敬意を払うが、殺人鬼や強姦魔、紫禁城で破壊と略奪の限りを尽くした英国陸軍兵を野放しにする気は全くない。
現地指揮官には皆殺しにするように命じてある。
それと沈没寸前とはいえ軍艦十六艦、輸送船が二十七隻、武装汽船四隻を拿捕できたのはとても大きい。


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