転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第185話:一八三九年、アヘン戦争開戦前1

俺はアヘン戦争がとても重要だと考えていた。
だからその為の準備は長年かけてやって来た。
途中で大きな方針変更はあったが、何の問題もないと思う。
その為にイギリス本土への謀略は手心を加えていたのだ。
だからほぼ想定通りに事は進んだ。

俺が以前から接触して密約を交わしていた林則徐が動いた。
欽差大臣に任命されて広東で厳しくアヘン密輸を取り締まった。
アヘン商人からの贈賄を受け取らないばかりか逆に摘発までした。
現地の総督、巡撫、軍幹部と協力して徹底的にアヘン密輸を取り締まった。
それに林則徐には俺が派遣した将兵が私兵となって協力している。
イギリス商人や清国アヘン商人など敵ではない。

この取り締まりで俺は一四〇〇トンのアヘンを手に入れた。
これが一番大切な林則徐との密約だった。
信じてもらえるだけの誠実な関係をずっと続けてきた。
それに林則徐には俺の方針を伝えてある。
清国人をアヘン中毒にした下劣な英国人にアヘンを吸わせ、同じようにアヘン中毒にするのだと。

俺は手に入れたアヘンを直ぐに清国から持ち出した。
一刻も早く英本土の持ち込んで英国人をアヘン中毒にするためだ。
目には目を歯には歯を、英国人をアヘンの禁断症状で骨抜きにする。
俺達が英本土に攻め込んでも抵抗できないくらいの中毒患者にする。

そのためにはアヘンを英本土に持ち込まなけらばいけない。
しかし英国海軍が力を持っている東南アジア、インド、アフリカを経由した海路での輸送は難しい。

だから日本が確保しているシベリア陸路で運ぶ。
エジプトまで陸路で運べば、後は友好国となったフランス船を使って運べる。
いや、カフカス方面にまで運ぶことができれば、同盟国となっているポーランド・リトアニア王国名義で建造した黒海艦隊を使って運ぶことができる。
そのまま直接イギリス本土に運ぶ事もできれば、一旦フランス南部の港に陸揚げしてフランスを縦断して、カレー辺りから海路でイギリス本土に送ってもいい。

だがそれだけでは確実にアヘンをイギリス本土に運べないかもしれない。
イギリスは過去に大陸封鎖作戦を何度もやっている。
輸送路は多ければ多いほどいい。
海路もしくは陸路で北米までアヘンを運び、北米東岸からイギリス本土に運び込むことができれば、イギリスも取り締まり切れなくなる。

北米ルートの一つは、今まで協力してくれていた非アングロサクソンが、アメリカ合衆国内戦を恐れてイギリス籍の船でイギリス本土に逃げるという状況で運ばせる。
もう一つのルートはフロリダで建造した艦艇を使ってイギリス本土に運ばせる。
建造した艦艇の国籍はポーランド・リトアニア王国にすればいい。
カナダのハドソン湾沿岸を確保して艦艇を建造できればもう一つ手段を確保できるかもしれないな。


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