転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第175話:一八三八年、アヘン戦争をどうする。

俺は悩みに悩んでいる。
清国の扱いをどうするかだ。
大慶油田を手に入れるためなら、アヘン戦争が起きるのに任せて追い込む。
苦境に立った清国の弱みに付け込んで強気で交渉する。
少なくとも国境線の曖昧になっている沿海州やアムール州は手に入る。

うん、ここはイギリスを追い込み過ぎない方がいい。
特に東インド会社には絶対に手出しするべきじゃない。
今のままだと日本と清国が直接戦争になりかねない。
それではロシア、アメリカ、イギリスに続いて清国方面で戦争が始まってしまう。
俺にだってそれくらいの判断はできる。

アヘン戦争を勃発させるためにイギリスには手心を加える。
まあ、味方を大陸からグレートブリテン島に渡らせるのは危険過ぎる。
アイルランドやスコットランド、ウエールズに送るのも危険だ。
アイルランドは別の島だが、イギリス海軍を舐めてはいけない。
遠征に従軍してくれている勇士に意味のない危険な任務を命じてはいけない。

問題は清国からどこまで領地を譲らせるかだ。
少なくともアヘン戦争で敗戦した清国が欧米列強に譲った領地は手に入るだろう。
南京条約では香港島を割譲し、二一〇〇万ドルを四年分割で賠償している。
広州、福州、廈門、寧波、上海の五港を開港し、公行も廃止して貿易を完全自由化している。

その後は雪だるま式に欧米列強にいいようにされている。
イギリスに対しては、虎門寨追加条約で関税自主権を奪われ、領事裁判権を認めさせられ、最恵国待遇を与えさせられている。

アメリカに対しては望厦条約でイギリスと同じ待遇を約束させられた。

フランスに対しても黄埔条約でイギリスと同じ待遇を約束させられた。

続くアロー戦争に負けた清国は、イギリス、フランス、ロシアとの間で北京条約を結んでいる。
イギリスとフランスには八百万両の賠償金と外交官の北京駐在に治外法権。
外国艦船の揚子江通行権の保障。
牛荘、登州、漢口、九江、鎮江、台南、淡水、潮州、瓊州、南京、天津の開港。
イギリス単独には九竜半島の南部九竜司地方の割譲だ。
まあ一度目の天津条約を履行しないで二度目の北京侵攻をされての事だが。

ロシアに対しては、アムール川左岸の領有権、豆満江からハンカ湖からウスリー川以東アムール川以南の地域を割譲している。
ウスリー川以東など広大な地域を沿海州に武力で領有している。
トルキスタン方面では国境線を天山山脈の東側に移動させて、イシク・クルなどの広大な地域と、タンヌ・オリアンハイ西部も割譲している。

その後にロシアと締結された対日本用の露清密約を考えれば、欧米列強の脅威と日本の武力で脅し全権大使に賄賂を送れば、西欧列強の脅威に対する同盟の見返りとして、露清密約で結ばれた東清鉄道の敷設、戦時の港湾利用権、旅順と大連租借までは認めさせることができるだろう。

問題は俺がどこまで悪党に徹する事ができるかだ。

コメント

コメントを書く

「歴史」の人気作品

書籍化作品