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克全

第110話一八三二年、優秀な軍師衆

俺は前世の知識で有利に動けているが、臨機応変の才能などない。
だから前世の知識が通用しない部分は、優秀な軍師衆に任せている。
当然だが、問題ないかは確認している。
大成功した作戦の一つが、コサックを味方の取り込む事だった。
元々日本の武将は開戦前に調略を駆使していたし、コサックを敵の有力武将を引き抜くのだと考えれば、全く問題はない。

軍師衆に命じた基本は、敵の軍事拠点を叩くと事は一つ。
もう一つが資源地帯の優先確保だった。
特に優先すべきだったのが、日本では採掘でいない石油だった。
清国と連携して西洋列強と戦うのなら、満州油田を侵略確保するのは悪手だ。
チュメニ油田はウラル山脈の手前だから、あまりにも遠すぎる。
だから、俺が死に前には発見されただけで採油されていなかったが、イルクーツクの油田を確保することにした。

イルクーツク北方のセベロ・モグジンスキーとザパドナ・ヤラクチンスキー、ボリシェチルスキーの三鉱区で調査が進められていた。
試掘が最も進んでいたセベロ・モグジンスキー鉱区で、軽質で硫黄分が少ない良質原油を確認されていたのだ。
俺が生きている頃には埋蔵量は確定していなかったが、五〇〇〇万トン(約三億七〇〇〇万バレル)の埋蔵量が期待できる、中規模油田に相当する。

ザパドナ・ヤラクチンスキー、ボリシェチルスキーの鉱区でも、原油とガスの産出を確認されたとあった。
三つ以外の周辺鉱区でも大型の油ガス田が相次ぎ確認されたとあったから、なんとしてでもイルクーツクとイルクーツクを護るための周辺地域を確保してもらいたい。
そう言っていたら、本当に確保してくれた。

カムチャッカ半島、コリャク民族管区、チュコト民族管区、アラスカ、ハバロフスク地方、アムール州、沿海州、チタ州、ブリヤート自治共和国、イルクーツク州と確保してくれたのは、俺の指示を最優先してくれた結果だろう。
イルクーツク州を護るためには、エベンキ民族管区、クラスノヤルスク州、ツビンスカヤ自治共和国を完全支配しなければいけない。
その為にも信用できる家臣が必要不可欠だ。

「今占領している領地を確保するために必要な戦力を算出してくれ。
特にイルクーツクとのその周辺を確保するための兵力は多めに考えてくれ。
薩摩衆は守りよりも攻めが得意だろう。
薩摩衆は遊撃させてウラル山脈周辺を襲わせる。
イルクーツクとのその周辺は実家が幕臣や親藩、譜代大名家の出で忠誠心がある者を主体に選んでくれ」

ここまで言えば俺の真意は伝わるだろう。

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