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克全

第82話一八二八年、前年度収支報告

一八二八年も半ばを過ぎて、ようやく前年度の収支が確定した。
想像以上に大きな利益が出たが、全ては蒸留酒と輸入穀物のお陰だった。
沿海やシベリア、カムチャッカ半島やアリューシャン列島に住む者達が、蒸留酒と穀物欲しさに、北方の珍しい品や俵物を大量に運んでくれたのだ。

まあ、幕府の協力金と合力米も大きい。
原生林を伐採した後で、焼き畑にしたところに植えた穀物の収穫量が、開拓民の一年間の食糧を確保してくれたことで、合力米を全部飢饉対策の備蓄に回せた。
伐採した原生林でフリゲート艦を建造したので、全く無駄がない。
輸入した莫大な穀物は、長期保存に耐えそうにない質の悪い物は蒸留所の原料にし、質のよいものは各地に分散保管した。

なにより大きかったのは、二朱銀の製造発行権を得たことだ。
二朱銀の発行による利益は、ぼろ儲けで笑いが止まらない
だがこいつに頼り過ぎてはいけない、というか、これは鎖国している状態でなければ、欧米列強に悪用されて国の富が海外流出してしまう。
ここ二年三年で止めさせなければいけない。

後は輸入した鉄と銅と鉛の問題だ。
西洋列強に備えるためには、青銅砲や鉄製砲の製造にも、弾薬の鉛弾の製造にも、原料となる鉱物が大量に必要で、輸入するしかなかった。
国内の大名に売れば莫大な利益は得られるが、内戦になった時に敵に回るかもしれない相手に、強力な武器を売る事はできない。
だがそれは、幕府が相手でも同じだ、幕府ですら仮想敵国なのだ。




「一八二七年の松前松平家収支と軍事力」

備蓄金 :△千六百六万八百二十両

協力金 :五十五万両
合力米 :五十五万石
二朱銀益:六百万両
北前船 :△百七十四万両(百七十四隻は船団を組み清国や東南アジア)
北前船 :△十二万六千両(自家以外の三百十五隻運上金)
快速丸 :△六十万両(三十隻)
迅速丸 :△百二十万両(三十隻)
商場運上:△六万両
試合興行:△十八万両
小計  :△千百万六千両

藩士扶持:▲九万六千四百八十両(一万五千兵)
旧薩摩藩:▲三十一万八千(五万兵)
野非人 :▲五十五万両
食費役費:▲二十四万八千両
鉄砲部品:▲八千両(五千丁)
小銃生産:▲四万両(ドライゼ銃五千丁)
(鉄砲部品:五千丁分一万両)
玉薬代 :▲五万両
鉄銅鉛代:▲百万両
鍛冶職 :▲二万両(日本刀、槍、鏃)
練炭  :▲五千両
豆炭  :▲五千両
七輪  :▲一万両
陶磁器 :▲二万両
艦艇修理:▲一万七千四百両(百七十四隻)
快速丸 :▲七千五百両(五十トン十五隻×五百両)
迅速丸 :▲一万五千両(百トン十五隻×千両)
三十六門フリゲート艦:▲二万千両(三百五十トン六艦×三千五百両)
小計  :▲二百四十三万千三百八十両

総計  :△八百五十七万四千六百二十両

「現有戦力」
反射高炉:高須藩・独立四炉を四基
反射高炉:江戸韮山二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を六基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を六基
反射高炉:松前藩小樽二炉一基を八基
反射高炉:松前藩室蘭二炉一基を六基
反射高炉:松前藩釧路二炉一基を二基
反射高炉:松前藩網走二炉一基を二基
反射高炉:松前藩石狩二炉一基を二基
三十六門フリゲート艦:八艦
快速丸 :五十トン=三十隻
迅速丸 :百トン=三十隻
合の子船:百七十四隻
火縄銃 :一万二千丁
後装火縄銃:三千丁
ドライゼ銃:一万八千丁

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