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克全

第18話一八二三年、職人育成

やれるべき事は全部やった、とは言い切れなかった。
軍資金を稼ぐことを最優先にして、次に費用負担を嫌った方法は全てやったが、費用を使ってやることは後回しにしていた。

俺が費用を使ってでもやるべきことは、将兵と職人の育成だった。
毎日の試合興行で実力を披露した、部屋住みや浪人や町人を若党にする。
三十組三千兵を召し抱えて、年間必要な扶持が一万六千八十両となった。
だがその分、採用試合の興行で九万両の利益があった。

鉄砲の訓練をしたが、今はまだ実弾射撃はさせず、型だけを繰り返させた。
銃口掃除から玉薬装填迄を素早くできるようになるまでは、型練習だけをやらせて、実弾射撃は玉薬が備蓄できる来年以降にさせる。

若党団はそれでいいとして、蝦夷樺太で西洋帆船の建造をさせる船大工の育成と、反射高炉を建築運用する職人も育成しなければいけない。
いや、江戸にいるうちに、鉄砲鍛冶、刀鍛冶、野鍛冶、甲冑師、陶工、炭焼職人を集め、多くの弟子を育てさせなければいけない。
その為に、無宿人狩りで集めた野非人の中から、有望な人間を選抜した。

俺は鍛冶職たちに利益を与え、弟子を雇う事ができるように先行投資した。
反射高炉八炉六基に一万七千両を投入した。
西洋式帆船十隻に三万両を投入した。
新式のドライゼ銃五千丁に二万両を投入した。
日本刀や槍、鏃に二万両を投入した。

炭焼職人に弟子をとらせるにあたり、今迄通り単に木炭を焼いていたのでは、効率が悪いし利益にならないと感じた。
そこで練炭と豆炭を生産する技術を炭焼職人に教えた。
同時に練炭と豆炭の大きさを規格化して、松前藩が生産する練炭に丁度いい大きさの七輪も規格化した。
商品として販売する分として、練炭五千両、豆炭五千両、七輪一万両分を先行生産させて在庫として抱えた。

陶磁器も海外への輸出を考え、明治開国後に人気を博した海外輸出用の図柄を思い出し、それを陶工に指定して二万両分焼かせた。

「松前松平家の収支」
闕所収入:△三百万両
北前船 :△十万両(百隻分)
北前船 :七十四隻は船団を組み清国や東南アジアへ
北前船 :△百六十三隻で運上金六万五千二百両
商場運上:△三万両
試合興行:△九万両
小計  :△三百二十八万五千二百両
藩士扶持:▲一万六千八十両
鉄砲購入:▲八千両(五千丁)
小銃生産:▲二万両(ドライゼ銃五千丁)
鍛冶職 :▲二万両(日本刀、槍、鏃)
練炭  :▲五千両
豆炭  :▲五千両
七輪  :▲一万両
陶磁器 :▲二万両
反射高炉:▲八千五百両(高須藩・独立四炉を四基)
反射高炉:▲八千五百両(江戸韮山二炉一基を二基)
快速丸 :▲一万両(五十トン五隻×二千両)
迅速丸 :▲二万両(百トン五隻×四千両)
小計  :▲十五万千八十両
総計  :△三百十三万四千百二十両

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