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そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全

第42話:旅程14

巨躯男が森から飛び出してきた。
巨躯男は死んでいなかったのだ。
全身から怒りの波動が発せられている。
あまりの迫力に森から一切の音が消えてしまっていた。
普段ならうるさいくらいの虫の音や小鳥のさえずりがあるのに。
巨躯男から発せられる殺意を恐れて息をひそめているのだ。

グッオオオオオオオ

巨躯男が再び雄叫びをあげてグレアムに突進してきた。
だがそれだけではすまなかった。
吸血女の首がオードリー嬢を喰らおうとしていた
バビエカの首肉を喰い千切って咀嚼しながら空を飛んでいた。
絶体絶命という表現しか思い浮かばない状況になってしまっていた。

ギャアアアアア

とてつもない光が一帯を覆った。
オードリー嬢の守護石が発動されたのだ。
オードリー嬢の危機に反応して護るための力を放った。
守護石の力ならば直接吸血女と巨躯男を簡単に消滅できる。
だが守護石はその簡単な方法を取らない。

「うおおおおおお、力が、力が湧いてくるぞ」
「「「「「ヒッヒッヒィイイイ」」」」」

グレアムのケガが完治していた。
断裂していた身体中の筋肉が元通りに治っていた。
重体で死の一歩手前まで言っていた馬達も完治していた。
それをよろこんでいたのか、それともこれから戦えることをよろこんでいたのか。
今度は荷車を曳いているラムレイ以外の三頭が協力して吸血女の首を迎え討った。
互いの隙をかばい吸血女の首に攻撃する隙を与えない。

一方のグレアムは迎え討つのではなく突っ込んでいった。
人生最高の素早さを発揮していた。
既に剣を抜き両手で構えていた。
しかもその二振りの剣が光り輝いている。
右の剣は赤く光り輝き、左の剣は青く光り輝いていた。

だがグレアムはその事を気にしていなかった。
何かの加護を受けたのは間違いない事だった。
加護を受けた以上、剣が輝くくらい普通の事だと割り切っていた。
一気に巨躯男の懐に入ったグレアムは、深く低く身体を沈めた。
その姿勢で右剣で巨躯男の左膝を一刀両断した。
流れるような動きで重心と体勢を移動させ、今度は左剣で右膝を一刀両断した。

巨躯男は突進していた勢いのまま膝から上が前に飛び出す。
グレアムは足裁きと重心移動で攻撃態勢を整え、右剣で巨躯男の首を斬り落としたが、それで安心する事無く左剣で頭を縦に断ち割った。
吸血女が首と斬り落としても首だけ生きている事を重視したのだ。
だがそれだけで安心する事無く、両肘から先を斬り落とした。
心臓のある場所を突き刺した。

それらの攻撃を一瞬で行ったグレアムは、素早い動きで吸血女に向かった。
吸血女の首はしつこくオードリー嬢を狙っていた。
だが復活前より格段に動きのよくなった馬達に阻まれていた。
吸血女の首は馬達に気を取られ過ぎていたのだろう。
背後から走ってきたグレアムに気がつかずに十字に両断されてしまった。
これでようやく安全になったと思ったグレアムだったが、そうはいかなかった。
また一帯が激しい光に包まれてしまったのだ。

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