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そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全

第33話:ルーパス、勇者、大魔王8

「大魔王、俺を配下に加えないか。
俺ならばどのような事でもやってやるぞ。
ルーパスはあれでなかなか正義感が強い。
大魔王が望むような清濁併せのむような真似はできんぞ。
しかもルーパス以上に純粋で正義漢が強いミネルバにぞっこんだ。
何時大魔王を裏切るか分からんぞ。
だが俺ならどんな悪逆非道も厭わんし、大魔王を裏切る事もない。
どうだ、ルーパスよりも俺を配下に加えた方がいいだろう」

魔界遠征軍の将兵はあっけにとられていた。
これほど露骨に勇者が手のひら返しをするとは思っていなかった。
しかもこの期に及んで上から目線の話し方だ。
ここは流石に平身低頭して命乞いすべき時だろうと思っていた。
だが勇者には勇者の考えがあった。
ここまで追い込まれているからこそ、虚勢を張るべきだと。

「くっくっくっくっ、ワッハハハハ、アッハッハッハ。
余に仕えるだと、ルーパスより役に立つだと。
これほど愚かな妄言を聞いたのは何百年ぶりか。
愚か者が、黙っておれ」

大魔王がルーパスを相手にいしてた時には抑えていた力を解放した。
そのあまりに強い瘴気に魔界遠征軍の将兵は次々と異形の存在に変化した。
ただ勇者だけが大魔王に護られて人間の姿を保っていた。
助けたのではなく、その性根に相応しい拷問を加えるために。
だが腐っても勇者といわれた相手だ。
異形に変化したとはいえ単なる将兵では抑えきれない。
だから大魔王は表情も変えずに勇者の手足をグチャグチャに潰した。

「死なない程度に痛めつけておけ」

大魔王は新たに魔族モンスターとなった者達に命じた。
彼らは一斉に勇者に襲い掛かった。
絶対に殺さないように、単に苦しませるために。
勇者の身体を切り刻み、変化した魔獣の身体からが産する酸を、勇者の傷に塗り込み激痛地獄に落とした。
砂や小石を勇者の身体をこすり皮を破り肉をえぐった。

大魔王は彼らを生贄にしてミネルバを蘇らせる心算だった。
人界からモンスターに変化した王侯貴族や村人が送られて来たら、十分な力を得ることができる。
必要なら魔界の魔族を生贄にする事も厭わないが、できれば人族を使いたかった。
その時に一番障害となるのがルーパスだった。
そしてルーパスの創った守護石に護られたオードリーだった。

二人を味方に加えられるか加えられないかで、魔族の犠牲が桁違いになる。
必要ならば人族を操ってオードリーを追い込むことも厭わない覚悟だった。
追い込んだオードリーに救いの手を差し伸べる自作自演も考えていた。
だが自分の手を汚さなくても愚かで下劣な人族が全てをやってくれた。
お陰で想定していた最高の状態でルーパスを味方の引き込めた。
そして今ルーパスは娘可愛さに暴走しようとしている。

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