呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第271話 恐いくらいの好循環
「めぐ、お前もポーションとか飲んどけ」
「うん、そうする」
ポーションやらめぐのバフやら信仰心やらで胴体に空いた風穴はふさがってだいぶましになったが正直まともに動けやしない。このままここで寝てしまいたい衝動に駆られてもそれはかなり危険だと言う事も理解している。
体を起こそうとするも這いずるように動くので精一杯。なんとか壁際までめぐに支えられながら移動する。めぐも満身創痍で神気が全く感じられないし魔力もすっかりなくなっている。ただの幼女になってしまった女神様可愛い。
「大丈夫か?」
「なんとか、かな。長めの休憩が欲しいね」
めぐも俺の横に座り込み呼吸を整えている。クロエのSMプレイのような物を見た時、俺の事を殴って神気使ってその日力使えなくなったとか言ってたけどあの時はまだ魔力が残っていた。
つまりめぐは神気と魔力、両方をぶち込んで全力全開の攻撃を行ったというわけだ。そら疲れ切ってもしゃあないだろうな。普通の人間の体でその衝撃をなんとかしてるのも相当消耗するだろうし。
俺とか勇者の肉体を持ってれば自分の攻撃で反動なんてほとんどこない。でもめぐの場合は無理やり体に女神の力を宿している。全力で使うと器である人間の体が壊れるような力を。
めぐからしても相当ギリギリな相手だったってわけか。
「あいつどうするよ」
「うーん……まだ起きないとは思うけど……」
そう、そんなやばかったケイティをどうするか。ぶっちゃけあれで死んだとは思えない。かといって今の俺達に止めを刺すような余力は残されていない。ポーションを飲んだとはいえ回復するまでかなりの時間がかかるだろう。体力も回復してないしそもそも動けない。
そして回復したところで剣とか刺さるのかという問題がある。俺のアダマンタイトの剣でもたぶん無理。つまりは大火力をもつロリエルフちゃん達か、効くか分からないけどあかねの洗脳に近いやばい意思疎通スキルを使うかが必要。フラフィー? あいつは盾だよ。
まじで二人で来たのは失敗だったわ。舐めプ、ダメ、絶対。いや舐めプではなかったはずなんだけど結果的にそうなってしまったわ。めぐとデート出来る事に舞い上がりすぎた。
めぐも俺と同じ考えなようで動けるようになったらケイティは放置して帰ろうという結論になる。しかしそれは早急に改めなくてはならなさそう。
「くくく……やるではないか。久々にここまでのダメージを負わされたのう」
「あー……」
「あれだけやってもう起きるんだ……厳しいねーこれは」
のじゃロリが起き上がってこっちを見ている。仲間になりたそうにしてるならよかったんだけどやる気満々だ。めぐに殴られた胴体を押さえながら辛そうにしているが、まだまだ余力があるだろう。
それに対してこちらは二人とも立つこともままならない。かといってはいそうですかと殺されるわけにはいかない。めぐだけでも逃がしてみんなに伝えてもらわなくてはいけないな。
「お兄ちゃん、私の事逃がそうとしてるんだろうけど、私もお兄ちゃん置いていくのは無理だよ」
めぐを守るようにふらふらと立ち上がったが、めぐは俺の体を支えるように隣に立つ。その目には諦めの色なんか全くなく、俺と二人であれを退けると改めて決意している色が見えた。
……俺よりもふらふらなのにまじでイケメンだな女神様。みんなを守る事ばかり考えていたけど、めぐのように全力で攻めに行くというのも必要なのかもしれない。
「そう、だな。やるか、二人で」
「うん、お兄ちゃん」
めぐからの信頼があつい。女神様狂信者の俺としてはこんな信頼を向けられてしまったらより強く信仰してしまう。そしてそれは疲労しきっためぐをほんの少しだけ回復させるだけの効果をもたらす恐いくらいの好循環。
ずっとドキドキしてるけど、たまにキュンとさせられてしまう女の子みたいな気持ちを味わってとても幸せを感じる瞬間。例え数秒後死ぬとしても女神様と一緒なら悔いはない。
……いや、みんなに申し訳が無いな。死ねないわ。
「なんとも、潔い人間達じゃの。いいじゃろ、二人ともまとめて殺してやろう」
「まぁまて、少し話そうじゃないか」
「命乞いか? 少しくらいなら聞いてやるぞ?」
俺が両手を上げて提案するとケイティは漲らせていた魔力を少し弱めこちらに言葉を促す。どうやらこちらに対して明確に敵意は持っていても、人間性というか話を聞くくらいの感情はあるようだ。ならこのまま見逃してくれるという道もあるんじゃないか?
ここで女神様と一緒に戦って死ぬことに対して悔いはない。そう、俺達だけだったら。でもみんなが俺の帰りを待っている以上ここで簡単に死ぬわけにはいかない。やれることを全部やってからでも遅くはない。
「お前は……ケイティは何でこんなところにいるんだ?」
「ふむ、上からの命令じゃの。従わなくても良いんじゃがこっちとしても楽しめそうじゃったから来たまでよ」
ほう? 従わなくてもいい、という事はこいつは魔王軍の中でも高い地位を持っているかもしくは相手を黙らせるほどの実力を持っていると見てもいいか? ぶっちゃけこの強さで下っ端だったらびびるし、めぐもこいつはやべぇみたいなこと言ってたから両方ありそうだけど。そういや四天王なんだっけ。
でもケイティにしか頼めないようなやばい指令だった場合はどうしたもんか。正直こんな強いロリがここで何かしてるって相当やばいことのような気がしてならない。
しかしそれは俺達が争う理由にはならないんじゃないか? つまりもしかして別に俺達戦う必要ないんじゃない? こっちの方針で攻めてみるか。
「そうなのか。魔王の命令って思って良いのか?」
「なんじゃ、ただの時間稼ぎならつまらんから殺すぞ?」
殺気が膨れ上がる。これ以上質問投げて時間稼ぐのはちょっと厳しそうか。かけたり飲んだりしたポーションのおかげで俺もめぐも多少は回復してきてるしもう少し時間を稼ぎたいところだったんだけど無理なら仕方ない。
命乞い開始だ!
「俺達を見逃してほしい」
「……ストレートじゃな。一応理由を聞いてやるが、聞くだけじゃぞ?」
なにこの子ちょろかわいい。めちゃくちゃこっちの話聞いてくれるじゃん。俄然ごり押しして逃げられそうな気がして来たわ。
「お前はここに何かをしに来た。そして俺達が邪魔だから排除しようとした。そうだな?」
「まぁ、そうじゃな」
「って事は俺達がこのまま帰っても別に問題はないんじゃないか? 争う理由がない」
「ふむ、一理あるな」
よしきた。まじ楽勝じゃん。
「じゃあ」
「だが断る」
それ俺が言いたかった奴。完全に振りだったとはいえ異世界で相手にやられるとは思わなかったわ。
「わしは戦いが好きじゃ。暴力が好きじゃ。殺すのが好きじゃ。そしてその時得られる感情がどうしようもなくわしをわしとして存在させてくれる。確かにお前の言う通り、お前らには争う理由はないじゃろう。だがわしにとっては戦うことが生きる理由じゃ。相手が強いとか弱いとか戦うに値しないとかそういうんじゃあない、戦いが始まったら死ぬまでやるのがルールじゃろ?」
ケイティはゆっくりと魔法の詠唱を始める。さっきまでは肉弾戦のみだったが、本来はこっちの方が得意なのだろう。禍々しい魔力を見てみるに破壊という言葉があまりにも似合いすぎている。
ああ、これはどうにもならんわ。動かない体を無理やり動かし攻撃からかばうようにめぐを抱き寄せる。これだからのじゃロリは頭が固かったり考え方が古臭いやつが多いから好きじゃないんだよ!
ちょろくもないしただのバトルジャンキーじゃねえか!
「じゃあの」
瞬間爆発的な光が辺りを包み込む。目を閉じているにも関わらず感じられるこの閃光はあまりにも強く、そして暴力的だった。強くめぐを抱きしめ衝撃に備えたが一向に死につながる衝撃は来なかった。
……生きてる?
「やっぱり私がいないとだめね」
そこには光る銀髪を爆風になびかせながら不敵に立つ魔法少女がいた。
「うん、そうする」
ポーションやらめぐのバフやら信仰心やらで胴体に空いた風穴はふさがってだいぶましになったが正直まともに動けやしない。このままここで寝てしまいたい衝動に駆られてもそれはかなり危険だと言う事も理解している。
体を起こそうとするも這いずるように動くので精一杯。なんとか壁際までめぐに支えられながら移動する。めぐも満身創痍で神気が全く感じられないし魔力もすっかりなくなっている。ただの幼女になってしまった女神様可愛い。
「大丈夫か?」
「なんとか、かな。長めの休憩が欲しいね」
めぐも俺の横に座り込み呼吸を整えている。クロエのSMプレイのような物を見た時、俺の事を殴って神気使ってその日力使えなくなったとか言ってたけどあの時はまだ魔力が残っていた。
つまりめぐは神気と魔力、両方をぶち込んで全力全開の攻撃を行ったというわけだ。そら疲れ切ってもしゃあないだろうな。普通の人間の体でその衝撃をなんとかしてるのも相当消耗するだろうし。
俺とか勇者の肉体を持ってれば自分の攻撃で反動なんてほとんどこない。でもめぐの場合は無理やり体に女神の力を宿している。全力で使うと器である人間の体が壊れるような力を。
めぐからしても相当ギリギリな相手だったってわけか。
「あいつどうするよ」
「うーん……まだ起きないとは思うけど……」
そう、そんなやばかったケイティをどうするか。ぶっちゃけあれで死んだとは思えない。かといって今の俺達に止めを刺すような余力は残されていない。ポーションを飲んだとはいえ回復するまでかなりの時間がかかるだろう。体力も回復してないしそもそも動けない。
そして回復したところで剣とか刺さるのかという問題がある。俺のアダマンタイトの剣でもたぶん無理。つまりは大火力をもつロリエルフちゃん達か、効くか分からないけどあかねの洗脳に近いやばい意思疎通スキルを使うかが必要。フラフィー? あいつは盾だよ。
まじで二人で来たのは失敗だったわ。舐めプ、ダメ、絶対。いや舐めプではなかったはずなんだけど結果的にそうなってしまったわ。めぐとデート出来る事に舞い上がりすぎた。
めぐも俺と同じ考えなようで動けるようになったらケイティは放置して帰ろうという結論になる。しかしそれは早急に改めなくてはならなさそう。
「くくく……やるではないか。久々にここまでのダメージを負わされたのう」
「あー……」
「あれだけやってもう起きるんだ……厳しいねーこれは」
のじゃロリが起き上がってこっちを見ている。仲間になりたそうにしてるならよかったんだけどやる気満々だ。めぐに殴られた胴体を押さえながら辛そうにしているが、まだまだ余力があるだろう。
それに対してこちらは二人とも立つこともままならない。かといってはいそうですかと殺されるわけにはいかない。めぐだけでも逃がしてみんなに伝えてもらわなくてはいけないな。
「お兄ちゃん、私の事逃がそうとしてるんだろうけど、私もお兄ちゃん置いていくのは無理だよ」
めぐを守るようにふらふらと立ち上がったが、めぐは俺の体を支えるように隣に立つ。その目には諦めの色なんか全くなく、俺と二人であれを退けると改めて決意している色が見えた。
……俺よりもふらふらなのにまじでイケメンだな女神様。みんなを守る事ばかり考えていたけど、めぐのように全力で攻めに行くというのも必要なのかもしれない。
「そう、だな。やるか、二人で」
「うん、お兄ちゃん」
めぐからの信頼があつい。女神様狂信者の俺としてはこんな信頼を向けられてしまったらより強く信仰してしまう。そしてそれは疲労しきっためぐをほんの少しだけ回復させるだけの効果をもたらす恐いくらいの好循環。
ずっとドキドキしてるけど、たまにキュンとさせられてしまう女の子みたいな気持ちを味わってとても幸せを感じる瞬間。例え数秒後死ぬとしても女神様と一緒なら悔いはない。
……いや、みんなに申し訳が無いな。死ねないわ。
「なんとも、潔い人間達じゃの。いいじゃろ、二人ともまとめて殺してやろう」
「まぁまて、少し話そうじゃないか」
「命乞いか? 少しくらいなら聞いてやるぞ?」
俺が両手を上げて提案するとケイティは漲らせていた魔力を少し弱めこちらに言葉を促す。どうやらこちらに対して明確に敵意は持っていても、人間性というか話を聞くくらいの感情はあるようだ。ならこのまま見逃してくれるという道もあるんじゃないか?
ここで女神様と一緒に戦って死ぬことに対して悔いはない。そう、俺達だけだったら。でもみんなが俺の帰りを待っている以上ここで簡単に死ぬわけにはいかない。やれることを全部やってからでも遅くはない。
「お前は……ケイティは何でこんなところにいるんだ?」
「ふむ、上からの命令じゃの。従わなくても良いんじゃがこっちとしても楽しめそうじゃったから来たまでよ」
ほう? 従わなくてもいい、という事はこいつは魔王軍の中でも高い地位を持っているかもしくは相手を黙らせるほどの実力を持っていると見てもいいか? ぶっちゃけこの強さで下っ端だったらびびるし、めぐもこいつはやべぇみたいなこと言ってたから両方ありそうだけど。そういや四天王なんだっけ。
でもケイティにしか頼めないようなやばい指令だった場合はどうしたもんか。正直こんな強いロリがここで何かしてるって相当やばいことのような気がしてならない。
しかしそれは俺達が争う理由にはならないんじゃないか? つまりもしかして別に俺達戦う必要ないんじゃない? こっちの方針で攻めてみるか。
「そうなのか。魔王の命令って思って良いのか?」
「なんじゃ、ただの時間稼ぎならつまらんから殺すぞ?」
殺気が膨れ上がる。これ以上質問投げて時間稼ぐのはちょっと厳しそうか。かけたり飲んだりしたポーションのおかげで俺もめぐも多少は回復してきてるしもう少し時間を稼ぎたいところだったんだけど無理なら仕方ない。
命乞い開始だ!
「俺達を見逃してほしい」
「……ストレートじゃな。一応理由を聞いてやるが、聞くだけじゃぞ?」
なにこの子ちょろかわいい。めちゃくちゃこっちの話聞いてくれるじゃん。俄然ごり押しして逃げられそうな気がして来たわ。
「お前はここに何かをしに来た。そして俺達が邪魔だから排除しようとした。そうだな?」
「まぁ、そうじゃな」
「って事は俺達がこのまま帰っても別に問題はないんじゃないか? 争う理由がない」
「ふむ、一理あるな」
よしきた。まじ楽勝じゃん。
「じゃあ」
「だが断る」
それ俺が言いたかった奴。完全に振りだったとはいえ異世界で相手にやられるとは思わなかったわ。
「わしは戦いが好きじゃ。暴力が好きじゃ。殺すのが好きじゃ。そしてその時得られる感情がどうしようもなくわしをわしとして存在させてくれる。確かにお前の言う通り、お前らには争う理由はないじゃろう。だがわしにとっては戦うことが生きる理由じゃ。相手が強いとか弱いとか戦うに値しないとかそういうんじゃあない、戦いが始まったら死ぬまでやるのがルールじゃろ?」
ケイティはゆっくりと魔法の詠唱を始める。さっきまでは肉弾戦のみだったが、本来はこっちの方が得意なのだろう。禍々しい魔力を見てみるに破壊という言葉があまりにも似合いすぎている。
ああ、これはどうにもならんわ。動かない体を無理やり動かし攻撃からかばうようにめぐを抱き寄せる。これだからのじゃロリは頭が固かったり考え方が古臭いやつが多いから好きじゃないんだよ!
ちょろくもないしただのバトルジャンキーじゃねえか!
「じゃあの」
瞬間爆発的な光が辺りを包み込む。目を閉じているにも関わらず感じられるこの閃光はあまりにも強く、そして暴力的だった。強くめぐを抱きしめ衝撃に備えたが一向に死につながる衝撃は来なかった。
……生きてる?
「やっぱり私がいないとだめね」
そこには光る銀髪を爆風になびかせながら不敵に立つ魔法少女がいた。
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