呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第242話 仲間にした甲斐
「キミヒトさん! ずっとこの宿に泊まってて下さいね! どこにも行っちゃダメですからね!?」
「もちろん……!」
あずきを抱いて上目遣いで俺を見てくるティティに一瞬意識が飛びかけた。いや飛んだ。なんとか不屈の効果を発動して魅了をこらえたがシャウトウルフの遠吠えの何倍もの威力があったことは間違いない。
純粋な子どもの瞳は最高に綺麗だよな。思わずティティとあずきの頭を同時に撫でてしまう。一人はサラサラだけど働いていたためか少し埃っぽい。もう一匹はティティにもみくちゃにされてごわごわ。可愛い。
「あれ、みんなどこ行ってたの?」
「置いてけぼり」
外であずきとたわむれているとあかねとイリスが宿から出てきた。どうやら二人ともしっかり着替えて起きてきたようだ。ちなみに出掛ける前に二人にはしっかり浄化をかけておいたので変なにおいとかは残っていないはず。
でもまだ少し眠いようでイリスは目を擦っている。たぶんイリスは俺たちがいなかったから不安で起きてきたのだろう。そしてついでにあかねを起こして一緒に探してもらおうとしていた感じかな?
可愛いやつらだな。
「ちょっとペットを迎えにいってたんだ。ほら、あずきだ」
「わうわう!」
ティティにもふられているが俺が声をかけるとあかねたちに挨拶する。やはり知能は高いがとにかく普通のワンコっぽい。ティティは名残惜しそうだが、俺たちがみんな揃ったのであずきを俺に返してきた。
ティティはそのままあずきをずっと見ながら掃除を再開させる。しかし全く身に入っていなくてずっと羨ましそうにしている。そんなに犬が好きだったのか。フラフィーの耳とか尻尾に全然反応しなかったから動物こんなに好きだとは思わなかったわ。
「ねぇキミヒト君、この子の名前あずきで良いの?」
「ああ」
「でもこの子……」
「あずきだ」
「でも」
「あずきだ」
「はい」
「わうう……」
あずきはあかねが声を拾えることに気付いたようで必死に訴えかけていたが却下。せっかくティティが可愛い名前をつけてくれたというのに別の名前を名乗るとか絶対に許さん。
そんな悲しそうな目で見てきても俺の気持ちは絶対に変わらないし揺らぎはしない。俺はぽっと出の小動物よりも宿屋の看板娘を選ぶぜ!
「キミヒト君が良いならいいや。それに私たちが名前つけると揉めそうだからそれが一番よかったかもね」
確かにそうだな。もし俺たちの中の誰かがあずきの名付け親になったら絶対に揉めた。ネーミングセンスみんな死んでるし正直助かったまである。ティティにセンスがあるかどうかはまた別の問題です。
もしくはあずきに本来の名前を名乗らせるかだったが、ちょっといかした名前になりそうなのでなんとなくいや。そう言うとあずきはショックを受けそうだから言わなかったけど、結果的にショックは受けることになったな。
「ところでキミヒト君、私もだっこしていいかな?」
「あぁ、全然構わん。あずき、大人しく抱かれてやれな」
「ぐるぅ」
あずきは不満そうな声を出すがしっかりと俺に従う。可愛いので頭を撫でてやると、すねた顔をしつつもしっぽをゆらゆらして嬉しそうにしてて可愛い。この丸っこい黒いもふもふクセになるな。
ぶっちゃけ戦闘しなくていいからこの宿屋の番犬になってティティと街のみんなを守ってほしいまである。だってこの街襲われた時の戦力が全くない。いまのところだと育っていないロンドの連中と、名前も顔も知らないAランクのメンバー。
あとは道具屋の謎の女主人くらいだろうか。あのエルフの魔女っぽい人はどう考えても戦力はかなりのものになる。あの人がいれば結構な数の魔物はさばけるだろうが正直多勢に無勢、あの前の世界の規模で襲われたら厳しい所もあると思う。
「どうしたんですか? キミヒトさん」
「いや、何でもない」
俺が考えて黙っているとフラフィーが心配そうにのぞき込んでくる。フラフィーは前の街の惨状を唯一知っている仲間だ。もし俺がここであずきを置いていくという選択肢を取ったらたぶんわかってしまうだろうな。あとあかねも。
そして二人が納得したならたぶんクロエとイリスも察するだろう。それならあとで相談してみようかな。といってもダンジョン攻略をした後に戦力が必要かどうかわかってからだが。
もしかすると異常な速さでダンジョン攻略しているルカのパーティがこの街に大きな影響を与える可能性もある。ダンジョンを多く攻略することによって、他の街の人たちも装備が潤ったり、外から多くの人がきてパーティもつくりやすくなるだろうしな。
あとは今のあずきの強さもわからないしな。潜在能力だけは非常に高い気配を感じるけど実際はわからんし。
とか考えているとあかねが非常にだらしない顔であずきを愛でていた。
「あぁ~すっごいかわいぃ~! もふもふだしつやつやだしかわいっ! ずっと触ってたい~」
「うわ」
あかねは動物好きだろうなーとは思っていたがここまでとは思わなかった。あずきがかなり可愛いというのもあるだろうがそれにしてもだらしなさすぎるだろう。一体どうしてこうなった。
「聞いてよキミヒト君! この子自分の事我って言うんだよ!? こんな見た目なのに大物ぶってるのかわいー!」
なるほど、心の声も拾えるからどんな感じで喋るのかもわかるのか。というか自分の事我って呼んじゃう系のペットだったか。実際にシャウトウルフを従えていたから偉いんだろうけど、この見た目だと可愛さに拍車がかかるだけだな。
俺もわかるわ。自分の事我って呼んじゃう系動物って可愛いよね。でも実際はこいつ我って言ってもおかしくない見た目してたんだよな。
「あかね、実はこいつめちゃくちゃでかかったんだよ。それこそこの宿屋……は言いすぎか、なんかこうハンティングゲームの空の王者くらいのサイズはあった」
「えぇー? こんなに可愛いのにー? そうなの?」
あかねはあずきの顔を覗き込み実際に聞いているようだ。するとあずきは色々と説明しているようであかねはしきりにうんうんと頷いている。ペットと会話できるのまじで羨ましいんだけど。
俺も会話スキル欲しいわ。そう言えばヒビキの連絡網って動物にも効果あるんかな。知っている生物なら全部出来るとかだったらめちゃくちゃ強いんだけど。もしそれが使えるんだったらあかねと組ませれば最強の動物軍団が出来上がるな。
「へー、そうなんだ、見せて見せて」
「わーうー」
あかねはどうやら大きいサイズのあずきの事を理解したようで、その後何かを喋ってお願いしたようだ。
あずきはあかねからちょっと離れて体をぷるぷると振る。これはあれだ、柴ドリル。あんな感じに激しく体をぶるぶるさせ、自分の毛を周りに飛ばす。すると毛が少しずつ大きくなり、小さいサイズのあずきがちょこちょこと動きはじめた。
「わー! かわいー!」
「はう……」
あかねはあずきをもふりに、ティティは掃除をしていたがこっちをずっとちらちら見ていてあずきが小あずきを召喚したら箒を捨ててこっちにふらふらとやって来る。これはあれだ。子犬とハムスターがいっぱいいるみたいな。
動物触れ合い広場的な感じになっている。
「……可愛い」
気づけばずっと無言だったイリスも小さいあずきを持ち上げて手の中でよしよしとなでていた。ちょっと顔が緩んでいるレアな表情だったので俺の体力がごりごりと持って行かれてしまった。
これが見られただけでもあずきを仲間にした甲斐があるぜ……。
「……おいしそうね」
「キュウン……」
クロエは小あずきをみてそう呟いていた。それは魔力的に美味しそうととって良いですか? それとも食べるんですか? 吸血鬼として血に飢えているという事にしておいていいですよね?
「もちろん……!」
あずきを抱いて上目遣いで俺を見てくるティティに一瞬意識が飛びかけた。いや飛んだ。なんとか不屈の効果を発動して魅了をこらえたがシャウトウルフの遠吠えの何倍もの威力があったことは間違いない。
純粋な子どもの瞳は最高に綺麗だよな。思わずティティとあずきの頭を同時に撫でてしまう。一人はサラサラだけど働いていたためか少し埃っぽい。もう一匹はティティにもみくちゃにされてごわごわ。可愛い。
「あれ、みんなどこ行ってたの?」
「置いてけぼり」
外であずきとたわむれているとあかねとイリスが宿から出てきた。どうやら二人ともしっかり着替えて起きてきたようだ。ちなみに出掛ける前に二人にはしっかり浄化をかけておいたので変なにおいとかは残っていないはず。
でもまだ少し眠いようでイリスは目を擦っている。たぶんイリスは俺たちがいなかったから不安で起きてきたのだろう。そしてついでにあかねを起こして一緒に探してもらおうとしていた感じかな?
可愛いやつらだな。
「ちょっとペットを迎えにいってたんだ。ほら、あずきだ」
「わうわう!」
ティティにもふられているが俺が声をかけるとあかねたちに挨拶する。やはり知能は高いがとにかく普通のワンコっぽい。ティティは名残惜しそうだが、俺たちがみんな揃ったのであずきを俺に返してきた。
ティティはそのままあずきをずっと見ながら掃除を再開させる。しかし全く身に入っていなくてずっと羨ましそうにしている。そんなに犬が好きだったのか。フラフィーの耳とか尻尾に全然反応しなかったから動物こんなに好きだとは思わなかったわ。
「ねぇキミヒト君、この子の名前あずきで良いの?」
「ああ」
「でもこの子……」
「あずきだ」
「でも」
「あずきだ」
「はい」
「わうう……」
あずきはあかねが声を拾えることに気付いたようで必死に訴えかけていたが却下。せっかくティティが可愛い名前をつけてくれたというのに別の名前を名乗るとか絶対に許さん。
そんな悲しそうな目で見てきても俺の気持ちは絶対に変わらないし揺らぎはしない。俺はぽっと出の小動物よりも宿屋の看板娘を選ぶぜ!
「キミヒト君が良いならいいや。それに私たちが名前つけると揉めそうだからそれが一番よかったかもね」
確かにそうだな。もし俺たちの中の誰かがあずきの名付け親になったら絶対に揉めた。ネーミングセンスみんな死んでるし正直助かったまである。ティティにセンスがあるかどうかはまた別の問題です。
もしくはあずきに本来の名前を名乗らせるかだったが、ちょっといかした名前になりそうなのでなんとなくいや。そう言うとあずきはショックを受けそうだから言わなかったけど、結果的にショックは受けることになったな。
「ところでキミヒト君、私もだっこしていいかな?」
「あぁ、全然構わん。あずき、大人しく抱かれてやれな」
「ぐるぅ」
あずきは不満そうな声を出すがしっかりと俺に従う。可愛いので頭を撫でてやると、すねた顔をしつつもしっぽをゆらゆらして嬉しそうにしてて可愛い。この丸っこい黒いもふもふクセになるな。
ぶっちゃけ戦闘しなくていいからこの宿屋の番犬になってティティと街のみんなを守ってほしいまである。だってこの街襲われた時の戦力が全くない。いまのところだと育っていないロンドの連中と、名前も顔も知らないAランクのメンバー。
あとは道具屋の謎の女主人くらいだろうか。あのエルフの魔女っぽい人はどう考えても戦力はかなりのものになる。あの人がいれば結構な数の魔物はさばけるだろうが正直多勢に無勢、あの前の世界の規模で襲われたら厳しい所もあると思う。
「どうしたんですか? キミヒトさん」
「いや、何でもない」
俺が考えて黙っているとフラフィーが心配そうにのぞき込んでくる。フラフィーは前の街の惨状を唯一知っている仲間だ。もし俺がここであずきを置いていくという選択肢を取ったらたぶんわかってしまうだろうな。あとあかねも。
そして二人が納得したならたぶんクロエとイリスも察するだろう。それならあとで相談してみようかな。といってもダンジョン攻略をした後に戦力が必要かどうかわかってからだが。
もしかすると異常な速さでダンジョン攻略しているルカのパーティがこの街に大きな影響を与える可能性もある。ダンジョンを多く攻略することによって、他の街の人たちも装備が潤ったり、外から多くの人がきてパーティもつくりやすくなるだろうしな。
あとは今のあずきの強さもわからないしな。潜在能力だけは非常に高い気配を感じるけど実際はわからんし。
とか考えているとあかねが非常にだらしない顔であずきを愛でていた。
「あぁ~すっごいかわいぃ~! もふもふだしつやつやだしかわいっ! ずっと触ってたい~」
「うわ」
あかねは動物好きだろうなーとは思っていたがここまでとは思わなかった。あずきがかなり可愛いというのもあるだろうがそれにしてもだらしなさすぎるだろう。一体どうしてこうなった。
「聞いてよキミヒト君! この子自分の事我って言うんだよ!? こんな見た目なのに大物ぶってるのかわいー!」
なるほど、心の声も拾えるからどんな感じで喋るのかもわかるのか。というか自分の事我って呼んじゃう系のペットだったか。実際にシャウトウルフを従えていたから偉いんだろうけど、この見た目だと可愛さに拍車がかかるだけだな。
俺もわかるわ。自分の事我って呼んじゃう系動物って可愛いよね。でも実際はこいつ我って言ってもおかしくない見た目してたんだよな。
「あかね、実はこいつめちゃくちゃでかかったんだよ。それこそこの宿屋……は言いすぎか、なんかこうハンティングゲームの空の王者くらいのサイズはあった」
「えぇー? こんなに可愛いのにー? そうなの?」
あかねはあずきの顔を覗き込み実際に聞いているようだ。するとあずきは色々と説明しているようであかねはしきりにうんうんと頷いている。ペットと会話できるのまじで羨ましいんだけど。
俺も会話スキル欲しいわ。そう言えばヒビキの連絡網って動物にも効果あるんかな。知っている生物なら全部出来るとかだったらめちゃくちゃ強いんだけど。もしそれが使えるんだったらあかねと組ませれば最強の動物軍団が出来上がるな。
「へー、そうなんだ、見せて見せて」
「わーうー」
あかねはどうやら大きいサイズのあずきの事を理解したようで、その後何かを喋ってお願いしたようだ。
あずきはあかねからちょっと離れて体をぷるぷると振る。これはあれだ、柴ドリル。あんな感じに激しく体をぶるぶるさせ、自分の毛を周りに飛ばす。すると毛が少しずつ大きくなり、小さいサイズのあずきがちょこちょこと動きはじめた。
「わー! かわいー!」
「はう……」
あかねはあずきをもふりに、ティティは掃除をしていたがこっちをずっとちらちら見ていてあずきが小あずきを召喚したら箒を捨ててこっちにふらふらとやって来る。これはあれだ。子犬とハムスターがいっぱいいるみたいな。
動物触れ合い広場的な感じになっている。
「……可愛い」
気づけばずっと無言だったイリスも小さいあずきを持ち上げて手の中でよしよしとなでていた。ちょっと顔が緩んでいるレアな表情だったので俺の体力がごりごりと持って行かれてしまった。
これが見られただけでもあずきを仲間にした甲斐があるぜ……。
「……おいしそうね」
「キュウン……」
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