呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第218話 みんなおやすみ

「フラフィーお前いい加減にしろよまじで」

「キミヒトさんなら大丈夫かと思って……」

俺はもう一度フラフィーを正座させ説教をぶちかましていた。俺は刺されたあの後不屈で意識を失うのを何とかこらえておばちゃんにいつもの事だと笑顔を向けた。その時のおばちゃんの顔は色々と言葉にし辛い感じだったが、俺が通報とかマジでやめてくれと頼むと従ってくれた。

俺が血を流していながらも平然としているように見えたからなんとか収まったが、人前で刺すの本当にやめろまじで。みんなに恐れられてるおばちゃんもちょっとひいてたぞ。

「どうすんだよ絶対やばい連中だと思われたぞ」

「本当の事だし別に良いじゃないですか」

フラフィーから常識が抜け落ちて行ってる気がするんだけど誰の影響だこれは。前は素直ないい子だったのに今じゃもう俺の事刺しても当然のように振る舞って反省の色も見えない。ちょっと前に刺した時は反省してたのになんでもう反省やめたん?

いや確かに刺したくらいじゃ簡単には死なないよ? それくらいのポテンシャルを女神様からいただいているよ? でもさぁ、毎回刺される身にもなってくれよ。

「包丁没収するぞ?」

「そしたら手刺すのでもっとひどい絵面になりますよ?」

「何か刺そうとするのを止めろ!?」

想像しただけで相当やばいんだけど。モツ抜きって言葉が出てくるしなんか爪をと尖らせて本当に出来る事アピールしてくるしなんなの。

可愛く小首をかしげても何も可愛くないけど可愛いのまじ腹立つ。俺がこんなだからフラフィーが図に乗るんだろうな。このままお仕置きと称して何かしても結局俺がムラムラする結果になるのは目に見えてるしどうしたものか。

ちなみに今は四人部屋の方に移動している。みんなはまだ来ていないので絶賛血を流している最中だ。応急処置をして血が流れるのを抑えているとはいえ貫通するほど深く刺された傷を治す手段は俺にはない。

不屈と防御と守護の光でダメージ的に今は何とかなってるけど、簡単に治るものじゃないんだよこれ。血は止まりかけてるけど包丁抜いたら絶対やばいよ。内臓避けてるみたいだからいいけども。いやよくないわ。

「わー、キミヒト君、また?」

「血だらけ」

「今度は何やらかしたの?」

「あぁお兄ちゃん……」

そんなこんなでフラフィーにお説教かましているとみんなが帰ってきた。こっちの惨状をみてその感想はどうかと思うが心配してくれてるのめぐだけなんだけど。みんな冷たすぎるよ。ふて寝するぞまじで。

あかねはやれやれって感じだしイリスは無表情だしクロエはなんかちょっと嬉しそうだしどうしてしまったんだ俺のロリ達は。特にクロエはなんで嬉しそうなの? 血を飲みたいの?

「大体原因はわかるけど、とりあえず治療するわね」

クロエが俺にぴったりと寄り添って包丁を抜きながらヒールをかけてくれる。うん、手慣れた感じが何とも言えないね。誰も驚きやしねぇわ。

もう俺刺されるの確定してるしもっと好き放題してよさそうだな。今でも充分すぎるほどに色々やってるけどみんな心配してくれないしめぐのこと尋常じゃなく可愛がるわ。

そんで反省した奴だけに甘い顔することにするわ。フラフィーお前まじ許さんからな。

「で、原因は?」

治療し終わったクロエにフラフィーが一部始終を語る。特に茶々を入れるところは無いので俺もそれを黙って聞いておくことにする。

「それでキミヒトさんが二人部屋は俺とめぐだって言ったのでグサッといきました」

「そうね、それは仕方ないわね」

「キミヒトの女神様贔屓はキレる。ずるい」

クロエとイリスはフラフィーの肩を持ってうんうん言っている。いやお前ら結託してるけど、めぐが俺と一緒じゃなかったら絶対喧嘩するのわかってるからな? だからめぐと一緒に寝るって結論になってるんだからな?

クロエとイリスを離れ離れにするのは姉妹を並べて寝かせたい俺の流派に反するので選ばないとして、フラフィーは二人に阻止されるのでない。そしてあかねも最近ちょっと危ないのでだめ。ほらもうめぐしかいないじゃん。

「まぁまぁみんな落ち着いて。ほら、みんなが喧嘩するから何も起きないだろうめぐちゃんをキミヒト君は選んだんだよ。そうやって喧嘩するとめぐちゃん贔屓が激しくなるよ」

あかねがみんなをたしなめている。クロエがイリスとフラフィー側に行ってしまうと必然的になだめる役があかねになるな。あかねもなんだかんだ頼りになるしこうやって場をまとめられるのは意思疎通を持つあかねに適任に思える。

俺の心を読んで株をあげようとか思ってなければ。ありがたい事には変わりないからどっちでもいいけども! あかねがまとめてくれなかったら五人と一人になって寂しいからとてもありがたいけども!

「たしかにキミヒト、めぐには性的な視線を全然投げない。一番好意的な視線投げてるけど」

「私たちの見ているところでは、だけどね」

「絶対一番の障害になると思います」

みんなからの信頼が厚いぜ。手は出さないって言ってるのに誰も信じてくれない。ただちょっと俺の理想像の姿で現れて、世界中で一番尊敬できる人で、俺の命を救ってくれた恩人で、生きる意味を教えてくれた人で、一緒にいるとついつい楽しくなってしまう楽しい人で、みんなを助けてくれた命の恩人で、俺にみんなを守るための力を与えてくれた人で、俺達のために力を使って人間になってしまった人。

うーん、好意的な要素しかない。でもとりあえず今日は大丈夫だよ。そんな手をだすとか心配はいらないよ。

「みんなさ、色々言ってるところ悪いんだけどさ」

俺が発言をするとみんながこっちを見る。うん、今実はちょっとどころか結構視界がかすんでるんだよね。こっちをみんな見てるけど誰とも焦点合わせられないわ。

「ごはん食べたけど、俺血めちゃくちゃ流してるからそろそろ限界だわ」

「え、ちょっと!」

「キミヒト君大丈夫!?」

不屈の力をもってしても、体から失われた血を補うことは出来ない。血を流せば意識を失う。至極まっとうな結果だったね。みんなおやすみ。

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