呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第195話 また遊びに来る

次の日の朝、フラフィーはみんなに挨拶をしていた。当然俺達もフラフィーを貰い受けるので挨拶をしなくてはならない。主に村長とレクスにだけど。

フラフィーは大人たちよりも子ども達に囲まれてめちゃくちゃ泣かれている。あれだけ気遣い出来て料理もできて、戦闘能力も高く面倒見の良い……あれ、客観的にみるとフラフィー良い子すぎない?

「みんなごめんね、お姉ちゃんは愛に生きることにしたの」

「やー! フラフィー姉ちゃんいっちゃやだー!」

ガン泣きである。フラフィーは子どもたちを順番になでたり抱きしめたりしながらあやしているがその効果のほどは推して知るべしというレベル。これ絶対ついてきちゃうよ。

大人たちはフラフィーが一人立ち出来るようになったこと、村一番の強さを持っているレクスといい勝負をしたこと、そして信用できる仲間を見つけた事で普通に祝福していた。獣人たちは外の世界を見に行くこともあるようで、外に出て行った仲間も多くいるようだ。

女神の加護持ちの俺達に対して大人たちはかなり認めていた。俺が強さを証明したこともあるし出立をお祝いするムードになっているが、子どもたちにはそんなことは関係ない。

「あの人間がいけないんだ!」

「そうだそうだ!」

その証拠に子ども達が口々に文句を言い始め矛先は俺の方に向かってくる。

「キミヒトさんは悪くないの。昨日の戦い見てたでしょ? あの人と一緒にいれば安心だよ」

「違うもん! フラフィーねえちゃんを連れて行くのは全員悪い大人だもん! ケモナーとかロリコンって言うんでしょ知ってるんだから!」

誰だよその知識吹き込んだやつ。確かにフラフィーはロリだからそれは間違いないと認めるけれど、きっとケモナーの方々は満足してくれないと思うよ?

フラフィーは耳としっぽを隠せば普通に人間に見えるからな。もこもこの耳としっぽはそら極上の触り心地ではあるけど、ケモナーの皆さんが求めてるのは全身のもふもふ感。

思いっきり抱きしめた時に人間らしさが強いとあまり楽しめないのではないかと思う。その点この村の男性陣は非常に獣感が強くてよろしい。村に残っている理由として、人間が好きじゃない以外にも外に出ると魔物と間違えられるからというのもあると思う。

そのくらい獣の見た目してるのでそっちはケモナーも喜んでくれると思います。フラフィーのお父さんもそっちよりだね。

「確かにキミヒトさんはロリコンだけど……ケモナーでは、ないですよね?」

「なああかね、お前フラフィーにケモナーの概念教え込んだりしてないだろうな?」

「さぁ?」

そっぽを向いてはぐらかしたので犯人が確定しました。獣人の村でケモナーという概念が発症するのはどう考えても外部の犯行。そして変なことを吹き込む時間があったのは前の世界でのこいつくらい。

どうすんだよこの村の子どもたちが変な知識身に着けてしまったら。俺がケモナーになる日も遠く無くなっちゃうだろうが。猫好きな俺からすると子ども達は良い感じに動物らしさと子どもらしさが同居してて色々と刺激されるんだよ。

「おい人間!」

「ん? なんだい?」

子どもの一人、男の子がこちらにかけよってきて喧嘩腰で言ってくる。俺はロリコンだが子どもは男の子も女の子も好きなので優しく接するように心がけている。男の子と視線の高さを合わせて話を聞く。

「フラフィー姉ちゃんはなぁ! 俺と子作りする予定だったんだよ!」

「そうなの?」

男の子がやたらとハッスルしてるし他の子たちがいつもの事のように見守っているのでたぶんこの子が勝手に言ってるだけだろう。エロガキさんですわこの子。フラフィーの方をみるとぶんぶん首を横に振っている。ですよね。

なんだかんだで良識のあるフラフィーの事だから俺と違って子どもに手を出すなんてことはしないだろう。フラフィーがショタコンだったら世界が変わっていたな。俺が手を出したのは見た目が子どもなだけなのでセーフ。

「俺はフラフィー姉ちゃんが好きだ!」

「俺は愛してるし守る力もあるしフラフィーからも愛されているよ?」

「なっ」

驚きの声を出すが別に驚くことだろうか? 村長とかも言っていたけど人間がこの村にたどり着くことが出来ないのはきっと子どもたちもなんとなく聞いているはずだ。

そこにやってきた人間が、フラフィーをもらうと言ってフラフィーもまんざらじゃない様子。これを愛と言わずなんという。思ってて恥ずかしいからこれ以上は言葉にしたくないけど、この子を納得させられるならいくらでも言う。

子どもに対して真摯に対応していきたい、これがロリコンの正しい姿だと俺は思っている。ロリってかショタだけどな。

「に、人間は悪いやつだってみんなが言ってた!」

「確かに人間は悪い奴も多いよ。でもよく考えてほしんだ。君はフラフィーの事好きか?」

「好きだよ!」

恥ずかしげもなく大きな声で返事をしてくれる。フラフィー愛されてるな。元気いっぱいに気持ちを伝えられるのは良い事だからずっとそのままの君でいてくれ。

「じゃあフラフィーのこと信じてるよな?」

「うん!」

「俺もフラフィーの事信じてるんだ。だから俺についてきてくれるフラフィーを裏切るようなことはしない。フラフィーが信じる俺を信じるようにしてるから」

「……よくわかんない」

「そうだなぁ。君はフラフィーに良いとこ見せたいって思うだろう?」

「うん」

「俺もなんだ。だからしっかりフラフィーの事を守る。俺がフラフィーを守るように、君は立派な戦士になって村のみんなを、フラフィーの家族達を守っていてくれないか?」

なんとなーく素直になってきたので話をシフトする。フラフィーの事を諦めさせるのではなく、村に残らなくてはいけない理由としてフラフィーを使う。こう言っておけば良い戦士になってくれるんじゃないだろうか。

「……お前、人間のくせに凄い素直なやつだな。悪意が全然感じられない。お前ならフラフィーねえちゃんを任せても良いかもしれない」

どうやら品定めはおっけーだったようです。獣人は善性が高いので相手の悪意に敏感だったりするのだろうな。俺から悪意が感じられなかったっていうのはちょっと不思議な感じがするけど害を加える気がないからそういうものなんだろう。

もしくは俺が子ども大好きだからその辺の感情をくみ取ってくれたのかもしれない。もし説得に来たのがエロガキの男の子じゃなくて女の子だったらアウトだったかもしれんな。

好意の値が高すぎて怖がられる可能性があったわ。クロエも最初俺の事すんごい警戒してたくらいだし。

「おうよ。任せとけ。男と男の約束だ」

「フラフィー姉ちゃんの事絶対に泣かすなよ!」

こぶしとこぶしを軽くぶつけて約束をする。しかしフラフィーを泣かさないと言う保証は出来ないな。

「ははは、少年よ。女の子を泣かせていい時っていうのが存在するんだぜ。それが理解できるようになったら、君にもきっといい子が見つかる」

「なんだよそれ」

それはお互いの事をしっかり愛して、安心感を与えた時。幸せになったときに流れる涙だ。子どもの時にこの境地に達していたら結構怖いが、フラフィーをここまで思ってくれるならそんな日も遠くはないだろう。

村の事、村のみんなの事を大切に思っているならこの子は凄く強くなる。色々片付いたらまた遊びに来るぜ。

「キミヒトと言ったな。娘をよろしく頼む」

「はい、任せてください」

かなりの大けがしていたはずのレクスが最後に挨拶にきた。頑丈すぎるし回復能力も高いしこの人がいればこの村もそうそう落ちることはないだろう。

もう一度みんなに挨拶をして村を出ていく。

「みんなー! 今度来るときは結婚報告も一緒にするからねー!」

フラフィーも回収できたしこれからまた楽しい日々が始まりそうだ。

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