呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第117話 王都で何をしてきたのか

「解放!」

あかねは弱っている六番に飛びかかり解放スキルを発動させる。というかどっから来たよあかね。いや上からなのは間違いないんだけど。

「うぐあああああ!」

俺にばかり意識を集中していた六番はあかねに気付かずスキル食らい、苦しみだしその場に倒れ伏した。無理やり呪いを解いたのだろうがこれ起きたら廃人になってんじゃねえかまじで。

というか解放ちゃんと効いて一安心だわ。これで何もなかったら全滅してたぞ。

「間に合ってよかった。みんな無事?」

「ああなんとか。内臓がぼろぼろで動いたら死にそうだけど無事だ」

「それ無事じゃないからね!?」

あかねが来たことで気が抜けて何とか軽口を叩く。クロエは急いで俺にヒールをかけてくれて何とか死にそうな状態から回復する。それでも無くなった体力と精神力は戻ってこないが随分ましになる。

「というかあかねは王都に向かったんじゃないのか?」

「うん。でも王都ひどいことになってた。簡単に言うと拷問してた兵士みんな死んでたの。街の人たちには被害が全くなかったけど」

「え」

すぐに話を聞きたいところだったが、この六番を放置するのもまずいし俺達も体力がやばいしダンジョンでスタンピードも起きそうだしでとりあえず街の中に戻ることにする。

報告は軽傷だった守衛に任せて六番の身柄を預かったことも合わせてギルドに伝えてもらう。俺たちが行った方が話は伝わるだろうが正直めんどくさい。応援も送ってくれなかったしちょっとおこだよ。

義理立てするのは良いけどもうちょっと後で行けばいいだろう。重症だったので休みましたとかそれっぽいこと言っておけば強く出れないでしょう。実際に守衛さんは俺たちの戦い見てたし文句はでないはずだ。

宿屋に着いて、気になっていることから順番に聞くことにした。

「まず最初にどうやって登場したか聞いていい?」

「王都の状態よりもそれが気になるの!? 別に良いけど。サッキュンに上から落としてもらっただけだよ」

「いやどういうことだよ」

どうやらサッキュンも来ていたようだ。たしかに大人モードなら空を飛べるのか? サキュバスだし空を飛べても不思議じゃないし、種族的に出来そうな気がする。

でも人を運んでるサキュバスとかシュール映像この上ないと思うんだけど。腹ペコ行き倒れのイメージが強いからしっかり活動してるのあんまりイメージが沸かないな。

高いところから落ちてきて普通に着地するあかねも相当やばいけど。

「サッキュン便利だよー、私の意志疎通と合わせればもう男なら誰でも籠絡し放題だよね。サッキュンの能力で意志弱くしちゃえば大抵いけるから楽しいよ。サッキュンはもう普通に相棒だよね。イチロウさん達にも喜んでもらえそう」

お前は王都で何をしてきたのか。

「いやでもほら、私たちにちょっかいかけてきた人にしか使ってないから大丈夫。見境なくかけたりしてないからおっけーおっけー。男同士で色々させてないだけましだと思って欲しいなー」

あかねも犯罪者染みてきたな。……もっていうと俺も犯罪者みたいに聴こえるけど俺はまだ何もしていない。ただ幼女にちょっかいかけるのが好きなだけの善良な一般市民だよ。

俺は女の子連れてるとロリコン扱いで問題視されるのにあかねは男を連れてても特に問題ないのがひどくずるく思えるわ。中身的にはあかねのほうが問題ありだと思うんだけどどうでしょうか?

「正当防衛ということならそれでいいか。それで兵士死んでたってどういうことだ」

「あーそれはね」

どうやらあかねの言うところでは小規模なクーデターが発生したらしい。というか勇者たちの謀反というかなんというか。勇者たちは厳密には臣下とかじゃないから反乱とも言いづらいからまじでただの武力制圧。

政治的な拘束を行っていたのは事実だし勇者たちにはこっちの世界の問題はぶっちゃけ関係ない。というか少人数で王城の兵士皆殺しってやっぱ戦闘力ぶっ飛んでるわ。

しかしクーデターを起こしたとなると……。

「そう、洗脳効いてなかった人が他にもいたみたいだね」

まじかよすげえな。となるとその効いてなかった誰かが兵士達ぶっ殺して逃げ出したって事になるのか? え、素面で人殺しとかやばい人なんじゃないの。

「んー、詳しくはこの人が起きてから聞き出せば解決すると思うけど最初は普通に王様に従ってたみたいだよ? キミヒト君みたいに後で解けたんじゃない? そんで逃げ出そうとしたら邪魔されてやっちゃったみたいな」

軽く言ってるけどあんな洗脳魔法使える連中をさくっとやれるあたり絶対簡単じゃなかっただろう。それにこの六番起きるかわからないし。名前も聞かないと呼びづらいし早く起きてくれないだろうか。

でもごめんな。俺が切り落とした腕の復活は難しいかもしれない。エリクサー的なやべー薬でもあれば生えるのかもしれないけど。

「それもそうか。しかし第一グループのメンバーが全員解放されたとなると結構大がかりなことになるよな……」

確かにそれなら女神様の言うとおりもう一度勇者召喚を行おうとしていても不思議じゃない。俺たちは魔王を殺すために呼ばれたが、解放されてしまった以上はその義理を果たす必要もないし理由もない。

というか魔王側について人間滅ぼすエンディングすら見えてくる始末。六番もそうだったけど中途半端に洗脳残ってる連中もいるみたいだし明るい未来が見えません。

でも王都壊滅とかじゃなくて良かったわ。あそこ街の中はいい人多いからちょっとビビったわ。

あとはまた召喚するっていうことは、俺達召喚した人物が生き残っていたということくらいか。たぶん兵士じゃなく王族の誰かなんだろうな。挨拶だけしていった王女様とかそのへんかな。

「それでキミヒト君たちにも知らせようと思って急いで戻ってきたら戦ってる最中だったと。解放ちゃんと効いて良かったー。やっぱり本能に関係してる感情じゃないものはどうにかできるみたい」

「おかげで助かったよ。ありがとう。あのままじゃ全滅してたからな」

正直勇者つよすぎわろす状態。チートなんてレベルじゃないぞまじで。六番は俺の能力を知らなかったし油断してたから不意打ちで当てられたけど、油断してなかったら当たらなかったしみんなやられていた。

素のステータスであの強さだったし超人使ったら目で追えなくなってたし。もし他の連中も俺達を襲うようなことがあったら……ってなんで召喚者を狙ってたんだよ。

もしかして十三番抹殺指令が色々とごちゃごちゃになって全員やれみたいになってたのか? 洗脳魔法使ったやつらが最後に嫌がらせのごとく殺しあわせようと命令上書きしたとかか?

めんどくさすぎるだろまじで。

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