呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第105話 クロエ視点 その一

「じゃあかなり不安だけどフラフィーは任せた。ご飯は部屋に運んでもらって先に食べててくれ」

「わかったわ。いってらっしゃい」

「いってらっしゃい、キミヒト」

キミヒトはいつものように楽しそうに部屋を出て行った。いつも思うんだけど私たちに向ける善の感情の強さに驚きを隠せない。自分で言うのもなんだけど私たちの事好き過ぎるでしょう。

でもその好意的な感情のおかげで信用できるしこっちも好きになってしまったのだけど。イリスはともかく私もここまで人に好意をもてるようになるとは思わなかった。

「お姉ちゃん、今日も楽しい」

「そうね。たくさん可愛がってもらえた?」

「う、うん」

恥ずかしそうにうつむいてしまったイリスは凄く幸せそうだった。スキンシップは多く取っているけどこの子はそういった方面に疎いからちょっと心配したけど楽しめたようでなにより。

キミヒトなら優しくしてくれると思ったから任せられる。最初の頃じゃ考えられないけど誰に対しても常にあの安定した姿勢は凄いと思う。ロリコン的な意味で。

「フラフィー起こしにいきましょ」

「うん」

さっきはキミヒトに強めに寝かせただけといったけど結構ガチに魔法を使ってしまった。だってあの子危なすぎるんだもの。

別に昨日キミヒトがフラフィー見てデレデレしていたのに嫉妬していたわけじゃないと思う。この服着てきたのに可愛いって言ってくれなかったことにも別に拗ねてない。

「おねえちゃん、どうしたの?」

「いえ、なんでもないわ」

イリスが心配して尋ねてくるが言えるわけもなく。というか私までみんなに嫉妬し始めたら色々と収集が付かなくなりそうだからあまり気にしないようにしないと。

それにこの感情を持ち続けていればキミヒトと二人きりになった時に思いっきり甘えられるからそれはそれで楽しい。たしかあかねが「クロエちゃんは本質的にMっぽいよね」とか言っていたけどこれがそういうことなのだろうか?

あかねはたまにわからないこと言っていたけど面白いことを言う。でもキミヒトの過去やキミヒトが育ってきた場所を知っているのは素直に羨ましい。

あかねがもしキミヒトに恋愛感情を抱いているならちょっとまずいかもしれない。キミヒトは私たちの事を最大限に可愛がってくれていたけど、呪いが解けてからは守備範囲が広がっている気がする。

最初はフラフィーなんて興味ないとか言っていたくせにアイテムとかスキル使ってまでフラフィーを相手にしていたみたいだし。

洗脳が解けてからも何回もしてフラフィーを満足させるまで続けていたみたいだし。恋仲になるまでの一番の障害はフラフィーだと思っていたけど、それ以降も障害になるとは。

そこにあかねまで加わってきたら私と二人きりになる時間がかなり限られてしまう。今度は私とイリスの二人で籠絡してやろうかな。覚悟していてねキミヒト。

そんなことを考えながら部屋に戻るとフラフィーはまだ意識を失ったままだった。流石にバインドかけまくった挙句に魅了かけてスリープはやりすぎだった。

これじゃフラフィーがキミヒトに包丁向けてるのとほとんど変わらないんじゃないかしら。

「お姉ちゃん、やりすぎ」

「ええ、私もそう思うわ」

どこか他人事のように思ってしまうのは嫉妬しているからだろうか。いやフラフィーがこういうことしても全然怒らないからかもしれない。なんだかんだで無茶しても許してくれるあたりフラフィーはお人よしがすぎると思う。

その辺もキミヒトと相性良いから妬けてくるけど。

「これは起こせるの?」

「起こしましょう。ホーリーレイ」

アンデットに特攻を持つ魔法だが、獣人に対してはあまり効果はない。獣人は基本的に聖なるものを崇める性質が高かったり、生きる欲求が高いので聖属性の魔法はレジストしやすい。

幻獣とかがいるのがいい証拠だ。人間の中に幻なんてつく生物がいないし、獣にだけ許される不思議な力だ。だからこそ魔物と同じように扱われることもあったりするけど。

なのでフラフィーにはちくちくとした弱いけどそれなりの刺激ですむはず。揺さぶった程度じゃ絶対に起きないのでこうするしかない。

流石に水魔法でたたき起こすのはかわいそうだからこうした。別に胸が強調されるのが嫌とかそういう理由ではない。

「……いた、痛いです痛いですなんなんです!? え、クロエさん? え、ちょっとなんですかなんですか起きてます起きてますよ!」

「あ、ごめん」

ぼーっとしながら撃ちまくってたらフラフィーが目を覚ましていた。調整していたとはいえ、建物やベッドに被害が出ていないのは幸いだ。

「お姉ちゃん大丈夫?」

「私の心配もしてくださいよ!?」

散々魔法をぶっぱされたのにピンピンしている。普通は確かにフラフィーを心配する場面かもしれないがフラフィーだし大丈夫そう。一応ヒールをかけておく。イリスはもう少しフラフィーをいたわるべきだと思う。人の事言えないけど。

「あ、ありがとうございます。じゃなくてなんで私に魔法を撃っていたんですか」

「なかなか起きないからついね。ずっと目覚めないから心配したのよ」

「あれ……? そういえば昨日ここに戻ってきてからの記憶が……」

考え込んでしまっているがその辺は考えなくていいのフラフィー。忘れていたほうが良い事なんてたくさんあるんだから。

「じゃあ二人に相談があるんだけどいいかしら」

「相談?」

「なんですか?」

キミヒトが全員に手を出したら言おうと思っていたことがある。守るか守らないかは各々の判断に任せるけど一応言っておかないといけないと思う。じゃないとキミヒトが危ない。

「でもその前にご飯を食べましょう」

「さすおね。実はお腹ぺこぺこ」

「そうですね。食べながらがよさそうですね」

というわけで食堂に降りてティティにお願いしてご飯を受け取る。なんだか複雑な顔していたけどなんだろうか。

「単刀直入に言うと、夜這いかけるのは無しで行きましょう。っていうこと」

「ええ?」

「なぞおね」

うん予想の範囲内ではある。なぞおねとは何ぞやっていう感じだけど。謎なこと言うお姉ちゃんかしら。イリスは何の影響を受けているのだろうか。

「たぶんだけど、一線を越えてしまったからキミヒトは求めればすぐ応えてくれると思う。でもそうなると、フラフィーあなた毎日行くでしょう?」

「何がいけないんです?」

獣人とはこういうものなのだろうか? ほとんど獣なんじゃないだろうか。

「あなたとした次の日のキミヒトみた? 一応なんとか起きてはいたけどあれ相当無理してたわよ。お昼から寝て次の日の朝まで起きなかったし」

「それは……たしかに」

その前日に私としていたことは棚にあげて全部フラフィーのせいにしておく。フラフィーとしたからあんなに疲れた、そういうことにしておこう。

「獣人の体力でキミヒトを襲っていたらキミヒトが何もできなくなっちゃうわよ。だから特にフラフィーには自重してほしいの」

「うぅ……じゃあキミヒトさんが夜這いかけてきた場合は良いですよね?」

「それならいいわ。行くとは思わないけど」

「きますよ! キミヒトさんは私の事もす、す、好きなんですから!」

熱い告白をされてしまった。フラフィーは素直だしこれだけ言っておけばまず夜這いはかけないだろう。ちょろい。

問題は私の妹ね。この子はキミヒトと会ってからトリッキーがすぎる。二人だけの時は大人しい子だったのに、最近は自由にいろいろやって楽しそうにしてるからそれはそれでいいんだどね。

「イリスも良い?」

「や」

当然のようにイリスは拒んできた。

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