呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第84話 乱獲し収納

「キミヒトさんキミヒトさんなんですかそれ」

「何か? クロエとイリスはフラフィーが何言ってるかわかるか?」

「さっぱり」

「右に同じ」

水のダンジョンに向かう道すがら俺たちは平和に歩いていたはずだった。しかしそんな俺達を見ながらフラフィーがかなり冷めた目で俺達の事を見ながら言い放ったのがさっきの一言だった。

俺にじと目詰め寄り羨ましそうにロリ二人を眺めているが俺達に出来ることはこの現場を正しく伝える事だけしかない。

「いやもうなんで毎回いじめるんですかとひたすらに問い詰めたいんですけど?」

「フラフィー、あなたは色々とありすぎた。それだけよ」

「どういうことですか! あまりにも自然な流れだったから混ざれなくて寂しいんですけど!」

フラフィーは文句を言いながら俺たちの周りをぴょんぴょんしながら付け入る隙を狙っていた。ミスリルのプレートにより胸部は守られているのであまり揺れてはいない。痛くないから気に入ったのかな? ありすぎるってそういうところだよ?

「巨乳、見せつけると怒る」

「見せつけられてるのはこっちなんですけど!?」

それでもフラフィーはジャンプをやめ胸を隠すような仕草をする。その仕草は女の子らしくてちょっとグッとくるものがあるけど調子に乗るので言うことはない。というかそれを言うとロリ達が俺を殺しにきそう。とてもありだな。

「まあ落ち着けよフラフィー。俺の腕は二本しかないんだ。今までも、これからもな」

「そりゃそうでしょうけどそれは暗に私とは手をつながないって言ってます!?」

「そうなるな」

「ならないでくださいよ!」

そう、俺とクロエとイリスは手をつないで歩いていた。俺の左右をロリが陣取り手をつないで楽しそうに歩いている。鍛冶屋から出て余りにも自然に左右を陣取ったのでルンルン気分で手をつないだ。

当然流れに乗り遅れたフラフィーは愕然とした表情でこっちをみて一瞬固まっていたが、我に返ってからはずっとこうやってねちねち言ってくる。すまんな、俺の腕は二人用なんだ。

「私もそういうことしたいです!」

「包丁持ち歩きやめたらいいぞ」

「それならいいです」

「そこは諦めるなよ!?」

物騒極まりないわこの猫獣人。え、いちゃいちゃしたいのか俺を脅したいのかどっちなのまじで。というかこれ続けてたら俺殺されたりしない? 仕方ないなこの猫は。

「わかったわかった。二人きりで出かけるときはちゃんと手をつないでやるからな」

「ほんとですか!? やった! 約束ですよ!?」

フラフィーはめちゃくちゃ嬉しそうに飛び跳ねていて微笑ましいがそんな機会はそうそう訪れることはないだろう。俺がこのロリ二人を置いてでかけるわけがない。そして相変わらずチョロすぎる。

イリスはちょっとムッとして手を強く握ってくるが、クロエは俺の魂胆を見抜いているのか少し呆れた目をしていた。嘘は言ってないから許してね?

だがこのフォーメーションはダンジョンに入るまでだ。魔物が出るような街の外やダンジョンの中で流石にこんな平和な行動をとれることはないだろう。だから今だけは存分に堪能させてほしいと心から願う。

寝るときに左右を挟んでもらって寝ることはあるかもしれないけど。

フラフィーには申し訳なく思……わないな。ごめんなフラフィー、ネタキャラでいてくれ。お前は本当に怖い時があるんだ。

というわけで水のダンジョンに到着し中に入っていく。

「わー、綺麗な所ですねー」

フラフィーは初めて入るので幻想的な光景に感嘆の声をあげていた。しかし二回目の俺も確かにここには何度来ても綺麗だと思う。やっぱり幻想的な雰囲気があるよな。

「あ、クリーンアリゲーターが出ましたね」

「気をつけろよ」

この一階には精霊のせいでクリーンアリゲーターしか出なくなっている。柔亀を食い散らかした食いしん坊精霊がいるからな。柔亀がまだ出ないことを考えると今もまだ食い合いをしていることだろう。野蛮すぎる。

フラフィーという安定した盾が来たためサクサク仕留めていく。フラフィーが前線で受け止めてその隙に俺が止めを刺していく。耐久とかはそこまで高くないので全然余裕の敵だ。

「この子達おいしいんですよねー」

「え?」

倒したクリーンアリゲーターを見ながらフラフィーがそんなことを言い出した。ドロップアイテムは鱗と牙だけだったはずだが?

「この子達故郷にいて食料だったんですよ。お魚とかと一緒に捕まえて美味しくいただきました。綺麗な水にしか棲まないから泥臭くもありませんしさっぱりした味で美味しいんですよ? でもダンジョンの中じゃ料理も出来ませんもんね……」

どうやら獣人たちは外にいるこいつらを食料として認識していたようだ。この街の食料事情はあまり詳しくないが出向いた料理屋でアリゲーター系の食べ物は無かったと思われる。

つまり獣人たちだけの食事情なのではないだろうか。いやそもそも綺麗な水が中々ないからそういう環境だっただけかな? あとちょっと残念そうにして耳が垂れてるの初めて見たけど可愛いなそれは。

「ちなみにどこあたりがおいしいの?」

「気になる」

「それはですねー」

料理というものに興味を抱きまくっているロリ達は美味しいと聞いて目を輝かせていた。特にクロエは食いしん坊気質なのでめちゃくちゃ詳しく聞いていた。

尻尾の肉が一番おいしいけど体の部分も脂が乗ってておいしいだとか、足の部分はちょっと独特の感じだとか、揚げても煮ても美味しいとかめちゃくちゃ詳しく話していた。

あれ、もしかしてフラフィー料理出来るの?

「なあフラフィー、ちょっと疑問なんだけど」

「それでアリゲーター肉は……はいなんでしょう?」

「もしかして、料理出来るの?」

「できますけど」

なんてこった。こいつ万能だぞ。ほら、ロリ二人がウソだろこいつみたいな結構まじな形相で見ているんですけど。

「フラフィー。料理、作る」

「ここで名前呼んでくれるんですか!? 食べ物の比重高すぎて悲しくなるんですけど!?」

「キミヒト、クエストも大事だけどここのアリゲーターたちも持ち帰るわよ」

「あ、はい」

急にやる気に満ち溢れたロリ二人に俺とフラフィーは顔を見合わせてその勢いにのまれるしかなかった。捕まえるのは良いけどどこで料理する気だよこのロリ達は。

でもフラフィーの手料理は普通に食べたい。料理できる女の子は非常に好感度が上がると言うのはどの世界でも同じだと思うんだ。フラフィーに優しくしてあげることにしよう。

こうして美味しいものに目がないロリ達によって俺たちはクリーンアリゲーターを乱獲し収納に保管しまくって階層を進むことになった。

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