呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第79話 ぐっすり寝て休んだ

これ以降のダンジョン探索は正直言って三人じゃすこぶるめんどくさい。確か五階層にはクリーンじゃないアリゲーターが出るという話をきいている。

アリゲーターは通常サイズが三メートルを超える化け物でCランクの魔物の中でも飛び切り凶悪という話。でかさがあるからしっかり盾役を置いて戦ったほうが安全だ。

ないとは思うけどこのロリ二人に傷がつくようなことがあったら事だしな。

「というか精霊って生物たべるんだな、初めて知ったわ」

精霊はもっと神聖な生き物でものを食べなくても平気で生きていられるような存在だと思っていた。食べたとしても空気の中にある何かとかそんな感じのイメージ。

「うん、食べる精霊もいる。でもたぶん反撃したんじゃないかな?」

「私もそう思うわ。水の精霊って弱そうに見えるから標的になりやすいって聞いたことあるもの」

じゃああれか、柔亀に襲われたから反撃として全部食らい尽くしたってそういうこと? だいぶ猟奇的じゃないですか。気性荒すぎだろ。

しかしクリーンアリゲーターが襲ってなかったことから水の中では人型じゃなかったと思われるし実は災難だったんじゃないだろうか。そらお怒りモードで出てきますわな。

というわけで俺たちは一旦宿屋に戻ってフラフィーを回収することにした。

「イリス、フラフィーに会うのに緊張してる?」

「違うわキミヒト、恥ずかしがってるのよこの子は」

「……ちがうもん」

あー、そうか。助けてもらったお礼なんだかんだで言えてないもんな。洗脳状態のフラフィーとはまともに会話できなかったし、お互いしっかり落ち着いた状態で改めてってなると照れるのも納得。

ていうかもんって可愛いなどうした。見た目相応に見えてしまうぜ。いつも見てるけど。

ていうか洗脳状態の時の記憶ってあるのかね? なかったらこちらとしてもとても助かるんだけどその辺はどうなんだろうか。会ってみて確かめるしかないか。

昼過ぎになってしまったため宿屋というよりは食堂のような感じになっているが、そこを見渡してもフラフィーは見当たらない。

「ちょっと部屋見てくるわ。お腹すいたし先に食べててもいいぞ?」

「私たちも一緒に行くわ」

「うん」

というわけでそのまま俺の部屋に向かう。扉越しに確認してみるとどうやらベッドからは出ていて立っている。

誰もいないのに立っているとはどういうことだよ。軽くノックして声をかけてみようかとも思ったがちょっと怖いのでそのまま開け放つ。

「フラフィー、起きてる?」

「……起きてますよ」

こっちを見ずに声だけでフラフィーは返事をする。おお、包丁もってないやったぜ。

「巨乳、無事でよかった。それにありがとう」

「イリスさん……。イリスさんこそ無事でよかったです!」

フラフィーはイリスを正面から抱きしめ感動の再開を果たしたみたいな感じになっている。決してこっちを見ようとしないフラフィーに俺はピンときた。

こいつばっちし記憶あるな。昨日の乱れっぷりが恥ずかしいとか思ってるんじゃないだろうか。

めちゃくちゃそれについていじりたおしたいけどイリスの前でそれやると反感買いそう。いじり相手がいるというのに思いっきりいじれないこの葛藤をどうにかしたいけどどうしようもない。

クロエはなんだか呆れた顔でこっちを見ているからきっとこの葛藤ばれてる。イリスはフラフィーに抱き着かれてるから気づいてないみたいだけど。

「フラフィーのおかげでイリスが無事だったわ。私からもありがとう。それに大変だったみたいだけど、あなたも助かってよかったわ」

「私はとっさに動いただけです……! それよりもクロエさんに攻撃しようとしてしまってごめんなさい……イリスさんも……ごめんなさい」

「別にいい」

助けに行った時の記憶もばっちり残ってるな。クロエに攻撃しようとしたのはあの時だけだし、他の時はずっと俺と一緒だったからな。

イリスに攻撃しようとしたのは宿屋に戻って一度意識を回復してから、つまり洗脳状態時の記憶は完全に残っていると言うことがわかる。

「じゃあ感動の再開したと言うことでダンジョン行こうか」

「キミヒトさんは……何もないんですか?」

……なんか甘いこと言ってほしいですオーラが漂ってるなこれ。君は火種をまくの好きだね? じゃあ俺もまいていこうかな。

「散々ベッドの上で言ってやっただろ」

「そ、そうですけど! そうですけど! 今ほら、落ち着いたあとで言われるのとでは違うじゃないですか!?」

「仕方ないな。今日だけだぞ」

「なんでですか!? いつも優しくしてくださいよ!?」

調子に乗りそうなので釘をさしたら余計調子に乗った発言をしてきた。またロリ二人にお仕置きしてもらおうかなと本気で思う。

そしてこの俺の発言により昨日あったことが確定したのでイリスの攻めはより激しくなるだろうことを期待しておく。

そして案の定フラフィーの甘えた行動に異を唱えるロリがいた。

「巨乳、あとで話がある」

「え、あの痛いんですけど……脇腹つねるのやめてください!」

「それなら私も混ざろうかしら」

「さすおね」

「嫌な予感しかしないんですけど!? キミヒトさん助けて!」

ロリ二人に詰め寄られ目に涙をためてこちらに助けを求めてくる。うんうんとてもいい光景だね。俺から言えるのはこれだけだよ。

「今からでもいいよ」

「いやあああああ!」

そして今日の探索はお流れになり俺はいつもみんなが使ってる方の部屋でぐっすり寝て休んだ。

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