呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第57話 これ以上ないほど円滑な人間関係

「……おーいフラフィー?」

というわけで俺一人で部屋に戻る。クロエとイリスはどうせ俺が口説くんだろうから二人きりでやりなさいと送り出してくれた。

どうせ口説くってなんだよ。いや口説くけど。フラフィーちょろいからそれで機嫌治るし。

思うんだけど俺フラフィー舐めすぎだな。フラフィーがいじられ愛されキャラで良い反応返してくれるから調子に乗ってしまうぜ。だからといって止める気はないけど。

「はーい誰からも見向きもされず汚されてしまったフラフィーさんですよー」

棒読みで明らかに拗ねてますオーラを出してくる。うん、まぁあの状態で放置は流石にひどいと思うんだ。うまく片付いたとか思っててごめんね。

「フラフィーの事は俺がちゃんと見てるよ」

「はいはいクロエさんとイリスさんの次にね。ペット枠ですし? 人権ないみたいですし? 先に会ってもイリスさんの方に先に向かっちゃいますし? えぇえぇ私の事よく見てくれてますね本当に」

結構まじで拗ねてるな。ここで取れる選択肢はいくつかあるけどどの戦法で行こうか非常に迷うところだな。

一番目は甘くえっちな展開に持っていく方法。ご機嫌も取れるし絆も深まるだろう。しかしその場合とてもめんどくさそうな予感もある。この状態でまともに話が通るかという疑問も残る。

二番目は茶化すという選択肢。これはもろ刃の剣と言えよう。成功すれば今まで以上に楽しくいじり倒せると思う。しかし失敗すれば俺死ぬでしょルート一直線。

三番目はひたすらにご機嫌を取るルート。これが一番無難だろう。ご機嫌を取るためのアイテムもしっかり持ってるしやるならこれが間違いない。

フラフィーを見る限り一応こっちの話に反応してくれてるし誠意を見せれば許してくれるだろう。いつもいじってるけどちゃんと優しくすればフラフィーだって応えてくれる。

なんだかんだでみんなの心配もしているし、みんなで楽しく過ごしたいと一番思っているのはフラフィーだ。

ダンジョンでもみんなを守るために動いてくれたし、黒ゴブリンのところでは俺を守るように立ちふさがってくれたしな。一番最初に駆けつけてくれたし。

その思いにこたえるためにもフラフィーにもちゃんと向き合うべきだろう。

俺たちのパーティのマスコット的存在のフラフィー。いなくては困る存在になっている。

……うむ、決まった。

二番だな!

「クロエとどういったプレイをしたんだ?」

「さっきの返答で言うことがそれですか!?」

これこれぇ。フラフィーのこういう真面目に返してくれるとこ大好きだよ。そして二番を選んでしまった以上俺は覚悟しなくてはならない。

枕元に鈍い輝きを放っている包丁も置いてあることだし慎重に事を進めなければ。

「いやー、血を吸われるだけであんな気持ちよくなるなんてさー。フラフィーはどんな感じだった?」

「やめてくださいよ!? なんで平然とセクハラトークするんですか!?」

俺の突然の凶行にフラフィーはたじろいでいる。真面目に話をする気は俺にはない。いやあるにはあるんだけどベクトルが違うと言うかなんというか。

可愛い子にはいたずらしたくなっちゃう症候群というかなんというか。ごめんな、こんな俺で。

「俺はスキルで耐えたけどフラフィーはどうだったんだ? 猫だとそういうの結構効きそうだし悶えてたけど」

「やめてくださいって言ったのになんで続けるんですか!? 聴こえてます!?」

フラフィーが布団から顔を出してやっとこっちを見た。なんでこの子まだちゃんと服着てないの。まあいいか。

「聴こえてるよ。ごめん、俺にはこうするしかこっちを見てもらう方法がわからなかったんだ」

「嘘ですよね!? どう考えても嘘ですよね!? 絶対遊んでただけですよね!?」

フラフィーのハイテンションに機嫌が治ってきたかなーと思っていたが枕元から包丁が消えている。うん、持ってるね。まだ早いよねそれ。いやまだもなにもないけども。

「イリスとも話してきたよ」

「そう、ですか」

「今度エッチする約束してきた」

「なんでですか!」

ありのままを伝えるとフラフィーは吠えた。包丁は握っているけどまだ使う様子は見られない。もう少しからかっても大丈夫かな?

「フラフィーはどうする?」

「どどどどうするって!?」

「仲間外れにならないためにはどうする?」

「いやです聞かないでください!」

「この前身も心も捧げていいとか言ってたよね?」

「そこ掘り起こすのは反則でしょう!?」

枕を投げてきた。包丁じゃなくてよかったと冷や汗が流れる。次は手ごろに投げられるものが無いから包丁が飛んでくるだろうな。そろそろまずい気がするな。

そろそろも何も本当は最初からまずかったけど。

「俺はフラフィーとも絆を結びたい」

「ええとその……じゃなくて! こんな流れではいそうですかはおかしいですよ!」

うんだろうね。俺もそう思うよ。これでうんって言われたらチョロインじゃなくて病気か何かを疑うレベルのやばさ。

「これで、許してくれないか」

「なんです、それ」

ここで秘密兵器を投入する。それは昨日ゴンズから渡された例のブツ。

腐食竜の指輪だ。名前とは裏腹に綺麗な作りになっている。腐食竜の魔石は綺麗な赤色、それが細かく指輪にちりばめられ幻想的な輝きを放っていた。

可愛さと綺麗さを兼ね備えた美しい指輪だった。いい仕事しすぎだぜおっちゃん。

「俺と一緒になってほしい」

「キミヒトさん……いくらなんでもその流れは……」

「ほら手を出してくれ」

「ええ……はい……」

しぶしぶといった感じで左手を出してくる。ついでに言うと薬指アピールしてきてる気がする。聞いた話ではこっちの世界でも、将来を誓い合う時には左の薬指に指輪を贈るらしい。こいつずうずうしいな。

「どこにつけてほしいんだ?」

アピールしてきているが、フラフィーはなんと言うだろうか。

「私のご機嫌取るならわかってますよね?」

「フラフィーは空気読めないし協調性がないからな、中指が良いな」

「どの口がそれを言うんですか!? キミヒトさんこそ中指につけるべきですよ!?」

左の中指の指輪は、協調性を高めるとか人間関係をよくするとかだ。俺はあえて空気を読まないから必要ない。むしろこれ以上ないほど円滑な人間関係を築いているだろう?

「冗談だよ、ほら、これでいいだろ?」

「……はい」

左手の薬指に指輪をはめてやると大人しくなった。

「ふー、フラフィーのご機嫌取り終了だ」

「思ってても言わないでくださいよ!?」

それでもなんとなく嬉しそうなフラフィーを見て、これからはもっとおちょくっていこうと覚悟を決めた。

正直真面目な流れからこの指輪の下りをやるのは重くなりすぎる予感がしたから、茶化して甘すぎる雰囲気を避けたのは完璧な流れだっただろう。

拗ねている様子もなくなったようだしこれで一件落着だ。みんなと合流してこれからの予定を決めなくちゃいけないしな。

「えへへ、うれしい」

フラフィーのくせに可愛いじゃねえかちくしょうが。

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