呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第55話 そのうち元気になるわ

鳥の鳴き声が聴こえる。すがすがしい朝という言葉が似つかわしい絶好すぎるほどの良い天気に心地よい気温。そして真横には裸の幼女。

うん。やっちまったね。

十回近くもしたというのに昨夜の事を思い出すだけでまた興奮してくるけどそれは抑えておこう。肉体的に若返りかなり健康体になってこの世界に来たけど、想像以上に健康体だった。

おかげでクロエは今でもぐっすりです。寝顔がめちゃくちゃ可愛い。それ以上に昨日もめちゃくちゃ可愛かったけど。愛しさがあふれゆっくりとクロエを撫でる。

「んぅ……」

「悪い、起こしたか?」

髪をなでているとクロエが目を覚ました。まだ眠そうな顔をしているのは俺と同じく体力を限界まで使い切ったからだろう。

血を吸われたりしたから俺の方が先にばてるかと思ったがそんなことはなかった。というかクロエの反応が可愛すぎて血が無くなろうとも俺は全く元気が衰えなかった。

異世界チートすごい。

「キミヒトのばか……あんなにしていいなんて言ってない」

「クロエがその気にさせたからだろ。俺に手を出されたかったって最初に言ってただろ」

「知らない」

イリスに先手をどうとか言っていたがもう途中からどうでもよくなっていたのはよくわかる。俺もクロエの事しか考えられなくなって夢中になっていたしな。

布団にくるまってこっちを見上げてくる仕草が可愛すぎてこのままもう一回やっちまうかこの野郎という気持ちにさせられる。

それにしてもこのあとどうしようか。確実に修羅場が待ってる。主にイリスの行動が読めなくて怖い。

さてどうしようかと考えていると扉がノックされる。

「キミヒトさーん、クロエさんこっち来てますー? ちょっと頭痛いので回復をお願いしたく……」

弱弱しいフラフィーの声が聴こえてくる。先にこっちだったかー。いやなんとかごまかせ……いやごまかしても無意味だな。甘んじて受け入れよう。

しかし今は俺もクロエも全裸。ぱぱっと服を着替えながら返答をする。

「ああ、居るぞ。ちょっと待ってろ」

クロエの身支度が整うのを待って扉を開けに行く。覚悟を決めて対面すると、そこにはいつもの包丁をもったフラフィーが立っていた。俺が決めたのは死ぬ覚悟じゃないんだが。

「ですよねー、部屋の隙間からお二人の匂いが漏れてましたもん。それにほら、キミヒトさんからクロエさんの匂いすごくします。あれ? 服が乱れてますね? あ、脱ぐなら手伝いますよ? 肉ごといきます?」

確信犯だわこいつ。最初から俺の事殺す気で来てやがる。起きた時にクロエがいないことに気づいて俺の部屋に来たら鍵がかかってる。そして充満した二人の匂い。状況証拠そろいすぎてますね。獣人の嗅覚なめてたわ。

でもとりあえず服を脱ぐのに包丁はいらないと思うんだ。両手で持って俺に刺そうとしてくるのマジでやめて? 君はこういう時だけやけに攻撃的だね?

うん? 脱皮? 君今肉ごと脱がすとか恐ろしいこと言っていたよね? とりあえずその危ないのおろして? 人間は脱皮出来ないよ?

「落ち着け、フラフィー」

「落ち着いてますよぉやだなぁ。キミヒトさんにこれを刺して気持ちよさを味わってもらおうと思ってぇ。クロエさんにさんざん刺しこんだんでしょぉ? ならキミヒトさんも味わってくださいよぉ」

だめだこいつ。どうしても殺る気だ! どうしてこうなるまで放っておいたんだ! あとフラフィーの口から下ネタ聞くのなんか新鮮で恥ずかしいんだけど!

「そうよ、フラフィー落ち着いて」

「クロエさんもキミヒトさんの事好きでしたもんねぇ。おめでとうございます。でも最初はイリスさんだと思ってましたよぉ? 昨日はもしかしてみんなを酔い潰そうとしてたんですかぁ?」

絡みがひどい。いやでも確かに普通にお酒に手を出したにしてはイリスもフラフィーも速攻つぶれたな。え、まじでなにか盛った? いやいやまさかね。

「盛ったわね」

犯人でしたわ。そらみんな朝まで起きないとか言っちゃいますわ。てことはギルドにいる時点からクロエは俺とやるきだった……? その事実だけでごはん三杯はいけますわ。

可愛いところあるじゃん。それで済ませていいのかは全くわからんが。

「やっぱり! お酒以外の味したと思ったんですよ! ずるいです! なんだかんだキミヒトさんは誰にも手を出さないへたれだと思って安心してたのに!」

確かに昨日起きてるのがクロエだけじゃなかったら手は出さなかっただろうね。だがへたれではない、決して。うん、たぶん。

「そこでお二人に遠慮している間に最初をもらってしまおうと思っていたのに! 流されやすいキミヒトさんなら行けると信じてたのに! キミヒトさんのロリコン!」

……たしかにその可能性は全く否定できないところがあるな。なんだかんだでクロエとイリスが一緒にいたらしなかっただろう。最初はタイマンで……そうすると消去法的にフラフィーが迫ってくるんだよな。

いやでもその場合相当時間かかっただろうに。フラフィーは可愛いけどロリ二人に比べてネタキャラ感が強くてあまり手を出そうという気にはならなかったはずだ。

主に今俺の事思いっきり刺そうとしてるところとかあるからね。そろそろ降ろしてもいいんだよ?

「ふふふ、やはりあなたは障害になると思っていたわ。だから先に手を打たせてもらっていたの」

クロエが悪い笑みを浮かべているんですが。そして俺蚊帳の外。修羅場でめちゃくちゃ怒られるかと思いきや傍観者ポジ。楽だけどいつ飛び火してくるかで怖すぎる。

絶賛刺されそうになってる最中だけどそれはそれ。飛び火というにはちょっとぬるい。毒されてる気もするけど。

「な、何をしたんですか?」

「こういうこと」

クロエはフラフィーにゆっくり近づき頬に手を伸ばす。

「ひゃう!」

フラフィーは叫び声をあげ、腰砕けになったようにその場に崩れ落ちる。やや上気した顔でクロエを驚いたように見つめていた。

「キミヒトには言ったけど、昨日の吸血行為には感情を高ぶらせる効果があってね……」

あ、そういえばフラフィーも吸われてましたね。あのあと突っ伏してたけど興奮状態抑えてたのかな。猫は人間よりも敏感だ。発情期とかあるだろうし大変そうだなぁ。

「や、やめ……」

フラフィーはじりじりと後ずさりながら移動するが、足腰立たなくなっているのとここは狭い室内。逃げ場はすぐに無くなり壁際に追いやられる。

フラフィーは涙目になりながら必死に抵抗しようとしているがされるがままになる。クロエはフラフィーの腕をとりベッドまで運んでいく。

「さて、可愛がらせてもらおうかしら。キミヒトの匂いもするからあなたも満足できると思うわ」

「いやぁ……」

修羅場かと思ったら百合場でした。本当にありがとうございました。百合の現場に男はいらないので俺は扉の外に出て誰も入らないように小一時間見張りをすることになった。

「大丈夫か? あれ」

見張りが終わるとクロエが出てきたので声をかける。フラフィーはベッドの上で可愛そうな感じになっていたがどことなく幸せそうにも見える。

「大丈夫よ、そのうち元気になるわ」

「おねえしゃまぁ……」

ダメだと思う。

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