呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第52話 お姉さんタイプのクロエ
ロンドのメンバーと報酬を山分けしようとしたが辞退された。いや受け取れし。
「半分は多すぎる、実質後半はキミヒト達が攻略してただろ」
「そうだぜ、俺達なんてキミヒト殺しかけたみたいなもんだしな」
「だからうけとらねぇ。彼女たちにプレゼントでも買ってやれ」
こいつら男気たけぇ。惚れるわ。怖いから絶対言わないけど。だがそれだとこっちが完全にもらい過ぎなので、準備していた時に支払ってもらった食料や、消耗品の金額だけは絶対に返すことにした。
「ならせめてこれだけは受け取ってくれよ。流石にこっちがもらい過ぎだ。こっちとしても世話になったんだからさ」
「折れなさそうだな。それならありがたく」
なんとか説得しそれだけの金額は渡した。こいつらいなかったら最後まで行こうとは思わなかったから半分は渡したいところだったんだけどな。
そしてギルドに戻ると、そこはまだ熱気が渦巻いていた。探索者たちは思い思いに過ごしていたが、俺たちが戻ってくるのを見るやさらに盛り上がる。
「あー、キミヒト。火消しの件だが」
「わかる。というかわかった。こういうことだろ」
なんだか言いづらそうにしているロンドの連中だったが、こういう時はこれしとけば大丈夫だろうっていう定番があったなそういえば。
なので俺はそこにいる探索者たちに向かって声をはりあげる。
「ダンジョンクリアしたキミヒトは俺だー! 今日は俺のおごりだ全員好きなだけ飲み食いしろやー!」
「「「うおー!」」」
うむ、やっぱこれだな。冒険の醍醐味って感じある。ギルドには軽く飲み食いできるところがくっついているので、みんなそれ目当てだったんだな。
「すまんなキミヒト」
「いいってことよ」
これなら今日の報酬が少なくてもお祭りみたいに楽しめるし存分に発散できるだろう。これ以上ない火消しになるわな。ロンドの連中は他の探索者に絡まれてしまったのでここからは別行動に移る。
「クロエ達もこいよ」
あかねはローブを取っていたが他の連中はまだローブを着たままだった。それでも関係なく中に引きずり込みみんなで盛大に祝うことにしよう。今の状況で何か言ってくる奴はこの街にはいないと信じる。
たまにはこうやって騒いでいるところで飲み食いするのも悪くはない。宿屋のおっちゃん達のところはまたいつでもいけるしな。ティティにも挨拶しとかないと。
「すごい騒ぎね」
「キミヒト、英雄?」
「誰もこっち気にしてませんね」
「冒険者とか探索者なんてこんなもん」
あまりの騒ぎっぷりで誰もこっちを見ていないので、俺たちも好きに座って注文する。サンドイッチみたいな食べ物とお酒しかないが別に良いだろう。
職員もわかっているのか頼んでもいないものもガンガン運ばれてくる。俺たちのところにも人数分の料理とお酒が運ばれてきたのでありがたく頂戴する。
「よしじゃあ、ダンジョン攻略おつかれ! 乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
みんなお酒が飲めるか心配だったけど特に問題はないらしい。表面上は。
……いやまずい急に心配になってきた。大丈夫かこれ。
「な、なぁみんな。お酒飲んで大丈夫なのか?」
宿屋の食事処では誰もお酒を飲んでいなかった。果実ジュースとフラフィーに至ってはミルクだ。お酒行けるように全然見えないんだけど。
「私は平気よ」
クロエは俺をまっすぐに見てそういうがほんのり赤い。回るの早いね、でも呂律もしっかりしているし本当に大丈夫そうに見える。
一応お姉さんタイプのクロエなのでつぶれるまで飲んだりはしないだろう。きっと大丈夫。信じてるよ。
「キミヒト、分身してる」
イリスは死んだ。はええよ。一口くらいしか飲んでないように見えたけど大丈夫だろうか。机に突っ伏してこっち見ながら俺の服をちょいちょいやってる。可愛い。
かまってあげたいのはやまやまだけど他にも確認しておかないとな。イリスの状態はわからないがクロエが何も言わないからとりあえず放置。
「……」
フラフィーは無言で怖い。酔ってるのか酔ってないのかわからん。いやお酒入ってなかったら多少の反応はあるから酔ってるなこれ。目が座ってる。
なにかの拍子にスイッチが入りそうな危うさを感じる。なんでフラフィー爆弾になってしまったん?
「キミヒト君、運ぶのは手伝うよ」
あかねは完全に素面。よかったわ、俺一人で全員宿まで運ぶのは流石にきつい。保護者枠助かるわ。勇者組は耐性値高いのかもしれないな。
あの疲れ切った女神様は大丈夫だろうか。こんど教会にでも行ってお祈りしてみようかな。
そんなことを考えながらお酒をちょいちょい飲んでサンドイッチを食べる。うむ、濃い味付けにお酒はよくあう。ダンジョン街だから出来る味付けだな。
俺? 俺は『不屈』があるから状態異常は無効だよ。どんなに飲まされようが倒れることはない。
その後数時間、やっぱりイリスとフラフィーはつぶれた状態で宿屋に運ぶことになったが、その時あかねはいなかった。
飲んでいる最中にロンドのやつらがこっちに来たのであかねに相手をさせておいた。なんか意気投合し始めたのであかねには好きにするように言って別れた。
遠くから聴こえてくる会話はあの筋肉がいいとかあの肉体ならあそこが弱そうだとか、あいつは良い声してるんだぜとか聞きたくもない会話ばかりだった。変な話に花咲かせてるんじゃないよ。
でもまぁそのうち戻ってくるだろう。関わり合いになりたくなかったので若干足元のおぼつかないクロエと共に帰宅。イリスはお姫様抱っこ、フラフィーはおんぶで気合いで運搬。不屈なめんな、何者にも俺は屈しないぜ。
「ふー、疲れたな」
そのまま二人をベッドに寝かせ、俺も一息つく。穏やかな表情で二人は寝ているが、疲れが溜まっていたんだろう。戻ってくるまでに一度も目を覚まさなかった。
思えばフラフィーも盾としてめちゃくちゃ集中力使うし、敵の初撃を受ける大役を果たしている。疲れないわけがないんだよな。
イリスも魔法打ちまくっていたし、相当だろう。こんな小さい体にどれだけ負担をかけているのか考えるととても愛おしく感じる。
「ねえ、キミヒト」
「ん?」
クロエも俺を助けるために大魔法を撃ってくれた。暴走する可能性がありながら助けてくれたその行動に感謝している。
そんなことを考えているとクロエがこちらに声をかけてくる。至近距離で。もたれかかるように。
「今日はみんな、明日まで起きないんじゃない?」
「そうだな」
かなり騒いだせいか外は結構暗くなっている。ダンジョン攻略の疲労とお祭り騒ぎ、そこに酔いが含まれているならそう簡単には起きないだろう。
「キミヒトの部屋、行って良い?」
「……」
さっきまでは普通の笑顔だったのに、今はダンジョンの時に見た妖艶な笑みを浮かべていた。お酒のせいかより色っぽく、そして周りには誰もそれをとがめる人はいなかった。
「半分は多すぎる、実質後半はキミヒト達が攻略してただろ」
「そうだぜ、俺達なんてキミヒト殺しかけたみたいなもんだしな」
「だからうけとらねぇ。彼女たちにプレゼントでも買ってやれ」
こいつら男気たけぇ。惚れるわ。怖いから絶対言わないけど。だがそれだとこっちが完全にもらい過ぎなので、準備していた時に支払ってもらった食料や、消耗品の金額だけは絶対に返すことにした。
「ならせめてこれだけは受け取ってくれよ。流石にこっちがもらい過ぎだ。こっちとしても世話になったんだからさ」
「折れなさそうだな。それならありがたく」
なんとか説得しそれだけの金額は渡した。こいつらいなかったら最後まで行こうとは思わなかったから半分は渡したいところだったんだけどな。
そしてギルドに戻ると、そこはまだ熱気が渦巻いていた。探索者たちは思い思いに過ごしていたが、俺たちが戻ってくるのを見るやさらに盛り上がる。
「あー、キミヒト。火消しの件だが」
「わかる。というかわかった。こういうことだろ」
なんだか言いづらそうにしているロンドの連中だったが、こういう時はこれしとけば大丈夫だろうっていう定番があったなそういえば。
なので俺はそこにいる探索者たちに向かって声をはりあげる。
「ダンジョンクリアしたキミヒトは俺だー! 今日は俺のおごりだ全員好きなだけ飲み食いしろやー!」
「「「うおー!」」」
うむ、やっぱこれだな。冒険の醍醐味って感じある。ギルドには軽く飲み食いできるところがくっついているので、みんなそれ目当てだったんだな。
「すまんなキミヒト」
「いいってことよ」
これなら今日の報酬が少なくてもお祭りみたいに楽しめるし存分に発散できるだろう。これ以上ない火消しになるわな。ロンドの連中は他の探索者に絡まれてしまったのでここからは別行動に移る。
「クロエ達もこいよ」
あかねはローブを取っていたが他の連中はまだローブを着たままだった。それでも関係なく中に引きずり込みみんなで盛大に祝うことにしよう。今の状況で何か言ってくる奴はこの街にはいないと信じる。
たまにはこうやって騒いでいるところで飲み食いするのも悪くはない。宿屋のおっちゃん達のところはまたいつでもいけるしな。ティティにも挨拶しとかないと。
「すごい騒ぎね」
「キミヒト、英雄?」
「誰もこっち気にしてませんね」
「冒険者とか探索者なんてこんなもん」
あまりの騒ぎっぷりで誰もこっちを見ていないので、俺たちも好きに座って注文する。サンドイッチみたいな食べ物とお酒しかないが別に良いだろう。
職員もわかっているのか頼んでもいないものもガンガン運ばれてくる。俺たちのところにも人数分の料理とお酒が運ばれてきたのでありがたく頂戴する。
「よしじゃあ、ダンジョン攻略おつかれ! 乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
みんなお酒が飲めるか心配だったけど特に問題はないらしい。表面上は。
……いやまずい急に心配になってきた。大丈夫かこれ。
「な、なぁみんな。お酒飲んで大丈夫なのか?」
宿屋の食事処では誰もお酒を飲んでいなかった。果実ジュースとフラフィーに至ってはミルクだ。お酒行けるように全然見えないんだけど。
「私は平気よ」
クロエは俺をまっすぐに見てそういうがほんのり赤い。回るの早いね、でも呂律もしっかりしているし本当に大丈夫そうに見える。
一応お姉さんタイプのクロエなのでつぶれるまで飲んだりはしないだろう。きっと大丈夫。信じてるよ。
「キミヒト、分身してる」
イリスは死んだ。はええよ。一口くらいしか飲んでないように見えたけど大丈夫だろうか。机に突っ伏してこっち見ながら俺の服をちょいちょいやってる。可愛い。
かまってあげたいのはやまやまだけど他にも確認しておかないとな。イリスの状態はわからないがクロエが何も言わないからとりあえず放置。
「……」
フラフィーは無言で怖い。酔ってるのか酔ってないのかわからん。いやお酒入ってなかったら多少の反応はあるから酔ってるなこれ。目が座ってる。
なにかの拍子にスイッチが入りそうな危うさを感じる。なんでフラフィー爆弾になってしまったん?
「キミヒト君、運ぶのは手伝うよ」
あかねは完全に素面。よかったわ、俺一人で全員宿まで運ぶのは流石にきつい。保護者枠助かるわ。勇者組は耐性値高いのかもしれないな。
あの疲れ切った女神様は大丈夫だろうか。こんど教会にでも行ってお祈りしてみようかな。
そんなことを考えながらお酒をちょいちょい飲んでサンドイッチを食べる。うむ、濃い味付けにお酒はよくあう。ダンジョン街だから出来る味付けだな。
俺? 俺は『不屈』があるから状態異常は無効だよ。どんなに飲まされようが倒れることはない。
その後数時間、やっぱりイリスとフラフィーはつぶれた状態で宿屋に運ぶことになったが、その時あかねはいなかった。
飲んでいる最中にロンドのやつらがこっちに来たのであかねに相手をさせておいた。なんか意気投合し始めたのであかねには好きにするように言って別れた。
遠くから聴こえてくる会話はあの筋肉がいいとかあの肉体ならあそこが弱そうだとか、あいつは良い声してるんだぜとか聞きたくもない会話ばかりだった。変な話に花咲かせてるんじゃないよ。
でもまぁそのうち戻ってくるだろう。関わり合いになりたくなかったので若干足元のおぼつかないクロエと共に帰宅。イリスはお姫様抱っこ、フラフィーはおんぶで気合いで運搬。不屈なめんな、何者にも俺は屈しないぜ。
「ふー、疲れたな」
そのまま二人をベッドに寝かせ、俺も一息つく。穏やかな表情で二人は寝ているが、疲れが溜まっていたんだろう。戻ってくるまでに一度も目を覚まさなかった。
思えばフラフィーも盾としてめちゃくちゃ集中力使うし、敵の初撃を受ける大役を果たしている。疲れないわけがないんだよな。
イリスも魔法打ちまくっていたし、相当だろう。こんな小さい体にどれだけ負担をかけているのか考えるととても愛おしく感じる。
「ねえ、キミヒト」
「ん?」
クロエも俺を助けるために大魔法を撃ってくれた。暴走する可能性がありながら助けてくれたその行動に感謝している。
そんなことを考えているとクロエがこちらに声をかけてくる。至近距離で。もたれかかるように。
「今日はみんな、明日まで起きないんじゃない?」
「そうだな」
かなり騒いだせいか外は結構暗くなっている。ダンジョン攻略の疲労とお祭り騒ぎ、そこに酔いが含まれているならそう簡単には起きないだろう。
「キミヒトの部屋、行って良い?」
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