春夏秋冬物語

むらせ

…秋…

10月、昼過ぎに仕事が終わると
私は決まって
近くの海に足を運ぶ

秋の海は
夏のそれとはまた違い
とても爽やかだ

夕陽に照らされ
オレンジ色に輝く姿は
まばたきを忘れるほど綺麗で

細くため息をつくと
喉に詰まっていた
小さなモヤモヤが
スッと抜けていくよう

少し冷たい乾いた潮風が
私の髪を撫でるようにさらい
心までフワリと軽くなる

そうして
太陽が眠りにつくまで
しばらく海を眺める時間

それは、誰にも内緒の私の宝物







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