金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第110話 領主代理と共に

歩く事数十分で歩き慣れた侯爵家までの道のりを歩き、侯爵家へと到着した。

「お疲れ様です。お通り下さい」

今日はいつものベテランの衛兵さんだった。
流石に、顔パスで通ることが出来てしまう。

「ありがとうございます」

アリーセとロジェルは軽く頭を下げると、侯爵家の門を潜る。
そして、従者によって応接間に通される。

しばらく待っていると、応接間の扉が再び開かれた。

「おはよう。わざわざ朝からありがとうな」

そう言って、侯爵は対面のソファーに腰を下ろした。
その後ろには、領主代理に就任するライナーの姿もあった。

「いえ、本日からよろしくお願いします。早速ですが、このルートでミスタンまで行こうと思います」

アリーセは懐から一枚の紙を取り出すと、机の上に置いた。

「拝見させてもらうよ」

侯爵がその紙を手に取ると、目を近づけた。
そして、顎に手を当てながらじっくりと内容を眺めていた。

「うむ。アリーセの選んだルートなら問題無いだろう。これでよろしく頼んだ」
「よろしくお願いします」

侯爵とライナーは軽く頭を下げた。

「分かりました。ありがとうございます。では、早速出発しましょうか」

出来るだけ早く出発するに越したことは無い。
日が暮れるまでには半分ほどまでは進んでおきたかった。

「馬車を表に用意させてある。自由に使ってくれ」
「助かります」

そう言うと、侯爵たちと共に応接間を出て庭に向かう。
庭には確かに侯爵家の家紋が側面に描かれた馬車が停められていた。

「ご無沙汰しております。今回も御者を務めますエーリヒでございます」

今回もアリーセを迷宮都市まで送ってくれたエーリヒが御者を担当してくれるらしい。
彼の御者としての技術は十分に信頼できるのでありがたい。

「お久しぶりですね。今回もよろしくお願いします」
「ロジェルと申します。どうぞよろしくお願い致します」

アリーセとロジェルは軽く頭を下げて挨拶を交わした。

「お噂は伺っております。ロジェルさんもA級の冒険者だとか。今回は随分と心強いですね」

エーリヒは軽く微笑んでそう言った。

「恐縮でございます」
「エーリヒさん、よろしくお願いします」

ライナーが一歩前に出てエーリヒに言った。

「こちらこそでございます」
「では、参りましょう」

ロジェル、ライナー、アリーセの順番に馬車へと乗りこんでいく。

「アリーセ、よろしく頼んだ」
「はい、行って参ります。お願いします」

アリーセの声でエーリヒが鞭を入れる。
そして、ゆっくりと馬車が動き始めた。

門番が侯爵家の門を開けてくれる。
王都の貴族街を抜けて馬車は王都を抜ける門がある方へ向かっていく。

相変わらず、エーリヒの運転は安定感があって変に酔ったりしないのだ。
長距離な移動の際はこうした技術が本当にありがたい。

そうして、王都の城壁へとたどり着いたのであった。

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