金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第105話 スラム通りの少女

中央通りから一本離れた道はいつも空いているし人通りも少ない。
しかし、今日はやけに静かな気がした。

元々、ここの奥にももう一本の道がある。
そこは、治安も悪い方に分類され、スラム街のような状況に陥っていた。

まあ、王都には何万という住人が居るが、その中には居住資格を持たないものも何割かは居るのだ。

アリーセは索敵魔法を展開した。

「これは、何かおかしいですね」

アリーセの索敵魔法には、明らかに通常状態では無い人間の反応があった。

「行きますか……」

左側に挿した剣に手を掛けながら歩みを進めた。
いわゆる、裏通りと言われている奥の道は薄暗く、埃っぽい。
治安もだいぶ悪いように思う。

「やめて!!!!」

アリーセが進んでいると、そう叫ぶ少女の声が聞こえてきた。
その声を聞き、アリーセは歩みを早めた。

「あなたたち、何をしていますの?」

アリーセは殺気を放つと同時にドスの効いた声で言い放った。

そこでアリーセの目に映ったのは男二人に両手を地面に押さえつけられ、服を剥ぎとろうとしている姿だった。
少女の目には涙が浮かべられていた。

「痛い目に遭いたくなかったら、今すぐその子を離しなさい」

アリーセは怒気を交えた声で言った。

「あん? 何だ姉ちゃん、お前も同じ目に遭いたいのか?」

男のうちの一人が、アリーセの顔から胸に視線を落とし、気色の悪い微笑みを浮かべて来た。

「どうやら、口で説教しても駄目みたいですね」

アリーセはため息混じりの声で言った。

「お前も可愛がってやるよ!!」

男はアリーセはの腕をつかもうと近づいて来た。
しかし、次の瞬間、男はその場に倒れ込んだ。

「何か、言いましたか?」

アリーセの拳が男の鳩尾にクリーンヒットしていた。
男は情けないうめき声を上げると共に、その場で意識を刈り取られていた。

「貴様! ふざけるな!!」

もう一人の男もアリーセに殴りかかって来た。
それを、アリーセは半歩移動するだけで躱す。

「そんな遅い動き、見切るまでもありません」

そして、その刹那、アリーセの蹴りが男の顎の位置に綺麗に入った。

「まだまだですね」

男二人はその場で気絶していた。

「大丈夫ですか?」

アリーセは少女に目線の高さを合わせると、少女に尋ねた。
見た目からでは、おそらく18歳にも満たないだろうと感じる。

「あの、助けてくれてありがとうございました」

少女は絞り出すような声で言った。
よほど怖かったのだろう。
男二人に襲われていたら、それも当然のことだろうが。

「それは、構いませんわ。無事に助けられてよかったです」

アリーセは優しい声で少女に言った。

「帰るところはありますか?」

少女の身なりは、どことなく貧しい気がした。
もしかすると、行く当てがなくてこの裏通りを彷徨っていたのかも知れないと思ったので、アリーセは聞いた。

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