金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第92話 ロジェルの提案

ギルド本部を出ると、アリーセは自分の屋敷に向かって歩いていた。
午後から魔獣の間引きの作業に向かおうかとも思ったが、この作業には時間がかかることが予想される。
最近は、日が落ちるのが早くなってきている。
暗くなってからの戦闘は出来るだけ避けておきたかったので、明日の朝から出かける事にした。

「戻りましたわ」

アリーセは屋敷の玄関を開けて中に入った。

「おかえりなさいませ」

ロジェルが出迎えてくれる。

「明日、魔獣が活性化している地域に間引きの作業に行ってきますわ」

アリーセはロジェルに報告した。

「魔獣が活性化しているのですか。よかったら、私もお手伝いしましょうか?」

ロジェルが言った。
これでも、Aランクの冒険者資格を長年にわたって維持しているのだ。
血が騒ぐのだろう。

通常、長年活動していない冒険者は、大きな功績を残さない限りその冒険者ランクは降格してしまうものだ。
ロジェルの場合、教官をやったり使用人として主人を護衛することでそのランクを維持してきたのであろう。

しかし、アリーセの場合は護衛の必要はない。
何せ、Sランク認定の冒険者なのだ。
この辺でロジェルにも何かしらの功績を残させてあげたい。

「では、お願いしますわ。明日の朝には行きたいと思いますわ」

「かしこまりました。では、明日よろしくお願い致します」

アリーセはロジェルと共に間引きの作業に向かうことにした。
正直、一人でもやれないことはないが、人ではあったほうがいい。
ロジェルなら冒険者としての技術は申し分ない。
ギルドも許可するであろう。

「では、少し出掛けて来ても構いませんか?」

ロジェルが言った。

「どこに行くのですか?」

「ギルドに私もお嬢様に同行する旨を伝えて参ります」

確かに、これはギルドマスター直々の依頼なので、ギルマスの許可が必要な案件だろう。
ロジェルのことだから早いうちに済ませておきたといったところであろう。

「わかりましたわ」

「では、少し出て参ります」

そう言って、ロジェルは綺麗に一礼すると、屋敷の玄関を出た。

そうして、待つこと30分と少し経った頃にロジェルが帰って来た。

「ただいま戻りました」

「おかえりなさい」

ロジェルの白手袋をはめた手には三つ折りにした紙が握られていた。

「どうでしてか?」

「ギルドマスター殿から正式依頼として引受させていただきました」

ロジェルは三つ折りにされた紙を開いて見せた。
そこには、ギルドマスターの直筆のサインと共に、ロジェルにも魔獣の間引き作業をアリーセと共に遂行するようにという旨の依頼書が書かれていた。

「これで、問題ありませんわね」

「左様でございます」

相変わらず、仕事が早いロジェルであった。

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