金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第85話 メールス王都へようこそ

あれから4日が経過しようとしていた。
一昨日、陛下が使いの者を行かせたと行っていたので、順調に行けば本日中には到着するだろう。
往復では2日程度かかるはずだった。

「何か、落ち着かないですわね」

それもそのはず、妹と会うのは5年ぶりくらいだろう。
楽しみという感情と、若干の不安が折り混ざっていた。

「落ち着きませんか? これ、どうぞ」

セシールが紅茶を淹れて持って来てくれた。

「ありがとうございますわ」

その紅茶を、リビングのソファーに座りながらちびちびと飲んでいく。
ボーッとしながらも、アリーセは時が流れて行くのを待っていた。

そして、午後になってからすぐのことであった。
ロジェルがアリーセの元までやって来た。

「お嬢様、妹さまが到着されたようです」

どうやら、妹が王都に到着したらしい。
今は、王宮に方に居るようだ。

アリーセはいつものコートを羽織り、王宮に向かう準備をしていた。

「行ってきますわ」
「「行ってらっしゃいませ」」

ロジェルとセシールに見送られて屋敷を後にした。
そして、そのまま歩いて王宮へと向かう。

「陛下とお約束をしております、アリーセ・ベートですわ」

王宮の前に到着すると、警備の騎士に漆黒に染まったギルドカードと、侯爵家の家紋のカードを提示した。

「伺っております。どうぞ、お通りください」

今日は、陛下から予め話が行っていたようですんなり通してもらうことができた。
王宮の玄関の前まで行くと、従者により扉が開けられる。
そして、中に入ると応接間へと案内された。
そこには、既に陛下とアリーセと同じ金髪を長く伸ばした女性の姿があった。

「おう、来たか」

陛下は軽く右手を上げて手招きをしていた。
いや、友達かよ。

「姉さん・・・・・・」
「マリーナ」

これが、姉妹の再開の時であった。
妹、マリーナは随分と立派に成長していた。
顔立ちも整っていて、どことなくアリーセと似ている。
姉妹と言われても差し支え無いだろう。

「久しぶりですわね」
「うん、びっくりしたよ。姉さんがミューレンから追放されてて、今はメールス王国のSランク認定の冒険者なんて」

妹とはいえ、国外追放されたことを話していなかったのだ。
驚かれるのも当然だろう。

「来てくれてありがとう」
「いいの。私もミューレンにはうんざりだったから」

どうやら、アリーセが居なくなって軍事力が低迷すると同時に、税収も厳しくなり、増税を重ねていたらしい。

「ようこそ、メールス王国へ。我々は歓迎しますよ」

メールス国王陛下がマリーナに向かって言った。
陛下は、マリーナにここメールス王国の永住権を与えてくれた。
保護者の欄には、なぜかディオン侯爵の名前が入っていたが、勝手に使っていいものなのだろうか。
まあ、陛下がいいと言っているからいいか。

こうして、アリーセの妹であるマリーナがメールス王都に住むことが決定したのであった。

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