金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第73話 迷宮の守護者戦

アリーセは10階層に降り立った。

「やはり、ここが最深部なようですね」

10階層には、門のような物が作られていた。
恐らく、ここを潜ると迷宮の守護者が感知するという寸法だろう。

「さて、やりましょうか」

アリーセは覚悟を決めると、最深部の門を潜った。


ーーゴゴゴゴォォォォ


アリーセの頭上から、不吉な音が聞こえてくる。
思わず上を見上げたその時。

ドーンっと音を立てて、目の前に魔獣が降りて来た。
いや、この場合は落ちて来たと言うべきだろうか。

「ほう、まさかこんな所でお目にかかれるとはね」

アリーセの前にはアウルベアーの3倍の大きさはあるであろう、赤いドラゴンの姿があった。
そう、レッドドラゴンである。

レッドドラゴンは、ドラゴン族の中でも最も凶暴でる。
しかも、ある程度の知能も備わっているのが厄介なポイントである。
その凶暴さからS級指定の魔獣であった。

『グオオォォォォ!!!!』

レッドドラゴンが大きく咆哮し、口から青白い炎を吹き出した。

「やってやりますわ」

アリーセは、わずかに口角を上げた。
こんな強敵は久々にであった。
元参謀、Sランク冒険者としての血が騒ぐ。
相手は、魔獣のS級指定。
同じS級の実力を持つ者の戦いである。
こんなに面白い事があるのだろうか。

自身の金髪縦ロールに硬化魔法と重量制御魔法を展開する。
それと同時に、腰に挿した剣に手を掛ける。

アリーセは炎から逃れるように全力で走る。
その後、大きく後ろに跳躍してレッドドラゴンとの間合いを保つ。

「やっぱり、そう簡単には行きますよね」

距離を保った状態から、一気に距離を縮める。
そのまま大きく跳躍し、レッドドラゴンの目に向かって剣を突き刺す。
しかし、レッドドラゴンも負けずと炎を吹き出し来る。
それを物理防壁を展開する事で防ぎつつ、ドラゴンの目にアリーセの攻撃は命中した。

『グオオォォォォ!』

レッドドラゴンが一瞬だが、隙を見せた。
地面に着地するなり、アリーセはもう一度跳躍した。
そのまま、剣を構え、レッドドラゴンの右の羽を狙う。
一気に剣を振るうと、レッドドラゴンの羽をぶった切った。

「これで、空は飛べませんね」

アリーセは黒い笑みを浮かべていた。

「見せて差し上げますわ。格の違いってヤツを」

再び、アリーセはレッドドラゴンの炎から逃れるために、距離を取った。
そして、レッドドラゴンの炎が収まるタイミングを見計らい、間合いを詰める。
ドラゴンの胸の位置に剣を突き刺し、横に振るう。

『グオオォォォォ!!』

レッドドラゴンが大きく咆哮すると、牙を向けて来る。
それを硬化させた金髪縦ロールで受け止めると、そのままもう片方の目にも剣を突き刺し、間合いを取った。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品