金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第67話 迷宮調査②

アリーセは、四階層に進む階段を発見した。

「すすんでみましょう」

4階層は更にマナが少ない。
これは、どういう事なのかは、すぐに想像がついた。
本来、マナというのは最深部に行くにつれて濃くなっているものだ。
しかし、例外も存在するのだ。

「やけに静かですわね」

それにこの静けさと来た。
アリーセは、確信を持った。
4階層を歩いていると特に魔物は何も居ない。

「これは、少し厄介ですわね」

4階層に何もいないとなると、5階層には守護者がいる可能性が高くなる。
守護者とは、迷宮を守る為に迷宮が作り出すモンスターである。
通常の魔物とは比べものにならないくらい強いのが特徴だ。
そして、そのモンスターを作り出すためには大量のマナが必要とされる。
故に、5階層のマナだけでは足りず、4階層のマナまで使用してしまうのだ。
その為、4階層では魔物が発生しない。
冒険者たちにとっては、迷宮内で休息できる貴重な階層ということである。
ごく稀に、違う階層から魔物が迷い込むこともあるのだが、比較的簡単に倒すことが出来る。

そこから、数分辺りを探索する。
その間も魔物とは一匹も出くわさなかった。
やはり、この階層に魔物は居ないらしい。

「ありましたわね」

アリーセは、探索の末に5階層に続く階段を発見した。
慎重に、周囲に気を配りながら階段を降りた。

5階層は他の階層に比べるとだいぶ狭くなっていた。
守護者にマナが取られ、階層の広さを保つことが出来なかったのだろう。

「やはり、フロア守護者がいますね」

階段を降りると、視認できる所に次の階段を塞ぐように守護者が設置されていた。
恐らく、一定距離近づくと守護者が察知する仕組みになっているのだろう。
今のアリーセが立っている所からは、まだ距離がある為、守護者は反応していなかった。

「さてと、やりましょうかね」

アリーセは自身の金髪縦ロールに硬化魔法と重力制御魔法を展開した。
そして、徐々にフロア守護者に近づいた。
アリーセと守護者の距離が10メートルを切った頃、フロア守護者がゆっくりと動き始めた。
どうやら、守護者の感知エリアに入ったらしい。

見た目は、赤とオレンジ色の大きな鳥の姿をしており、見ているだけでもおぞましい。
口からは炎のようなものを出している。
さすがはSランク指定にまで検討される迷宮だ。
5階層でこれとは先が思いやられる。

『グァァァァァ!!!!』

フロア守護者が大きく鳴いた。
それは、普通の人間なら恐らく耳を覆ってしまうくらいの耳障りの鳴き声だった。
しかし、アリーセにはそんなものは効かない。
全く動じず、その場に立っていた。

「上等ですわ」

アリーセは少し口角を上げると、腰に挿している剣に手をかけるのと同時に戦闘態勢に入った。

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