金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第55話 国王陛下からのお呼び出し

新人冒険者研修が終了し、数日が経過したころ、アリーセの屋敷に書簡が届けられた。

「お嬢様、王宮からお手紙が届いております」

書簡を手にし、ロジェルがやって来た。

「ありがとうございますわ」

その封筒を受け止ると、綺麗に封を開けた。
書簡の中には、王宮に来て欲しいとの内容だった。
一人では不安な場合はディオンのヤツを連れてくるといいとも書かれていた。
一国の侯爵を保護者扱いするのはどうかと思ったが、一応聞いてみる。

直接、屋敷を訪ねると二つ返事で了承してくれた。
明日、行こうということで話はまとまった。

翌日、午前中に侯爵家を訪ねると、侯爵は準備を終えていた。

「わざわざありがとうございますわ」
「いや、構わんさ。陛下のご指名とあらばね」

ディオン侯爵は笑っていた。

侯爵家から歩くこと数分、王宮が見えてきた。
王宮の前には警備兵が立っていたが、書簡に同封されていた通行証を見せるとすんなり通してくれた。

「こちらで、少々お待ちください」

王宮の従者により、応接間へと通された。
相変わらず豪華な調度品が並べられている。
そこから、更に数分待つと、応接間の扉が開かれた。

「待たせてしまったかな」

陛下のご登場だ。
アリーセと侯爵はソファーから立ち上がった。

「まあ、座りなさい。こちらから呼び出したんだ」
「はい、失礼します」
「失礼いたします」

二人は、陛下が座った後に、再びソファーに腰を下ろした。

「本当に、ディオンのヤツを連れてきたんだな」

陛下は笑っていた。

「一人で陛下にお会いするのは緊張してしまいまして」
「まあ、いいさ。私が連れてきていいと言ったんだ」

陛下はニヤッと笑った。
この王様、何か侯爵の弱みでも握っているのだろうか。
隣の侯爵がいつもより萎縮している気がする。シンプルに国王の前だからかもしれないが。

「では、早速だが、本題に入ろうとするか」

陛下は切り出した。

「はい」
「先日、アリーセが他国の兵に襲われたという報告をディオンから受けた。信憑性に足るものだと判断し、私はミューレンへ直接抗議の手紙を送っておいた」

陛下が直々に一筆書くというのは相当な事である。
まあ、他国の兵が剣を抜いたのはいただけないのだろうが。

「そう、何ですね。ありがとうございます」
「まだ、向こうからの返答は無いが、それ相応の対処はしてくれるだろう」

その声には怒気が乗っていた気がする。
まあ、陛下がご立腹なのは頷けるが。

「これで、ミューレンが直接的に手を出してくるということはあるまい」
「お手間を取らせました」

アリーセは頭を下げた。

「いや、気にするな。これでもうちの国が抱えるSランク冒険者だ。そして、ここからがもう一つの本題なのだが」

陛下の話にはまだ続きがった。

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