金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第47話 それぞれの弱点と強み

Aグループのメンバーを模擬戦場の隅に集めて座る。
そこで、この模擬戦で分かった事を説明するつもりである。

「では、まずは男子から言いますわね」

アリーセが言った。

「まずは、ギートくん。君は攻撃に集中しすぎですわね」

模擬戦で分かったのは、攻撃に一点集中していると言う事だ。
攻撃に全集中力を使っている為、その他のことが疎かになりがちだ。
例えば、防御と回避。
これには、反応の遅れが見られた。
しかし、逆に言えば自分から積極的に攻撃に出る事が出来る点は、褒めるべき所だろう。

「ですので、もう少し防御と回避を意識してみましょう。あと、仲間のサポートもきちんと受けること」
「分かりました!!」

ギートは大きく頷いて返事をした。

「次は、イザーク君ですわね。君は魔法に無駄が多いですわ」

本来、魔法を発動する為には、詠唱をせねばならない。
魔法の展開スピードはこの詠唱にかかっていると言っても過言ではない。
アリーセは、魔法名を言うだけで、魔法を展開する事が出来る、無詠唱の使い手である。
そこまでなれとは言わないが、詠唱にも省いていい所があるのだ。
そこを削れば、魔法展開スピードは格段に速くなるだろう。

「魔法の展開スピードを速くする練習をしましょう」
「なるほど。分かりました!」

イザークも納得したように頷いていた。

「では、次は女子の皆さんですね」

ロジェルが一歩前に出て言った。

「まずは、ミサさん。あなたは弓の技術は大したものです」

ミサは、ロジェルの額や胸を正確に狙って矢を放っていた。
ロジェルには防がれたが、その技量は新人の冒険者としては素晴らしい技術である。
しかし、感情に任せて矢を放つ所がある。
弓を扱う時は、平常心で正確に撃ち抜く事が大切だ。
感情の乱れが命取りになりかねない。

「ミサさんは、どんな時も平常心で正確に矢を放つ事を意識して下さい」
「分かりました」

ミサは頷いて、納得していた。

「次にアメリさん。貴女は魔法の展開スピードにはさほど問題が無いようですね」

魔法というのは、展開スピードが重要視されるが、それよりも大切な事はある。
それは気持ちとイメージだ。
魔法の完成形を正確にイメージする事で、魔法の完成度には歴然とした差が出る。
魔法の威力を高めるには、それなりの経験が必要という事である。

「アメリさんは、魔法のイメージを持つ事を意識しましょう。やり方は私がお教えしますから」
「分かりました。ありがとうございます!」

アメリは勢いよく頭下げた。

「最後に、チグサさんですね。あなたは、ギートさんと同じく攻撃に特化し過ぎています」

攻撃力とその機動力はギートと同じくらいか、それ以上にあるが、何分敵1人しか見ていない所がある。
それでは、複数の敵と対峙したときには、ちょっとした事で命取りになりかねない。

「もっと、全体を見ましょう。敵だけでなく、味方の事も」
「分かりました! ありがとうございます!」

チグサも納得した様子であった。

「皆さんの事も分かった所で、今日はここまでとします。明日森で討伐に行きますから、今日は休みましょう」

これはロジェルと相談して決めた事だった。

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